五輪開催って正気か?忖度なしの海外メディア・選手らが菅政権を猛批判

km20210519
 

政権へのおもねりばかりを続け自国民からの信頼を失った国内御用マスコミですが、忖度も容赦もしないのが世界の趨勢のようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、海外主要メディアが相次いで発信した東京五輪に関する記事を紹介。その論調は五輪開催に批判的、かつお粗末な新型コロナ対策に終始する菅政権に対する厳しい姿勢を鮮明にしたものでした。

【関連】世界中から嫌われる菅首相。各国から「五輪中止」の大合唱、英BBCが開催せざるを得ない“深い闇”を指摘

きっこさんのメルマガご登録・詳細はコチラ

 

海外メディアの東京五輪批判

4月7日配信の第113号のこのコーナーの「聖火リレーという政治プロパガンダ」の中で、あたしは、全米での五輪の放送権を持つアメリカの4大放送局の1つであるNBCが、3月25日付で自社のニュースサイトに東京五輪の聖火リレーを批判する記事を掲載したことを取り上げました。約76億5,000万ドル(約7,800億円)もの莫大な資金を投入して五輪の放送権を得ているNBCとしては、どんなことがあって大会の中止は困る立場なのに、そのNBCが東京五輪への批判記事を掲載するなんて、よほどのことだからです。

【関連】国民の命より聖火リレー優先。菅政権「政治プロパガンダ」の本末転倒

しかし、第113号を読んだ人なら分かると思いますが、あの記事を書いた元プロサッカー選手でアメリカ五輪代表にも選ばれたことがあるジュール・ボイコフ教授は、あくまでも「日本の聖火リレー」を批判しているのであって、東京大会そのものには言及していませんでした。だからこそ、NBCも掲載を許可したのかもしれません。しかし、この記事を皮切りに、まるで堰を切ったかのように、欧米の主要メディアが、次々と東京五輪開催へ突き進む日本政府の姿勢を厳しく批判する記事を掲載し始めたのです。

4月12日には、米ニューヨークタイムズ紙がスポーツ面に「このままの五輪でいいのか」と題した記事を掲載し、その中で「新型コロナの感染拡大が収まらずワクチン接種も進まない現状での東京五輪開催は最悪のタイミング」と断じ、「このまま開催を強行したら日本と世界にとって一大感染イベントになる可能性がある」と警鐘を鳴らしました。

しかし、さらにインパクトが強く、日本でも各メディアが大きく取り上げたのが、IOCのトーマス・バッハ会長を「ぼったくり男爵」と揶揄した、5月5日の米ワシントンポスト紙のコラムでした。執筆者はサリー・ジェンキンス氏、数々の賞を受賞している著名なスポーツジャーナリストです。記事の内容は、自分たちのカネ儲けのために、新型コロナ禍でも五輪開催を日本に強要するバッハ会長を「地方行脚で庶民の小麦を食べ尽くす王族」に例え、「開催国を食い物にするIOCの悪しき姿勢」を痛烈に批判しています。そして、日本政府に対しては「少しでも早く中止を決断して損失を最小限に抑えるべき」と助言していました。

このコラムで注目を集めた「ぼったくり男爵」は、元の記事では「Baron Von Ripper-off」と書かれていました。これは「Baron Von Ripper(バロン・フォン・リッパー)」、ようするに「フォン・リッパー男爵」という実在した男爵の名前のパロディーです。1905年、オーストリアの男爵の息子として生まれたルドルフ・フォン・リッパーは、画家としてのキャリアを積みながら、フランス軍、スペイン軍、アメリカ軍という3カ国の国軍で数々の任務に従事し「銃を持つ画家」と呼ばれた人物です。

このフォン・リッパー男爵が、どこかで誰かからお金をぼったくったわけではありません。しかし、英語では「騙し取る」「剥ぎ取る」を「Ripp-off」、過去形の「騙し取った」「剥ぎ取った」を「Ripped-off」と言います。フォン・リッパー男爵は、たまたま名前が「Ripper」だったことと、英語圏では有名な人物だったため、名前に「off」を加えて「Baron Von Ripper-off」とすることで、バッハ会長を揶揄するためのネタに使われたというわけです。

print
いま読まれてます

  • 五輪開催って正気か?忖度なしの海外メディア・選手らが菅政権を猛批判
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け