仁義を欠いた菅首相の自業自得。横浜市長選で最側近が落選の大誤算

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次期衆院選の前哨戦として注目され、菅首相も自らの地盤とあって最側近の小此木八郎氏を全面的にバックアップしたものの、蓋を開けてみれば立憲民主党推薦の山中竹春氏の圧勝となった横浜市長選。与党に有権者の厳しい審判が下されたわけですが、何がこのような結果を招いてしまったのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、菅首相の林文子現市長への仁義を欠いた扱いにより、自民党が割れたことがその主因と断言。さらに菅氏については一国のトップに立つ器ではないとした上で、彼を首相に祭り上げた二階俊博氏の判断を批判しています。

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横浜市長選で小此木氏を惨敗させた菅首相の問題点

菅首相が応援する小此木さんが、横浜市長選挙で敗北した。この大きな原因が、林文子現市長への仁義を欠いた扱いがあるからだ。

もし、林文子市長が立候補しなければ、自民党は一本化ができたはずである。

林文子氏に会って、菅首相は次の魅力的なポストを提供して、その上で、自分の主張変更を説明した上で謝り、市議団にも説明したのであろうか?私が見るに一切していないように見える。それでは林文子市長も怒るよね。この当たり前がわからないようだ。

林文子市長は、IRに乗り気ではなかった。それは市民への最初の説明会の態度で分かる。イヤイヤ説明をした。菅首相が強引に林文子市長に押し付けたから、渋々、IRを推進してきた。

それを急にIR反対と「手の平返し」だ、これでは林文子市長の立場がない。林文子市長の説得で同調した市議たちも立つ瀬ないことになっている。市議は、市民にIRを説明してきたはずである。それを何の説明なしに、「手の平返し」の反対に義憤を感じているはずだ。このため、自民党が割れた。

仁義は、論語の初等レベルの倫理観である。江戸時代は、初等教育の教科書(往来)に論語を採用して、人間として、どうあるべきかを初めに教えていた。その論語では人間として、一番必要なのが「仁・義」とその上での「信」であるとしている。

仁義を欠いた人が一国のトップにいることに、大きな違和感を抱かざるを得ない。菅さんはトップの器ではない。実行者として、実務をするには、その強引さが武器になったかもしれないが、皆をまとめることはできない。この結果が、今、いろいろな局面に出ている。

コロナ感染症の拡大防止も皆の気持ちや意見を尊重しないことで、壁に突き当っているようにも見える。このようなことでは、民心収攬などは絶対無理である。

組織のトップには、人間としての素養が絶対必要であることを思い知る。その点、安倍前首相には、危機になったとき、安倍さんを助ける多くの知識人たちがいた。安倍前首相は、人として素晴らしいものを持っているからだ。菅さんとは、人としての器が大きく違う。

そして、この2人が組んだ政治が最高であった理由でもある。院政政治の良さであろう。大所高所から見る安倍首相と、それを実行する菅官房長官という組合せである。だから、10年以上も体制を維持できたのだ。

そして、二階幹事長も生き生きしていた。今の二階さんの判断は、間違いが多い。その一番大きな間違いは、菅さんを首相にしたことである。トップの器がない人をトップにしてしまったことだ。

岸田さんを首相にしておくべきであったと思う。

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