実は日本企業にとって大打撃。政府が「脱石炭」に賛同できぬ深い闇

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10月31日から約2週間に渡り英国グラスゴーで開催されたCOP26において、前回に引き続き温暖化対策に消極的な国に贈られる「化石賞」に選ばれた日本。なぜ我が国は、世界中からこれだけの非難を浴びながらも「脱石炭」へと舵を切ることを拒み続けるのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では「Windows95を設計した日本人」として知られる米シアトル在住の中島聡さんが、その理由として日本の「周回遅れの国策」を挙げ、メディア等で語られることの少ない国策の内容を詳しく紹介。さらに「もっと大きな問題」が存在することをも白日の下に晒しています。

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プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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日本政府が「脱石炭」に賛同出来ない理由

イギリスで開かれた気候変動対策の国連の会議「COP26」で、温室効果ガスの排出削減対策がとられていない石炭火力発電所の新規建設中止などを盛り込んだ声明に、ヨーロッパ各国など40か国あまりが賛同しましたが、日本政府は賛同しませんでした(「COP26『脱石炭』の声明に40か国余が賛同 日米中は含まれず」)。

その理由は、日本の「周回遅れの国策」にあります。

平成27(2015)年に資源エネルギー庁により書かれた「火力発電の高効率化に向けた発電効率の基準等について」によれば、日本政府は2030年度の電源構成を「石炭26%程度」とする目標を立てています。

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日本政府は国策として、USC(Ultra Super Critical:超超臨界圧)と呼ばれる効率の良い石炭火力に力を入れており、二酸化炭素の排出量の多い旧来型の石炭火力を、排出量の少ない新設により置き換えることにより、二酸化炭素の総排出量を減らす、という計画を進めて来たのです。

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しかし、世界の国々の多くは、一足飛びに「石炭火力の廃止」と「再生可能エネルギーへのシフト」を急速に進めようとしており、それが今回の声明に現れているのです。

日本政府の計画は、それと比べると周回遅れですが、簡単に政策を変更出来ない日本政府が「石炭火力発電所の新規建設中止」という声明に賛同出来ないのは当然なのです。

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