「底辺の職業ランキング」が大炎上。上から見下した差別に批判殺到、同種のサイトも次々と記事を削除

2022.06.30
by たいらひとし
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就活情報サイト「就活の教科書」が作成した「底辺の職業ランキング」に「職業差別だ!」「仕事をバカにしている」と批判が殺到し炎上している。運営会社は28日に記事を削除し、事実関係を確認すると表明しているが、ランキングを見た人たちの怒りの声はおさまりそうにない。

誰でもできると仕事と12業種を断定

「底辺の仕事ランキング」は「就活の教科書」上で2021年5月から公開されていた。

冒頭では「何を底辺職と思うかは人それぞれ」で、「底辺職と呼ばれている職業は社会を支えている人で、そのような人がいるからこそ、今の自分があるのだということに気がつきましょう」とエクスキューズした後に、ランキングを展開。下記の12種類の職業と1種類の例外を紹介した。

上から①土木・建設作業員、②警備スタッフ、③工場作業員、④倉庫作業員、⑤コンビニ店員、⑥清掃スタッフ、⑦トラック運転手、⑧ゴミ収集スタッフ、⑨飲食店スタッフ、⑩介護士、⑪保育士、⑫コールセンタースタッフ、(例外)株・FXトレーダーとなっている。いずれもエッセンシャルワーカーと呼ばれる生活に必要不可欠な職種ばかりだった。

さらに底辺職の特徴として

  • 肉体労働である
  • 誰でもできる仕事である
  • 同じことの繰り返しである

と解説して、デメリットを平均年収が低く、結婚の時に苦労して、体力を消耗すると上げていた。

12種類の職業の人の神経をもっとも逆撫でしたのは、「誰でもできる」と断定したことだろう。どの職業も熟練と経験を積まなければ、一人前にはなれない。

記事は、底辺職にならないためには、転職したり、スキルや資格取得が必要だと結論づけた。

就活情報サイトは就活サイト、就活支援サービス、就活エージェントなどと提携しており、サイトを訪れた就活中の学生を提携先に誘導することで利益を得ている。

提携先に誘導する手段とはいえ、あまりにもエッセンシャルワーカーを下に見たこのランキングは、「職業差別を助長する」「就活生に差別意識を植え付ける」などと指摘され、記事は28日には削除されている。

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他にもある底辺職ランキングを書いたサイト

実は「底辺の仕事ランキング」について書いた記事は他にもたくさん存在している。いずれも就活情報サイトで、内容も似たりよったりだが、6月30日の日付で改訂されている。おそらく「就活の教科書」の炎上を受けて、エッセンシャルワーカーを蔑む言葉を削除したように思われる。

「底辺職」という言葉は就活ジャンルではよく検索されるパワーワードのようで、その中でもランキング記事は人気記事だった。

就活情報サイトはどれもキーワードで検索上位を狙って記事を作成する。そのためには「底辺職 ランキング」で表示される上位記事の情報を全て網羅する必要がある。

その結果、検索上位で表示される記事はどれも似たりよったりのものにならざるをえない。「就活の教科書」のランキング記事は皮肉にも検索上位になったがために、悪目立ちして炎上する事態になったようだ。

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このように検索上位狙いだけで作成すると、当事者への配慮が抜け落ちた記事が生まれることになる。Google検索結果だけを意識せず、読者の気分を害さない記事作りに注意する必要があるだろう。

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