数分後、再びキッチンから現れたママの指示で、ショーが行われるカウンターまわりに客が集められます。それもこんな有り様。
そこに登場したマスターがひと言
「こちらから見ると修学旅行の集合写真撮影みたいでマヌケですね~」。
あんたの嫁の指示でこうなったんじゃないか。
などと、ショーが始まるまで2時間以上も待たされたこともあり悪態のひとつもつきたくなりましたが、ここからは物凄いものがありました(ショータイム中の写真撮影はご法度とのことなので、すべてイラストで進めさせて頂きます)。
手始めに軽ーくエスパーカード当てなどをこなしたマスターでしたが、それからは大技の連発。まずはコーラのラベルを半分だけボトルの中に通すと言い張ります。
ボトルを包むように持ち、数秒経ってカウンター上にドン!すると
見事です。完全にボトルの中に入っています。しかも前面半分だけ。
続いてはルービックキューブの早合わせ。世界記録は6秒弱とのことなのですが、それを抜くと豪語。砂かぶりの客に無茶苦茶に崩させたキューブをやおら頭上に掲げると
とのセリフとともに2秒で完成形に!客席からは感嘆の声が上がります。気づくと私自身も先ほどまでのささくれ立った気持ちはすっかり失せ、ショーに没頭していました。タネがあったとしてもいいんです。あのカレーが800円近くしても、これだけの技を見せてもらえるのならば安いものです。
さらに大技は続きます。今度はビール瓶を絞ってねじるというではないですか。もちろんこちらもパーラーで普通に出しているものとのことで、複数の客に硬度を確認させるマスター。その上で絞り上げていきます。
そして数秒後には
うまいこと砂かぶり席の真後ろに潜入していた次男坊・レイは大興奮です。このあとカウンター近くにいた男性客にビールの中身がふるまわれましたが、味はやっぱり通常のビールだ、とのこと。
ところでこのマスター、ショーの最中にやり取りする客にいちいち「誰それに似ていますね」といじるのですが、年配の方には「三船敏郎」「オードリー・ヘップバーン」、若手には「織田裕二」「チェ・ジウ」などなど、褒めようとしてはいるのでしょうがそのチョイスの基準が分からない。しかし言われた方はまんざらでもないようで、客席は和やかな雰囲気に変化していきます。これもショーで培ってきたマスターなりの芸風なのでしょう。