【政治家のレッテル】亀井静香とチェ・ゲバラ

Close-up of three peso banknote from Cuba.  Ernesto "Che" Guevara on the front.
 

『上杉隆の東京脱力メールマガジン』第300号(2015年3月2日号)より一部抜粋

部屋にはチェ・ゲバラの写真を飾り、率直な物言いながらも、決して人の悪口は言わない。死刑制度には徹底的に反対し、弱者優先の政策を掲げ続ける。

だが、彼は共産党員でも、社民党員でもない。

過去にはいくつもの大臣ポストを歴任し、自民党の重鎮で、派閥の長を務めたこともある。そんな政界の実力者の亀井静香は不思議な政治家だ。

亀井さんがニューズオプエドに初めて出演した。自然で自由な感じは昔のままだ。

「この人(上杉)はおっかないからね~。まぁ、お手柔らかに頼むよ」

スタジオに入るなり、スタッフに軽口を叩く。笑顔を絶やさないのはいつものことだが、貶しているようで相手を持ち上げる話術は健在だ。

「人間は間違えるんだよ。そこを忘れてはいけない。とりかえしのつかない死刑は絶対に反対だ。冤罪だってあるんだよ。警察官僚だったこの私が言うんだから間違いない」

一貫して死刑反対であるのは、自らの経験に裏打ちされたものだ。

「死刑制度は国家による殺人だよ。両手両足を縛って抵抗できずに殺すんだよ。そんなことはあってはならんよ」

亀井氏に対するこうしたリベラルな印象はほとんどの読者が持っていないだろう。無理もない。情報の繋ぎ手であるメディアは、長年、亀井氏に対しては「カネに汚い政治家」というレッテルを貼り続けて来たのだ。

つまり、弱者に優しいという本当の亀井氏の姿が知られてしまうと、メディア自らが作り出した印象との間に齟齬が生じてしまうのだ。自らのメンツを守るために、亀井氏にはカネに期待ない強権的な政治家で居続けてもらうことが必要なのだ。

もうひとつ、メディアが亀井氏に表舞台にたってもらいたくない理由があるのだ。

2009年9月、亀井氏は憲政史上初めて記者クラブを完全オープンにしようとした閣僚のひとりだった。

当時、金融担当大臣だった亀井氏に、私は一緒に出演したテレビ朝日の番組の中で、海外メディアやフリーランスがいまだに金融大臣の記者会見に参加できない旨の苦情を申し立てた。

すると、亀井さんは大層驚いた様子で、「そんなばかな話があるか! 上杉さん、会見に来てくれ、そして海外メディアやフリーランスの仲間を集めてくれ。必ず記者会見に入れるから」と言ったのだ。

ところがいざ会見に行ってみると、金融庁という公の建物の中の、これまた公の場所である記者会見場に、大臣が呼んだ記者を入れる権限はないとして、記者クラブは大臣の記者会見開催を拒否したのだ。

 

『上杉隆の東京脱力メールマガジン』第300号(2015年3月2日号)より一部抜粋

著者/上杉隆 (ジャーナリスト〈一時復職中〉)
情報操作だらけの大手メディア報道では絶対伝えない情報を届ける「東京脱力メールマガジン」。第一次安倍政権の内幕を描いた「官邸崩壊」以来、安倍晋三の仇敵となった上杉隆が、ブログやtwitter、facebookでは書くことができない、今、伝えたい情報とは!
≪サンプルはこちら≫

 

 

KIRINまぐまぐニュース!」の最新更新情報を毎日お届け!
マスメディアには載らない裏情報から、とってもニッチな専門情報まで、まぐまぐ!でしか読めない最新情報が無料で手に入ります!規約に同意してご登録ください!

print
いま読まれてます

  • 【政治家のレッテル】亀井静香とチェ・ゲバラ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け