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日本語教師篠崎大司研究室〔有料版〕

  1. 語学・資格
  2. 日本語
  3. その他
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.807━2012. 4.30━
 日本語教師篠崎大司研究室(略して、「篠研」)
 http://www.kanjifumi.jp/
----------------------------------------------------------------------
発行者:篠崎大司
   (別府大学文学部国際言語文化学科兼日本語教育研究センター准教授)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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     独学で日本語教育能力検定試験に合格したい方に最適です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■このメルマガの内容■■

本メルマガの内容は以下の通りです。
レイアウトを崩さないため、等幅フォントでご覧ください。

■目標

1.日本語教育能力検定試験合格
2.10年食べていける日本語教師の育成


■内容

1.日本語教育ニュースフラッシュ
2.日本語教育能力検定試験キーワード解説
3.日本語教育能力検定試験合格特講
4.質問・お便りコーナー
5.10年食べていくための教師マインド
6.編集後記

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

       日本語教育能力検定試験(10月28日)まで、
              あと171日
 
       詳しい情報は日本国際教育支援協会様まで
        http://www.jees.or.jp/jltct/index.htm

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
/////日本語教育ニュースフラッシュ/////

最新情報を独断と偏見でお届けします。検定対策にも役立つかも。

◆看護師:「患者の心分かるよう」 EPAで来日、合格のルディヤントさんが
 知事表敬 /埼玉:毎日新聞
 http://mainichi.jp/area/saitama/news/20120427ddlk11040278000c.html
 合格した方は、これからも大変でしょうが、がんばっていただきたいですね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【問題】

 次のうち隣接(応答)ペアにあたらないのはどれ?

 1 あいさつ-あいさつ
 2 質問-答え
 3 依頼-断り
 4 自問-自答

 
 それでは、早速まいりましょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■日本語教育能力検定試験 キーワード解説■■
----------------------------------------------------------------------
 これまでの日本語教育能力検定試験に出題されたキーワードを、随時解説し
ていきます。知識の補完・整理にご活用ください。


「日本語教師篠崎大司研究室」日本語教育能力検定試験キーワード解説は
こちらから。
http://www.kanjifumi.jp/keyword/hyoshi.htm

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「隣接(応答)ペア」
 http://www.kanjifumi.jp/keyword/ri/rinsetsupair.htm

 隣り合った一組の発話のこと。

 この隣接(応答)ペアには、下のようにいくつかのパターンがあります。

 (1)「あいさつ-あいさつ」
    (例)A:おはよう
       B:おはよう
 (2)「質問-答え」
    (例)A:これ、何?
       B:えんぴつ。
 (3)「依頼-断り」
    (例)A:恐れ入りますが、奨学金申請のための推薦書を書いていた
         だけませんでしょうか。
       B:やだ。

 このように隣接する発話がうまくかみ合っていれば意味のある会話というこ
とであり、そうでなければ会話として成り立っていないというわけです。

 さらに、フェアクロウ(Fairclough)によれば、この隣接(応答)ペアには
以下の特徴があるといわれています。

 (1)2つの発話からなる。
 (2)それぞれの発話は隣り合っている。
 (3)第1発話と第2発話の話者は異なる。
 (4)第1発話の次に第2発話が来る。
 (5)第2発話は、第1発話の影響を強く受ける。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■日本語教育能力検定試験合格特講■■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しっかり勉強して、合格を勝ち取ってくださいね。

《  》で囲った言葉はキーワードです。絶対に覚えてくださいね。

読み終わったら必ず【演習】をやって、知識を実践レベルに落とし込んでくだ
さい。


【日本語の音声】
-----------------------------------
 「日本語で自由に話せるようになりたい」
 「日本語を正しい発音で話したい」

 これは、日本語学習者であれば誰しも抱く欲求です。

 また、日本人が外国人の日本語を評価する場合においても、まず注意が行く
のはその学習者の発音ではないでしょうか。

 それだけに、日本語を教える者にとって、音声学の知識を持つことは、適切
な音声指導を行う上で必要不可欠です。

 本セクションでは、まず音声・音韻体系の導入として、日本語の音声につい
て概説します。


●日本語の音声の特徴

 日本語の特徴は、大きく《語音の特徴》と《韻律的特徴(プロソディ)》の
2つの側面からなります。

 語音の特徴とは、《文節的特徴》とも言われ、個々の単音に区切られる特徴
のことをいいます。

 具体的には母音や子音、半母音およびそれに関係する諸特徴を言います。

 韻律的特徴(プロソディ)とは、《超分節的特徴》とも言われ、複数の語音
にまたがる特徴を言います。

 具体的には、アクセント・イントネーション・リズム・ポーズの諸特徴を言
います。

 また、日本語には《拍(モーラ)》という特徴があります。

 拍(モーラ)とは、発音する際の仮名1字分の時間的まとまりをいいます。
(ただし、拗音は例外です。)

 日本語においては、仮名1字分の長さはほぼ均等で、例えば「おばさん-お
ばあさん」のように拍(モーラ)が意味の違いに大きく影響しています。

 このことから、日本語は《モーラ言語》と呼ばれています。

 拍(モーラ)とよく似た概念に《音節》というのがあります。

 音節とは、前後に切れ目があって、ひとかたまりになった、発音可能な最小
の音声連続の単位のことをいいます。

 拍(モーラ)の違いは、撥音「っ」、促音「ん」、長音「ー」といった《特
殊拍》を数えるかどうかによります。

 こうした特殊拍は撥音の際、仮名1字分の時間をとるものの、単独で発音す
ることはできません。

 例えば、撥音「っ」であれば、「一杯(ippai)」の場合、「っ」の部分は
[p]を発音する際の口の形になりますが、「一回(ikkai)」の場合、[k]を発
音する際の口の形になります。

 つまり、特殊拍は音節の定義の中にある「発音可能な」という部分に抵触す
るわけです。

 これらのことから、特殊拍は拍(モーラ)としては1つと数えますが、音節
としては前の音とセットにして数えることになっています。

 (1)を見てください。

(1)テレビ(3拍3音節)
   高校(4拍2音節)
   マッサージ(5拍3音節)

 また、音節のうち「か」([ka])や「め」([me])のように母音で終わるも
のを《開音節》、「ん」([n])のように子音で終わるものを《閉音節》とい
います。

 日本語の音節は概ね開音節で構成されていますので《開音節言語》と呼ばれ
ることがあります。


●音韻と音声/音素と単音

 例えば、日本語の「ん」の音は発声方法の違いによって[N] [n] [m] [ŋ] と
いくつか種類があります。

 しかしながら、発声方法に違いがあっても意味に違いが生じるわけではあり
ません。

 このことから日本語の音声は、2つのレベルに整理してとらえる必要が出て
きます。

 それが《音声》と《音韻 》です。

 音声とは、意味の違いに関係なく、発声方法の違いに関係する音のレベルを
いいます。

 発声方法の違いによって種類分けをしますので、どこの言語のどの言語音
(言語を表わす音)も同じ尺度で表すことができます。

 実際、《国際音声学会》(Inter-national Phonetic Association:《IPA》)
は、世界中の言語音をその発声方法に沿って一覧表にまとめました。


           国際音声記号(wikipediaより)
             http://goo.gl/i9Qrr


 それを《国際音声記号》(International Phonetic Alphabet:《IPA》)と
いいます。

 なお、音声の最小の単位を《単音》といい、[ ]という記号でくくって表し
ます。

 例えば、語末・文末の「ん」は[N]と表します。

 こうした音声を分析の単位として行う研究を《音声学》といいます。

 一方、音韻とは、音の違いが意味の違いに関係する音のレベルのことをいい
ます。

 意味の違いによって分類しますので、音韻体系は言語によって異なってきま
す。

 例えば、日本語では長音の有無が意味の違いに関わりますが、英語ではその
ようなことはありません。

 また、逆に英語では[l]と[r]の区別が意味の違いに大きく関わりますが、日
本語ではそのような音の区別はありません。

 日本人にとって、[l]と[r]の聞き分けが難しいのはそのためです。

 なお、音韻の最小の単位を《音素》といい、/ /という記号でくくって表
します。

 例えば、「ん」は文のどこに出ても関係なくすべて/N/と表すわけです。

 こうした音韻を分析の単位として行う研究を《音韻論》といいます。

 日本語教育では、多様な言語の学習者を相手にするので、より客観的な記述
が可能な音声学の立場で研究や教育を行うのが一般的です。


●語音の特徴

・母音

 《母音》とは、《有声音》(声帯振動をともなって出る音。)が口の中で遮
られずに自由に出てくる音をいいます。

 母音は、《唇の形》、《舌の盛り上がる位置》、《口(顎)の開き》、の3
点によって特徴づけられます。

 唇の形は、両方の唇を丸くして発音する《円唇》(えんしん)か、あるいは
丸くしないで発音する《非円唇》かに区別されます。

 舌の盛り上がる位置は、発音する際、《前舌》(まえじた)すなわち舌の前
側が盛り上がるか、あるいは《奥舌》(おくじた)すなわち舌の奥側が盛り上
がるか、あるいはまったく盛り上がらないかによって区別されます。

 さらに、口(顎)の開きは、顎の位置が低くなることによって口の内部が広
くなるか、顎の位置が高くなることによって口の内部が狭くなるか、あるいは
その中間か、に区別されます。

 以上の観点から日本語の母音を整理すると下の表のようになります。

 例えば、日本語の「ア」の音は、非円唇広(低)母音と呼ばれるわけです。


             日本語の母音(1)
    ┌──┬─────┬────────┬───────┐
    │  │ 唇の形 │下の盛り上る位置│口(顎)の開き│
    ├──┼─────┼────────┼───────┤
    │[a] │ 非円唇 │    -   │  広(低)  │
    ├──┼─────┼────────┼───────┤
    │[i] │ 非円唇 │    前舌   │  狭(高)  │
    ├──┼─────┼────────┼───────┤
    │[ɯ] │ 非円唇 │    奥舌   │  狭(高)  │
    ├──┼─────┼────────┼───────┤
    │[e] │ 非円唇 │    前舌   │   中    │
    ├──┼─────┼────────┼───────┤
    │[o] │  円唇  │    奥舌   │   中    │
    └──┴─────┴────────┴───────┘


 さらに、母音が口の中のどの位置で作られるかを図式化したのが下の図です。

 図の上側が上顎、下側が下顎、右側が口の奥側、左が唇や歯のある側を表わ
します。

 「イ」([i])→「エ」([e])→「ア」([a])→「オ」([o])→「ウ」
([ɰ])の順に発音すると、母音がどの位置で作られるか、図の意味がよくわ
かると思います。

              日本語の母音(2)
             http://goo.gl/ikUC8


 日本語の母音のポイントの1つは、《円唇母音》すなわち両唇を丸めて発音
する母音は「オ」([o])だけで、「ウ」([ɰ])は唇に力を入れずだらしなく
発音する《非円唇母音》であるという点です。

 学習者の中には円唇母音[u]で発音する者もいるので、指導上注意が必要で
す。

 また、「ア」([a])を発音する際、舌は盛り上がりません。

 舌の盛り上がる位置で言えば、「イ」([i])と「エ」([e])、「ウ」
([ɰ])と「オ」([o])がペアです。


・半母音

 《半母音》とは、《接近音》とも呼ばれ、母音と子音の中間的な性質をもっ
た音をいいます。

 日本語でいえば、ヤ行音[j]とワ行音[w]がこれにあたります。

 中間的な性質というのは、具体的には、半母音は子音ほど《呼気》(肺から
出た息)の通り道を狭めるわけではないものの母音のように全く障害がないわ
けでもない、その中間の程度で呼気の通り道を狭めている点、そして、発音の
持続時間が母音と比べて短く子音的である点、の2つがそれにあたります。

 特にワ行音は、上下の唇で音を出すと同時に軟口蓋と呼ばれる口の奥の柔ら
かい部分でも音を出します。

 このように、同時に2か所で調音することを《二重調音》といいます。


・子音

 《子音》とは、肺から出た呼気が口から出るまでに、唇や舌などの障害によ
って作られたさまざまな言語音のことをいいます。

 日本語の子音は数え方にもよりますが14あるといわれています。

 (2)を見てください。

(2)/ k , g , s , z , t , c , d , n , ŋ , h , b , p , m ,r /

 日本語の子音は、「《声帯振動の有無》」、「《調音点・調音者》」、
「《調音法》」の3つの観点から分類することができます。


・声帯振動の有無

 「声帯振動の有無」とは、声を出すとき喉にある《声帯》が震えるか震えな
いかで区別します。

 声帯振動を伴って発声される音を《有声音》、伴わないで発声される音を
《無声音》といいます。

 例えば、タの子音[t]を発音するときは声帯は振動しませんが、ダ[d]を発音
するときは声帯が振動します。

 喉に手をあてて発音してみるとよくわかるでしょう。

 さらに、有声音のときどうして声帯が震えるかといえば、有声音を発声する
とき声帯が閉じた状態になり、そこを呼気が通ることによって声帯のひだを震
わせるからです。

 逆に、無声音のときにどうして声帯が震えないかといえば、無声音を発声す
るとき声帯が開いた状態になり、そこを呼気が通っても声帯のひだを震わせな
いからです。


 下の写真で、有声音と無声音を発声する際の声帯の形を確認してください。

 ちなみにささやき音とは、有声音をまるで無声音のごとくささやくように発
声する音を言います。

 声帯が微妙に開いているのがわかります。


          有声音・無声音と声帯の開閉状況
         (ちなみに、写真は私の声帯です^^)

            有声音「オ」([o])
    http://kanjifumi.up.seesaa.net/image/yuseion-o.jpg


          無声音「カ」の子音([k])
    http://kanjifumi.up.seesaa.net/image/museion-k.jpg


            ささやき音「あのね」
     http://kanjifumi.up.seesaa.net/image/sasayaki.jpg


 また、先ほどの「タ」「ダ」の例から考えると、仮名につけられる濁点は、
無声音を有声音に変換する記号であるということもできます。

 「あ」「な」「ら」などに濁点がつかないのは、これらの音はもともと有声
音だからです。

 中国語や韓国語には、こうした有声-無声の対立が日本語ほど明確にはなく、
反面、強い呼気を伴って発声する《有気音(帯気音)》と強い呼気を伴わない
で発声する《無気音》という対立があります。

 このため、これらの学習者の多くは、濁点の有無つまり有声-無声の習得が
困難であるといわれています。


・調音点・調音者

 《調音点》とは、子音を出す場所(=呼気を妨げる場所)のことで、ほとん
ど動かない上あごの部分を指します。


              音声器官の名称
     http://kanjifumi.up.seesaa.net/image/onseikikan.jpg


 具体的には、《両唇》(りょうしん)、《歯茎》(しけい)、《硬口蓋歯茎》
(こうこうがいしけい)、《歯茎硬口蓋》(しけいこうこうがい)、《硬口蓋》
(こうこうがい)、《軟口蓋》(なんこうがい)、《口蓋垂》(こうがいす
い)、《声門》です。

 「蓋」とは「ふた」という意味。

 つまり「硬口蓋」とは、「口の上にまるで蓋のようにかぶさる硬い部分」と
いう意味です。

 また、「硬口蓋歯茎」とは、「硬口蓋寄りの歯茎の部分」を、「歯茎硬
口蓋」とは、「歯茎寄りの硬口蓋の部分」を表わします。

 また、《調音者》とは、呼気を妨げる身体部位のことで、調音点に対応する
下あごの部分をさします。

 具体的には、《両唇》、《舌尖》(舌先:ぜっせん)、《前舌》(まえじ
た)、《中舌》(なかじた)、《奥舌》(おくじた)です。

 調音点は、動かないから場所(=点)を表し、調音者は生き物のように動く
から「者」がつくと覚えると覚えやすいでしょう。

 まずは、これら発声に関わる器官の名称と場所をしっかり覚えることが必要
です。 


・調音法

 《調音法》とは、調音点と調音者で作る呼気の障害の方法のことをいいます。

 日本語の場合、具体的には、《破裂(閉鎖)音》、《摩擦音》、《破擦
音》、《鼻音》、《はじき音》、《近接音》の6種類があります。

 破裂(閉鎖)音とは、息や声を一度完全に止めた後、破裂させて作る音です。

 破裂する部分に着目すれば破裂音、一度完全に止める部分に着目すれば閉鎖
音と呼ばれます。

 日本語では、/ k , g , p , b , t , d /がこの音にあたります。

 摩擦音とは、呼気の通り道(《声道》)を極端に狭め、呼気を摩擦させるこ
とによって出す音です。

 日本語では、/ s , z(語中、語尾のザ行) , h , ɸ , ҁ /がこの音にあ
たります。

 破擦音とは、破裂音で始まり摩擦音で終わる音です。

 日本語では、/ tsu , tʃi , dz(語頭のザ行)/がこれにあたります。

 鼻音とは、呼気を鼻から出す音です。

 ナ行音の子音/ n /、マ行音の子音/ m /、/ N /がこれにあたります。

 はじき音とは、舌先で上の歯茎を軽くはじいて出す音です。

 ラ行音の子音/ ɾ /がこれにあたります。

 接近音とは、軽い狭めによって作られる、いわゆる半母音のことです。

 ヤ行音の子音/ j /、ワ行音の子音/ w /がこれにあたります。


●子音の名称のつけ方

 先の母音の名称と同様に、子音にもその発声方法に沿った規則的な名称のつ
け方があります。

 子音の名称は、これまで述べた「声帯振動の有無」、「調音点・調音者」、
「調音法」の順で命名されます。

 例えば、パ行の子音[p]は、声帯振動をともなわず、両唇をいったん閉じた
後破裂させて出す音なので、無声両唇破裂音といいます。

 同様に、例えばガ行の子音[g]は、声帯振動をともない、軟口蓋をいったん
閉じた後破裂させて出す音なので、有声軟口蓋破裂音といいます。

 逆にいえば、今まで聞いたことのない子音であっても、その名称を見れば正
しく発音することができるわけです。

 音を聞いたら正しくその名称が言えると同時に、名称を見ればその音を正し
く自分の口で再現できるようにすることが、音声学をものにする第一歩です。


●条件異音と自由異音

 語音の特徴の最後に、《異音》について説明します。

 異音とは、同一音素Aに対応する単音が複数ある場合、それら複数の単音の
ことです。

 また、異音には一定のルールの下で相補的に使い分けられている《条件異音》
と、使い分けのルールがなく全く任意に使われる《自由異音》の2種類があり
ます。

 例えば、日本語の「ん」(/N/)の音は、発声方法の違いによって[N] [n]
[m][ŋ]などいくつか種類がありますが、これらは「ん」の音の後に続く子音の
種類によって互いに重複しないようにすなわち相補的に使い分けられています
(詳しくは別のセクションで説明します。)。

 なので、[N] [n] [m] [ŋ]は、「ん」(/N/)の条件異音と言うわけです。

 また、風呂上りにビールを飲んで「うまい!」という場合、[ɯmai]のように
「う」を普通にいう時もあれば、 [umai]のように「う」を口を丸めていう時も
あるでしょう。

 この時、特に[ɯ]と[u]の使い分けにルールがあるわけではなく、いわばその
時の気分です。

 従って、これらは自由異音ということができるわけです。


●韻律的特徴(プロソディ)

 韻律的特徴(プロソディ)は、具体的には《アクセント》、《イントネーシ
ョン》、《プロミネンス》、《リズム》、《ポーズ》があります。

 アクセントとは、音声の高さや強さによって単語の語彙的文法的な区別を示
すもので、日本語は高低2段階の音の高さで示します。

 これを《高低アクセント》といいます。

 イントネーションとは、複数の単語にまたがる音声の高さの変化によって、
発話の言語的機能などを示すもので、日本語の場合、意味のまとまりごとに大
きなヤマを形成する特徴を持っています。

 プロミネンスとは、発話の一部を強調するために行う音声上の操作のことで、
《卓立》ともいいます。

 リズムとは、発話にみられる規則的で反復性のある音声的特徴のことで、
《拍子》、《ビート》とも呼ばれます。

 ポーズとは、発話中の無音区間のことをいい、《休止》、《間》ともいいま
す。

 ただし、促音や破裂音など調音に伴う場合は関係ありません。


 以上、日本語の音声を大まかに見てきました。

 語音の特徴も韻律的特徴も、別のセクションでさらに詳しく見ていきます。

 音声学は、普段耳慣れない用語が多く、いかにも専門的で難しい感じがする
かもしれませんが、文法や教授法に比べれば比較的専門用語は少なく、一旦覚
えてしまえばあとはとても楽な分野です。

 「大変なのは最初だけ。」そう思ってしっかり覚えてくださいね。
-----------------------------------
【演習】

1.次の用語の意味を、簡単に説明しなさい。

 拍  :_____________________________。

 音節 :_____________________________。

 音声 :_____________________________。

 音韻 :_____________________________。

 有声音:_____________________________。

 無声音:_____________________________。

 調音点:_____________________________。

 調音法:_____________________________。

 異音 :_____________________________。

 条件異音:____________________________。

 自由異音:____________________________。


2.下の語彙の拍数と音節数を、例のように書きなさい。

例)テレビ:3拍3音節

 ・コミュニケーション:______________________。

 ・発展途上国:__________________________。


3.日本語の母音の名称を、例にならって書きなさい。
 例:ア:非円唇広(狭)母音

 イ:(             )、ウ:(             )
 エ:(             )、オ:(             )


4.自分で顔の断面図を描き、下記に示した音声器官の位置を確認しなさい。

  ・両唇    ・歯茎    ・硬口蓋歯茎 ・歯茎硬口蓋
  ・硬口蓋   ・軟口蓋   ・口蓋垂   ・声門
  ・舌尖    ・前舌    ・中舌    ・奥舌
-----------------------------------
参考文献

「週に1冊は専門書」ご購入はこちら
 http://www.kanjifumi.jp/kyoshiyosei/book/hyoshi.htm#4

天沼寧・大坪一夫・水谷修(1978)『日本語音声学』くろしお出版
石田敏子(1999)『改訂新版 日本語教授法』大修館書店
猪塚恵美子・猪塚元(2003)『日本語教師トレーニングマニュアル1 日本語の
音声入門 解説と演習 全面改定版』バベル・プレス
国際音声学会(2003)『国際音声記号ガイドブック』大修館書店
日本語教育学会81990)『日本語教育ハンドブック』大修館書店
松崎寛・河野俊之(1998)『日本語教師・分野別マスターシリーズ よくわかる
音声』アルク
松崎寛・河野俊之(2005)『NAFL日本語教師養成プログラム7 日本語の音声I』
アルク
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
次回の「日本語教育能力検定試験合格特講」は、

   【日本語の子音とその周辺 】

です。どうぞお楽しみに^^
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■■質問・お便りコーナー■■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本メルマガに頂いたお便りや、日々の活動の中でいただいたご質問について
お答えします。
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 最近、読者の方からいただいた質問から。

【Q1】

こんにちは。●●です。

いつもメルマガやFacebook拝見しています。

突然でお忙しいところ、申し訳ないのですが、
どうしても先生にご相談させていただきたく
メールいたしました。

わたしはまだ新人のため、ベテランの先生と組んで
日本語を教えています。

しかし、学生からベテランの先生と教え方が全然違う、
よくわからない…などという声があがって、

今回はクラスを変わった方がいいということになり、
私は他のクラスに移ることになりました。

授業でまごついたり、単調な練習になってしまったり、
学生を順番に発話させてると他の学生が飽きたり…
といった失敗に思い当たる節がたくさんありました。

教え方の手引書や関連の本をたくさん読んで
自分なりに最初は手引書通りでもだんだん
例文や練習を考えて取り入れたり、

授業でうまくいかなかったところを変えたりしてきましたが、
それは何か間違っていて、意味のないものだったのかも
しれないと思いました。

初級をちゃんとできないまま、これから別のクラスを
教える不安もあります。

篠崎先生、突然こんな情けない内容で大変申し訳ないのですが、
私はこれから教え方をどのようにしていったらよいのでしょうか。

お時間あるときで構いません。

よろしくお願いいたします。



【A1】

●●様

こんばんは、別府大学の篠崎です。

メール拝読しました。

結論から言いますと、これをバネにして
頑張るしかありません。

それが “プロ” というものです。

もちろん、今回のケースは●●様だけに
原因があるわけではないかもしれません。

ベテランの先生と一緒に授業をすれば、
必ず学習者に比べられます。
(私も経験あり^^)


また、その時たまたまその学習者の虫の
居所が悪かっただけだったかもしれません。
(これも経験あり^^ 
 学習者は意外と感情的。でも根は浅い。)


でも、かといって他人に原因を求めてばかりいて、
自分自身のスキルやマインドを上げる努力を怠れば

将来同じ事態になった時にうまく
対処することができません。

今自分にできることは何か、をもっと
徹底的に考え実行することです。


ベテランの先生と比べられるのなら、
「これぞチャンス!」と思って
ベテランの先生からできるだけ技を盗みつつ、

その先生とは違うキャラで授業をする。とか。


学習者の虫の居所が悪かったのなら、爆発する前に
必ず何らかの信号を発していたはずだから、

爆発しないよう、授業外でもコミュニケーション
をとって、日頃から信頼関係を築いておく。とか。


もちろん自分の授業のやり方を再度検討して、
授業リハーサルをちょっとしっかりめにやってみる。


そうやって、1つ1つ潰していきながら、
教師力を上げていくしかありません。


教師というのは、それだけ息の長い仕事なのです。


私の経験上、3年は覚悟してください。
(頑張ってくださいね。)


でも、それぐらい覚悟して事にあたれば、
意外と早く光が見えてくるものです。


それから、プロ教師の心得をもう一つ。

それは、「仕事を選ぶな。」ということです。


「まずは初級を教えられるようになりたい。」

気持ちはわかりますが、プロとしては失格です。


●●様は、検定試験にも合格なさっているわけですし、
「日本語教育に関することなら一通りできる。」
という前提で採用されているはずです。

また、主任の先生が●●様を初中級のクラスに回した
ということは、

「●●先生なら、初中級の授業もできるだろう。」

と判断もあったからです。


だから、プロであればそうした期待に
こたえなければなりません。

与えられた仕事は快く引き受けるのがプロの基本です。

もし不安なら、その不安を完全払拭するぐらい
人の目の届かないところで徹底的に授業準備をすることです。


「武士は食わねど、高楊枝」です。


今の●●様にとって一番大事なことは、
「とにかく与えられた目の前の仕事に注力する。」
ということ。

そして、笑顔を忘れないこと。

失敗しても、笑ってごまかす(笑)


あのイチローでさえ、打率は3割です。

ということは、残りの7割は
三振、ピーゴロ、凡々フライ。

でも、7割の失敗からたくさんのことを学び、
人の知らないところで泥臭い練習をしこたま積み、
本番までにぴったり修正してくるからこそ、
次の3割につながるのです。


●●様は、今の職に就くまでにどれだけの
時間と労力を費やしてきましたか?

凹んでいる場合ではありません。

次の授業の準備をしっかりやって、
リベンジしてください。

応援しています^^
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【マインド70】

 健康管理はできているか。
 不健康の芽は、日頃から摘んでいるか。
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■■編集後記■■
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友人の結婚式に出席のため、実家に帰省していましたが、

今晩、別府に戻ってきました。

新郎(高校の同級生)41歳。 新婦28歳。
(新婦様は、とてもきれいな方でした。)

結婚式の会場の雰囲気も、左右で実に対照的で、

新婦様のお友達は、それはそれは華やかな30代前後の女性陣。

かたや新郎の友人は、40代のもさいおっさん達。
                 (汗…というより笑ってしまった。)


でも、今回の結婚式で高校時代の友人T君に
23年ぶりぐらい会いました。
(こんな機会を与えてくれた新郎のO君、ありがとう。)


話は変わりますが、今回の【マインド70】は
かなり自戒の意味を込めて書きました。

ある方から、
「40歳になったら、体のあちこちからガタが来るよ。」
とアドバイスをいただいたので。

(あ~ぁ、もうそういう年なんだなぁ。)

何といっても体が資本。

本当に気をつけないといけませんね。


          …という訳で、今回の結婚式は2次会であがりました。
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