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山崎和邦 週報『投機の流儀』

  1. マネー
  2. 株式
  3. 投資情報
▼○○○号
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               2012/5/28
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山崎和邦の投機の流儀

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今週号の目次

■1 今の株式相場と日銀
■2 今は日銀への催促相場
■3下値限界は概ね見たとしても、日柄はいまだ未完
■4 結局、調整局面は長引く?
■5 ギリシャと中国と米国を一口で言えば
■6 野村証券マーケッティング部の中長期の見方
■7 為替投機筋
■8 財政健全化(緊縮財政)と成長重視の並立
■9 本稿の心配が杞憂に終わりそうな原油相場
■10 火事場泥棒なんて言いッこなしにしよう
■11 蛇足 94
■12 Q&A


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■1 今の株式相場と日銀

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 先週号で、週明けは日本株も安く始まろうと述べたが、モチアイで始まって
二日間は小じっかりだったが、三日目に急落して二日分の小幅上げを一日で消
したことになった。市場では今回の日銀政策会議は「追加緩和は見送り」に驚
きは無いとは言え、緩和期待が売り方の買い戻しの理由になっていた。それで
週明けの21日、22日は小じっかりだったが、市場予想どおりとはいえスエオキ
が明確になると途端に売られた、それが23日の急落であった。

 25日移動平均線を6%乖離、騰落レシオも記録的水準、企業内容の指標面か
らの割安感、等々でここからは売れない。さりとて欧州不安などで今は買えな
い。と言う板ばさみの中で20年ぶりに8週間連続安になった。当面は一進一退
の小幅な動きであろう。

 6月1日の米雇用統計、6月17日のギリシャ選挙までは企業価値の超割安感
と海外要因の板挟みで売り買いともに低調だろう。

 政治不作為の日本では、日銀の出方が凝視される。23日(水)の白川総裁の
記者会見で、白川総裁が追加緩和を断言すれば市場雰囲気はそこを境界として
変わった可能性があった。

 誰もが2月14日を想起するからだ。その2月14日は日銀発言の翌日から1ヶ
月半で、1000円の大台が二度変わった(8900円台から10255円)。白川総裁次
第で、為替投機筋も売り方が慌てることになったろう。彼もそれは分かってい
るはずだがそれが出来なかった。連続緩和は日銀のジンクスにないことだから
だ。頼りないことながら今はそれが事実だろう。


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■2 今は日銀への催促相場

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 日銀は“二回続けて緩和はしない”という“伝統”があったから2月のバレ
ンタインデーギフトと、4月の追い打ち緩和の後は、5月はスエオキだという
見方だったが現実にそうなるとがっかりする。

 今は日銀に対する催促相場であることを白川さんは自覚しているであろう。

 今は追加緩和とインフレターゲットの再主張への期待が早くも浮上し、それ
を催促しているという相場であろう。

 邦銀の欧州向け融資は少ないから大国の中では日本は欧州事情の影響は極め
て少ない。だからこそ、世界の通貨は欧州の影響を受ける米国を避け日本に来
るのだ。日本が一番安全な国だという、この評価は有難いことだが大いに迷惑
するのは円高になってしまうことである。

「日銀がインフレターゲット標榜→インフレへの始動→貨幣価値が下がる方向
へ動く→円が下がる」と言う構図に加えて経済政策が伴えば様相は一変する筈
だ。経済政策はアテにならないが少なくとも日銀は7月の政策決定会合で追加
緩和とインフレターゲットの再主張をするはずだと市場では見ているがギリシ
ャ情勢が深刻になれば6月に前倒しする、と市場では催促している。

 だが、後述するように日本株それ自体の企業価値は、レベル(PER,PBR,配当
利回り、長期国債利回りとの乖離、現預金と時価総額との比率)もトレンド
(大幅増益方向)も変化は無いから理屈の上での下値は限度がある。7週間連
続の下げは何年に一度もない。

1) 出来高も、4カ月ぶりの低水準になった。

2) 3月には毎日2兆円以上あった売買代金は8000億強にまで減った。

3) 8週間連続安と言うのは20年ぶりだ。

 このように、何年に一度もないとか、何カ月ぶりというようなことが起きる
ときは転機は近い場合が多い。普通ならこう考えるが今回の調整は長引く可能
性があろう。


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■3 下値限界は概ね見たとしても、日柄はいまだ未完

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 米国景気、選挙、欧州問題、中国景気、と言う海外材料に振り回される日本
市場だ。

「犬が尻尾を振る」のではなく「尻尾に振り買わされる犬」のようだが、上昇
相場も6~7割は、海外勢の力に拠ってきたのだから仕方がない。

 そんな時は、ただ現象のみを凝視して現象から次の現象を考える、そう、相
場は相場に聞け、を採ってみよう。

A) 値幅から言えば三段下げが完了したという見方も出来る。売り方にとっ
て「鬼より怖い三段下げ」だ。

 2010年春の11339円から崩れて2185円下がり、1番底が2010年11月1日の915
4円、そこから1703円上昇して11年2月21日10857円、そこを天井として崩れ始
めて2252円下がり、2番底が11年3月8605円(震災・原発事故)、この時の騰
落レシオ72%。そこから1532円上昇して2011年7月の10137円まで戻り、そこ
から1977円下がり、3番底が2011年11月8160円、この時の騰落レシオが76%。
そうなると、1番底9154円、2番底8605円、3番底8160円、と言う具合で三段
下げが完了していることになる。しかも、2番底からの上昇天井を3番底から
の上昇天井が抜いたことになっている。(10137円≦10255円、だから)。

 こう見ると実に精妙だ。黄金分割比が罫線上に時々現れるようなもので、天
は図らずも精妙なものだ。

 三段下げの話しに及んだから一言付け加えたい。何事も「三」という数は究
極のものである。仏の顔も三度まで、孟母三遷の教え、三度目の正直、石の上
にも三年、怖いのは三つ目小僧(四つ目小僧ではマンガになってしまう)。そ
れを越えると「四の五の言うな」となる。

 人の体についているものは目・耳・手・足・鼻腔のように二つであって,し
からざれば口、へそ、のように一つである。三つというものは無い。三つとい
うのは普通は無い究極の数なのだ。

B) しかも、罫線上の窓を埋めた。昨年11月8160円からの上昇相場の途中、
1月19日の8668円から翌日の8751円までが窓になっていた。これを筆者も忘れ
てはいなかったが、まさか、この窓埋め8668円まで来るとは思わなかった。週
末のザラバ安値が窓を埋めて且つ80円のオツリ、先々週週末の終値がまさしく
窓埋めである。

C) 実に精妙な出来事はもう一つある。お気づきだろうか?

 既報で「2000年以降の下げ相場は平均34日間、平均16%、だから機械的に言
えば3月27日高値から34日の日柄整理は5月24日に相当する。この34日間と言
う日柄は、上昇過程で騰落レシオ120%超えと言う現象が32日間続いたという
異常現象と概ね対照になっている。

 平均下げ率16%=10255円×0・16=1640円

 3月高値10255円-1640円=8615円

 これは、まさしく18日の引け値8611円である。8000台の数値だから100や200
の誤差はあるであろう。ここで述べるのは概ねの見当のつけ方のメドである。


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■4 結局、調整局面は長引く?

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 日柄と言い、下げ率と言い、測ったように精妙に一致して来た。

 全く機械的にチャート論から言えば(A)(B)(C)により目先は値段的
には底が近いと言える。日柄的には今だしであろう。

 ところが、このように何事もツジツマが合うと実際にはそうならない、と言
うのが市場と言う意地の悪い生き物だ。

 市場参加者の皆が同一用語で同一思考経路で語り合っていれば知らず知らず
のうちに「底からの反発近し」ということになって思考停止状態に陥ってしま
う、そうなれば、案外、この調整相場は長引くということになろう。

 「需給に勝る材料なし」と言う。需給関係は「外国売り越し、個人の押し目
買い」と言う構図だったが個人の買いも細ってきた。とはいえ、PBR、PE
R、配当利回り、長期金利との配当利回りとの大差、来年3月期の決算の大幅
伸び率、等々から見た場合、この価格帯を誰が積極的に売る度胸があるかと問
えば、ここは売れまい。追い証の投言も概ねは済んだろう。従ってセリングク
ライマックスを迎えない。

 結局、調整局面は長引くということになってしまう可能性がある。



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■5 ギリシャと中国と米国を一口で言えば

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ギリシャが結果的にはユーロ圏に留まろうと否とも、独メルケル、仏オランド
も紆余曲折しながらも結局はユーロを守るべく強調すると既報で述べてきた。
ユーロ崩壊なんて無い。
 本稿で一昨年から何度も述べてきたように、各国に徴税権力はあるが通貨発
行権力は無いという、ユーロは変則通貨であるが元来が政治の産物である。政
治なくしユーロは語れない。政治こそ市場動向よりも分からないながらも既報
で述べてきたように国際政治と言えどもヒトとヒトの間柄だということは否め
ない。独仏はイタリアの学者内閣を巻き込んでEUを指導して行くだろう。

中国の話しに転ずれば、“もともと政治の産物としての中国経済”は景気後退
を心配するよりも筆者はバブルのハードランディングを恐れたが、両方共に中
国共産党と言う聡明な独裁組織が旨く舵を採るだろう。
なにしろ反対党がないから共産党の頭が働く限りは巧くやるだろう。現に、世
界が震え上がった、かのリーマンショックの際に世界で一番早く且つ一番大規
模に財政出動でパニックを食い止めたのは中国共産党だった。

米国の株式市場動向は国民的関心事だ、よって今後もめったなことは起こさな
いはずだ。
1985年、米国の年金法401条の末尾にK号という短い一個条が追加され
た。これが有名な「401K」である。これによって年金の運用が証券市場と
直結した。その後の10年間に50兆円が証券市場に流入した。そこで米国の
株式市場動向は国民的関心事だということになった。いま、米国事情で注目さ
れるのは11月の大統領選挙だ。共和党のロムニ氏が勝つとウォール街にどう
響くか、これについては稿を改めて述べよう。



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■6 野村証券マーケティング部の中長期の見方

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 野村証券マーケティング部は万年強気の傾向はあるが、まんざらデタラメで
はそのリポートが有料で60年以上も続くはずがない。そこで、同社が中長期を
いかに見ているかを要約すると下記にようになる。

1) 日本株を取り巻く外国環境は厳しいが、日本株本来の価値は変わらず下
値は堅い。下線部は筆者の見方と同じ。

2) 今年いっぱいはボックス圏を出ないが8000円後半はその下限に近い。年
後半にかけてボックス圏に移行するという見方は不変である。

3) そのなかでボックス圏の下限に近いのが5~6月、レンジの上限に向か
うのが年末になろう。9月末の日経平均株価は9750円、12月末は10250円に上
昇する。(筆者註;3月27日の10255円(事実)と12月末の10250円(説)とが
年内ではWトップ=毛抜き天井になるという結果になる。だが、その後の趨勢
を見なければ中段の踊り場なのかWトップなのかは言えない)。



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■7 為替投機筋

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 貿易決済のための通貨の何十倍もの規模で投機市場の動きによって相場が決
まって来ることは周知の事実だ。そこで今回はファンダメンタル抜きで需給関
係のみで見てみよう。

 とにかく株でも為替でも「需給に勝る材料なし」だから。

 今、シカゴ通貨先物取引で円の売り越し額が減っている。当然、これは買い
戻し圧力が減るということを意味する。急激な円高は投機筋の買い戻しの力学
によって動くから、それが弱まることなる、と本稿では言っている。5週間連
続で減った。

 ギリシャから発したユーロ危機→安全な通貨としての円買いに走った→売り
残が急減した→買い圧力が急減した。

 だが、為替相場も究極には経済現象だから長期的にはファンダメンタルに拠
るはずだ。そこで、野村証券為替ストラテジスト池田氏のファンダメンタル面
から見た為替相場をお伝えしたい。

 貿易収支・資本収支という実需の需給面だけから見て、ヘッジファンドやF
X取引等を削除して指数化した円相場の推計値をグラフ化すると、長期的には
ほとんど実際の為替相場と重なって同じ動きになる。ただ、実際の為替相場は
投機筋の動きによって上下が少々大げさになるだけである。趨勢としてはほと
んど実需の動き(実需と言っても貿易だけでなく、所得収支・外貨資産投資等
の資本収支を含む)の動きは、短期的な投機筋の大袈裟の上下に触れることを
長期的には相殺して趨勢を描く。(これをグラフ化したものを彼は23日の日
経新聞に発表している)。

 この推計値に野村証券の経済予測を重ねると、先行きの為替動向が読めると
言っている。詳細説明は省くが、それによれば、年末に82円~84円、来年末に
は87円~90円、と言うことになる。円安傾向の最大の要因は貿易収支と貿易外
収支の変化である。今の時点での200日移動平均は78.5円くらいで、これに近
付くと安住さんが「口先介入」をやるが「口先介入の口先」が下手だから却っ
て投機筋に舐められる結果になってきた。



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■8 オランドノミクスとG7の
「財政健全化(緊縮財政)と成長重視の並立」

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 メルケルの独とサルコジの仏は、独仏協調でユーロ体制を堅持するために緊
縮財政でソブリン・リスクを乗り切ろうとしてきた。

 オランドになってから軌道修正が出そうになってユーロ問題に火が付くこと
に契機を与えた。オランドの成長重視の政権公約が緊縮重視のドイツと衝突す
る恐れだ。

 だが、オランドとて欧州の大国として、しかもラテン民族の盟主として、自
国さえ良ければ良いのだとは口が裂けても言えない。自説の成長重視説(稿を
改めて述べる)とユーロ体制維持のための緊縮財政との両立を唱えるような軌
道修正を選挙民に説得しながら進めるだろう。

 本稿で既報に「結論から先に言えば独仏両国は協調し会うだろう。それが国
際政治と言うものだ」と言う旨を述べた。その際に書かなかったが、ストボ出
演では喋ったので少々触れておくと、オランドはその血筋はメルケルと同じゲ
ルマンである。ゲルマンのメルケルに対して、オランドは近いものがあるだろ
う。メルケルもまた、東ドイツの社会主義国の出身である。社会主義国で物理
学を学んできた人だ。社会党のオランドに対して、心情的にメルケルは相容れ
るところがあろう。

 レーガンと中曽根さん、レーガンと社会主義者ミッテラン、田中角栄氏と毛
沢東、というふうに国際政治家と言えども一個のヒトだから、論理外の水面下
の人間的な協調が出来る人とそうでない場合があろう。古い例だが因みに、19
62年のキューバ危機が世界核戦争勃発寸前で回避できたのは、情報戦のマグレ
的な幸運要素も大いにあったが、ケネディとフルシチョフと云う人間的な組み
合わせがあったことは否めない事実だ。

 今回のG7は「財政健全化(緊縮財政)と成長重視の並立」を謳った。

 メルケル張りの財政健全化のための緊縮財政一本槍からの軌道修正ととれる。

 欧州問題を抜きにして日本を考えても、筆者は成長重視論者の末席に居るつ
もりだし、本稿でも一貫して何年もそれを主張してきた。



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■9 心配が杞憂に終わりそうな原油相場

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 本稿では、イラン対イスラエルでは、今までの例で言えば必ずイスラエルの
方から空爆を仕掛け、米がそれに応援するという図式だったから、イスラエル
側から仕掛ける空爆→イランはホルムズ海峡を閉鎖→原油高騰、という図式を
心配したが、原油価格は年初来の安値に下落した。

 イランが核開発を放棄したわけではないがイランが、国連常連理事会5カ国
+ドイツの6カ国会議の席に着いたからだ。これで当面は中東情勢の緊迫化は
避けられることになった。

 筆者の知っていたイランと言う国は、パーレビ国王と言う西側の教養を身に
付けた王様が治めていた落ち着いた国であった。1977年(と記憶するが)、ホ
メイニ師という、宗教政治合体者の革命があって国王を追放してから、イラン
は中東の火種になった。よって、これからも安心はできないが、当面は中東緊
迫化は避けられそうだ。イランとて、古代のペルシャとして欧州各国を制圧し
ていた大国だからバカではない。米英仏中ロ、ドイツの6カ国が相手では敵わ
ないとソロバンをはじいて6カ国会議の席に着いたのだろう。

 原油価格が高騰する方が有利になる国もある。だが、世界経済規模(註)で
見れば原油価格は一定のレンジで安定することが望ましい。


(註)世界経済の成長率をIMFが予測している。
         2012年   2013年    2014年
   世界     3.5%    4.1%     4.7%
   先進国    1.4%    2.0%     2.7%
   日本     2.0%    1.7%     1.1%
   米国     2.1%    2.4%     3.3%    
   ユーロ圏  -0.3%    0.9%     1.7%
   新興国    5.7%    6.0%     6.3%
   中国     8.2%    8.8%     8.5%

 原油の話しから外れたが、このようにIMFでは日本だけが趨勢的に3年間
は成長率が下落して行くと見ている。外部から、そう見えるのだ。


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■10 火事場泥棒なんて言いッこなしにしよう

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 無理もなことながら欧州の銀行が貿易金融や大型プロジェクトで退潮気味で
ある。この期間に日本の大銀行はかなり稼いだ。それを火事場泥棒なんて言い
ッこなしにしよう。それが金融の世界の常道だから。また、それがフェアプ
レーでさえもあるから。

 2012年3月決算は、邦銀の5大銀行は前期比36%増えて5年前の好決算以来
の好決算だ。ギリシャ危機に悩む欧米銀行は業務を縮小した。鬼の居ぬ間に稼
ぐのがこの業界の常道である。良くやった、と言いたい。

 日本の銀行はバブル後の不良資産の処理を完了し、欧米銀行に比べて痛みは
すくない。むしろこの隙をついて海外融資を伸ばすなどの積極的な姿勢を採っ
た。日本はモノづくりには優れているが金融・商業の分野ではアングロサクソ
ンやユダヤに敵わない、と言われてきた。そんなことは無い。

 1988年にスイスのバーゼルに5大先進国が集まって所謂「BIS 規制」を決め
て、貸出額の8%以上の自己資産を保有せよと決めた。俗に言う「8%ルー
ル」である。これは海外における日本の証券会社や邦銀の勢いに恐れた4大国
(米・英・独・仏)が日本封じ込めのために策したことが契機だという説もあ
った。(おかげで、その後の“失われた13年”では日本はこのBIS規制に縛ら
れて“貸し渋り”を起こした)。

 欧米銀行が南欧国債で傷んだ隙をついて、邦銀が海外業務を拡大したのは天
晴れだったと言いたい。金融業界とはそうしたものだ。普通の娑婆では「目か
ら鼻へ抜けるようなスバシコイ奴で油断ならない奴、つき合いたくない奴だ」
と言われるようなことをしても、金融の世界では、法律と契約を守る限りは
「ハシコイ仕事師」として畏敬され、むしろ惜しみなく賞賛を受ける、と言う
ものだ。

 72年に筆者がNYに行ったころ、日本人は次々と難関のアナリスト試験にパ
スしたし、日本人は「ユダヤ(jeu=10)以上だ」、と言う意味で, elevenだ
と隠語で言われ、「jeu=十」の領域に侵入(シンニュウ)するから十にシン
ニュウで「辻」さん等と隠語で言う日本語通も居たくらいだ。元々日本の証券
も銀行も海外勢を相手として戦えた存在だった。“失われた20年”は余りに自
信を喪失しすぎた。


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■11 蛇足 94 

「感情」が「勘定」を支配したのでは聡明な投資家ではない

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 元・大リーガーの肩書に魅せられてスカウトした球団が、その選手が全く役
に立たずファンから嘲笑の的になったことがあった。

 野村証券もそれと同じく、買収したリーマンブラザーズが手かせ足かせにな
って業績が大悪化した。それにも拘らず、社内報「社友」は半分が英語になり
外国人役員が幅を利かせた。本社社屋に国旗と社旗が掲揚されていたがそれも
止めた。

 もちろん、市場はそれを見逃さない。昨秋は株価は初めて大和証券より安く
なっていた。だが野村には辛うじて自浄作用が作動して外国人副社長も役員も
解任し国内営業上がりの社長を据え、国旗と社旗を立てて本来のアイデンティ
ティ回復に急速に舵を切った。

 市場はそれも見逃さない。株価は最安値から半年内で約二倍近くになった。
このことは既報でも少々触れた。

 それにも関わらず、いま本稿では何を言わんとしているかと言うと、下記の
AとBのことである。元・大リーガーをスカウトして失敗した球団よりも野村
証券の方が怪我は何倍も大きかったし、前車の轍を踏んだ愚かさを当時の経営
者は大英断と勘違いしたことだ。その「大英断」のころ、筆者の野村時代の友
人で海外事情に詳しい男が大リーガー選手の話しを引用して当時からリーマン
買収を危惧していた。それなのに彼は持ち株の野村株は売らなかったという。
ここがこの話の焦点である。

 ここで言いたいことは、

A)“将来を読める奴”は居るものだ、どんな意見でもいいから一応は聞き置
くものだということ。

B)将来を読めていても持ち株を売るという行動力とは別だということだ。読
めていたという「勘定」の部類が「自分が長年いた会社の株だから売れなかっ
た」とう「感情」に支配されてしまったということの反省である。

 Bの方は、実は筆者が取締役を18年ほど勤めていた会社の株を“情”が先に
立って売らなかったのは「優先順位が違うのだ」と自らに言い聞かせて凋落を
予測していながら安くなるまで持続したという事実と全く同じだ。「感情」が
「勘定」を支配したのだ。これでは真の聡明な投資家とは言えない。


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■12 Q&A

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皆さんからのご質問、広く受け付けます!

質問が集まり次第、順次お答えしていきますので、よろしくお願いします。

◆質問は アドレス まで◆

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※紙幅が尽きたので『蛇足』は割愛する。御了承いただきたい。

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山崎和邦の投機の流儀

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■ 問い合わせ:reader_yuryo@mag2.com

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