竹内玲子メルマガ・笑うイカタコニューヨーク
/ 2015年6月25日発行 / サンプル号
 
普通のニューヨークの普通情報もたまに気が向いたら取り混ぜつつ、
役に立つか立たないかを無視してお送りします
『ニューヨーク脱力情報』。
そして、忘れっぽい私が発行日を忘れたり間違えないように、
皆様からの質問コーナーを設けさせていただき、
一回に一通、わたくしの独断で質問を選び
お答えさせていただきますので、
質問を送信してくださる時に
「リンコさん。発行日は毎週金曜日ですよ!」
とリマインダー入れてください(無責任な上に他力本願)。
その前にだーれも質問してくれなかったらどうしよう。
いやもっとその前に、
だーれも購読してくれなかったらどうしよう。

まあ、いいか。


ということで、本日の目次です。
 
 
<1>タクシー運転手(何が言いたいのか?)
<2>エロじじい(さらに意味不明)
<3>今週の脱力ニューヨーカー
<4>チョビマケ予告編(さらに謎のコーナー)
<5>Q&Aコーナー
 
 
<1>ニューヨークのタクシー運転手

初めてあいつらと喧嘩をしたのは、ほんの25年ほど前。
私がまだいたいけな少女で、
日本的で控えめでおとなしくて無口でシャイだった頃のことです。
どこかのおっさん(一応知り合いだけど)と乗っていたイエローキャブ。
ボロボロです。
ビニール張りの椅子は穴だらけでスポンジがガフッとはみだしているし
運転手と乗客の間は分厚い防弾ガラスで阻まれ、
運賃支払い用の小さなキャッシュボックスは、
どこのおっさんが触ったのか
触ると手がベトっとするほど汚れ放題。
そして、運転手のおっさんが握り締めている車のハンドルは、
ハンドルの芯とカバーがずれていて
触るとブガブガすること間違いなしなボロ具合。
日本だったらとっくの昔に廃車状態です。
この後、まさか自分の彼氏がそのボロ車と同程度の廃車を乗り回すのみならず
自分もそれを乗り回すハメになるとは夢にも思いませんでしたが、
それはまあまた後のお話。

乗り込むとすぐに『ウッ』となる異臭が漂っているのがデフォルトだった
当時のニューヨークイエローキャブ。
その汚さとともに、運転手たちの悪辣さもまた有名でした。
アジア人の若い女(はいはいはいはいすみませんね。
でも当時は若かったんですよ。はい)
となると
そういう悪い心を持った連中の格好のターゲットでしたので
何度も嫌な思いをし続けたわたくし。
いたいけで控えめでおとなしい少女でしたが、
イエローキャブに関しては、乗り込んだ瞬間に臨戦態勢。
この時も、同乗したおじさんが行き先を告げたのに
返事もしない運転手の態度にピキッときました。

ちなみにこの同乗したおじさんっていうのがまた、
当時で在米すでに20年ぐらいだったんじゃないかと思うのですが、
英語が超ヘナチョコでした。
「フロアランプを買いにいくからついてきて」
と言われて付き添っていくと、
家具屋のお姉さんにどんなランプが欲しいかを説明するために
“You Know”(ユーノウ)を実に86回連発。
86個のフロアランプじゃないですよ。
1個のランプの説明に、ユーノウを86回です。
この”You know”っていうフレーズ、結構便利に使われることが多く、
特に、ネイティブじゃない人が、
ちょっと言葉に詰まった時や流暢に聞かせたい時に
言葉の合間合間に挟んで多用されがち。
そして、ネイティブの方々も結構使います。
あんまり使いすぎるのはよろしくないらしいのですが、
そんなわけで私もこのフレーズはたまに使います。
でもこのおじさんは尋常じゃなかった。
ちょっとだけさわりの部分を書いてみると
「I want you know floor lamp you know with you know topyou know
brown or gold you know about my hight you know
and you know the top has you know
fringe or something you know….』
みたいな感じ。
あまりの連発振りに、思わずこっそり指折数えてしまいましたよ。
ユーノウを2単語ごとに入れてしゃべり続けるおじさんに、
家具屋のお姉さんの目はみるみるうちに
「‥は?」な感じになり、
そばにいた私も当然いたたまれない気持ちに。

そんなおじさんだったので、
おじさんの英語が通じなかった可能性もあるか?
と様子を見ていましたが、走っているルートを見る限り
一応目的地を目指している雰囲気でしたので、しばし沈黙。
ウェストサイドハイウェイという名の
ハイウェイのくせに信号があるわけのわからんハイウェイを走り出して少し経った頃。
とある変化が運転手のおっさんに起こりました。

<ここで止めるか?続きは待て!創刊号!>


<2>エロじじい

ニューヨークにはエロじじいが多い。
私が渡米後初めて遭遇したのは、毛皮屋のエロじじいだった。
ああ、忘れもしないあれは25年前の冬の日。
あんまりにも寒いニューヨークの冬に、
凍死しそうになったいたいけな少女だったわたくし。
当時居候させてもらっていた親友のコンちゃんに教わり
ガーメントディストリクト(つまり衣類卸屋街)に出かけ、
激安冬物コートを求めてさまよった。

そしてたどり着いた激安毛皮屋さん。
店頭に
“CLOSING EVERYTHING MUST GO!”
とデカデカと書いてあった。
つまり
『閉店売り尽くしセール!』
である。

フラフラーっと入り、目に飛び込んできたのは、
目にも鮮やかな真紅のムートンコート。
大きなフード付きで、前たてはトグルとジッパーで閉じるピーコート風デザイン。
可愛いデザインと美しい赤に目が釘付けになり、
思わず手に取りお値段のタグを見ると

$1900

ぎゃー。

心で絶叫したのち、そっとラックにもどそうとすると、
背後に生臭い人影が近寄ってくる気配。
振り向くと、
殻から出したてのピーナツみたいなじいさんが
ヌローっと立っていた。
ツルーンと茶光りした顔に、半分ずれた遠近両用鼻眼鏡。
ナスカの地上絵みたいな不気味な幾何学模様セーターの
腹回りがドゴっと突き出している。
険しい眉やガサーと生えた口ひげと、ギラギラ光るでかい目。
無駄に濃い顔立ちに_薄いグレーの瞳が非常にキモい。
そして、立ち位置が異様に近い。

「近い」
と思わず日本語でつぶやきながらあとずさりすると
エロじじいもまた一歩前進。

「その美しいコートが気に入ったのか?」

モハメッドぽいエロじじいに聞かれ、はいと答えると

「いくらだ?」

自分の店の品物の値段を、なぜ客に訊く?

「せんきゅうひゃくどる」

エロじじいに気圧され、思わず答える私も私。

「では、タックスを入れたらいくらだ?」

客に計算までさせるか!?

「ええと。ええと」

エロじじいの近さとわけのわからん質問と、
当時まだタックスに不慣れだったせいでしどろもどろ。

「君はあまり頭が良くないようだな」

じゃかましいわ!!!

するとさらにエロじじいが顔を近づけてくる。
当時、まだまだ日本の習慣が身についていた私は、
『お年寄りは敬わねばならぬ』
という意識が先立ち、
おっさんをぶっ飛ばすなんてアイデアが全く浮かばなかった。

ぎゃーキモい近いキモい近い!
と、頭を必死でそらしながら耐えていると

「君にだけ特別に、タックス込みで$600にしてあげよう」

ろ。
え。
六百ドル?
この、1900ドルプラスタックスの
赤くて可愛くて美しいムートンコートを?
六百ドルに?
え?
なぜ?
ていうか、そんなことができるのなら、
この価格設定は一体?
ていうか、おっさん、誰?店長?オーナー?


「そのかわり、私をボーイフレンドに」




え?




「私をボーイフレンドに」




だれの?




「私を君のボーイフレンドにしてくれたら、六百ドルにしてあげよう」



じ、じじい!!!
そりゃいくらんでもド厚かましすぎやせんかっ!

と脳みそ爆発。
それでも、そんな罵詈雑言は口にしないのがやまとなでしこ。


いや。
あの。
すみません。
私、彼氏がいますから。


彼氏がいるっていうのは嘘八百だったけど、
当時の私は本当にまだいたいけな少女だったので
必死で真面目にお断りをした。

「いいじゃないか。ボーイフレンドが二人いたって。
楽しませてあげるよ、私が。フフフフフフフ」


ダーっっっっっと鳥肌。
全身鳥肌。


いりませんいりませんいりませんお金ないからいりませんいりませんいりません!

必死で断って、おっさんの手にコートを押し付け
走って帰った。

今思い出してもキモいニューヨーク初エロじじい体験。
帰宅後コンちゃんとタクオ(コンちゃんの旦那さん)に体験談を話したら
二人に一斉に
「うわーキモちわるいーー。でもまともに相手しないで
さっさと600ドルで買って逃げて帰って来ればよかったのに」
と言われた。

それ以来、冬になると赤いムートンコートを探すけれど、
あの時見たような、
可愛くて美しい真紅のムートンコートには
未だに出会えていない。


<3>今週の脱力ニューヨーカー

とあるデリの店先で。
いつものようにメキシカンなお兄さんが
お花売り場の店番をしている。

通りかかったモハメッドぽいおっさん。
サボテンの鉢を手に
「ハウマッチ?」
メキシカン店番
「エクスペンシブ」

モハメッド
「サンキュー」

スタスタスタ。



それで終わりかい!
なんのために値段聞いたねん!

通りすぎながら、思わず突っ込んだ一場面でした。


<4>チョビマケ

このコーナーは、今は天国ぽいところに行ってしまった私の愛犬
シベリアンハスキーのチョビ(女・享年16歳と8ヶ月)が
私の無駄遣いやくだらないもの集めを
『犬念力』を使って全力で止めてくれるコーナーです。
ちなみに『チョビマケ』は
『チョビのオマケ』の省略形です。

アメリカのくだらないグッズを知りたい人。
犬念力について知りたい人(?え?)。
どうでもいいけど、ひたすらチョビが好きな人。
くだらないメルマガだけど、
購読しちゃったからには1円でも取り戻すために
何がなんでも最後まで読むわ!という人。
そんなあなたのためのコーナーです。
お楽しみにー。


<5>Q&Aコーナー

何年続けているのかちょっと今よくわからなくなっている
アメブロのオフィシャルブログと、
そのもっと前から続けていたけれど
ココセレブっていうコーナーがなくなっちゃったのでやめちゃった
ココログのブログ。
どちらも読んでくださっている皆さんから
コメント欄で時々質問をいただくのですが
残念ながらその全てにお答えすることができず
とっても心苦しく思っていました。

そこで、このメルマガでは読者の皆さんとの交流の場を
設けたいなと思い、このQ&Aコーナーを作りました。

独断と偏見で質問を選ばせていただき、
メルマガの中でお返事させていただきますね。
匿名ご希望の方はその旨明記してください。
そして、絶対に必ず
「リンコさん。発行日は毎週金曜日ですよ!」
とリマインダー入れてくださいね。
お願いしますね。
みなさんだけが頼りです。
よろしくお願いいたします。
 
無理やり途中でブチ切って次号につなげるという手段で
読者を増やそうというセコい考え丸出しのサンプル号、いかがでしたか?
みなさんの週末をさらに脱力なものにするため、
他力本願無責任全力投球でメルマガをお届けしますね。
どうぞよろしくお願いいたします!
発行人:竹内玲子
発行犬:竹内チョビ
ブログ:http://ameblo.jp/reikotakeuchi/
連絡先:xxxxxx@xxxxx.com
3年前、全力で頼りきっていた愛犬チョビ(シベリアンハスキー・女・享年16歳と8ヶ月)
に先立たれて以来、廃人のような生活を送っていましたが、
いい加減にしろとみんなに叱られ、
ようやくチョビを偲んで泣きながら書いた『永遠に生きる犬・ニューヨークチョビ物語』が
2015年2月13日に講談社文庫から発売になりました。
<講談社文庫・永遠に生きる犬 ニューヨークチョビ物語>

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