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英語の種あかし、アメリカの種あかし

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  3. その他
 personality(その場の雰囲気)

 ここでは、日本人がよく知っている英語の、意外に知られていない使い方について書
いてみたいと思う。
 chemistry というと、大半の日本人は「化学」という意味で知っていると思うが(あ
るいは人気デュオの名前として知っているかもしれない)、chemistry には「相性」と
う意味がある。
 Our chemistry is good[right].
と言えば、「私たちは相性がいい」ということだ。
 They have genuine chemistry.
と言えば、「あの人たちは真から相性がいい」ということになる。

 この「chemistry=相性」はかなり知っている人もいるかもしれないが、次の
personality の使い方を知っている人はわりと少ないのではないだろうか。
 かく言う私もこのあいだまで知らずに、ヤンキースのジョン・トーリ監督が、劣勢だ
った試合を松井選手の活躍で勝ったあとのインタビューの中で使ったのを聞いて驚かさ
れた口である。彼はこう言ったのだ。
 We've been struggling for runs, and it really helped our personality.
personality というと、まずは「人格」という意味で知っているし、「パーソナリテ
ィは山谷順平さんです」といった使い方も知っている。
 だが、この発言の中の personality はそのどちらとも違うように思われた。
 実は personality には「その場の雰囲気」という意味もあるのである。
 したがって上の文は、「我々は点が取れなくて苦労していたが、あれ(松井のホーム
ラン)がチームの雰囲気を変えてくれた」ぐらいの意味になるのである。

 tall という単語は「背が高い」という意味で日本人にもよく知られているが、tall
tale というと、「ほら話」という意味になる。
 私の理解を超えている映画を撮ることの多いティム・バートン監督の『ビッグ・フィ
ッシュ』という作品なども、典型的な tall tale である。
 英語には spin a yarn (大袈裟な作り話をする)といういい方もあって( spin は
本来は「紡ぐ」、yarn は「紡ぎ糸」のこと)、そういう話をする人のことを yarn-
spinner という。
 『ビッグ・フィッシュ』は、卓抜した yarn-spinner である父親が語る壮大なほら話
を映像化した作品なのである。

 では、最後に、legs(脚)を使った次の英文はどういう意味だろうか?
 Women can give a movie legs.
これは「女性は映画に脚を与えられる」という意味ではない(笑)。ここでの legs
は「息の長さ」のことである。したがって、この文は「女性が見に来ると息の長い作品
になる」という意味になる。

★ サンプル2

 negating Masako's career and character(雅子のキャリアや人格を否定するよう
な)

 皇太子殿下があの異例のご発言(unusual remarks)をされたとき、私はちょうどそ
れをテレビのニュースで見ていて非常に驚くとともに、宮内庁にもそろそろ構造改革が
必要なのだろうなと思ったが、こういうエッセイを書いていることもあって私は、その
ご発言を英語メディアはどのような英文で伝えるだろうかということも思わず考えてし
まった。

 「過去に雅子のそれまでのキャリアや人格を否定するような動きがあったことも事実
です」

 概ねこのようなご発言を英語にする場合、「〜(も)は事実です」の部分は、日本人
にもお馴染みの、It is true that 〜の構文が使える。それを使ってたとえば次のよう
な英文ができる。

 It is true that there were ( 動き ) in the past that denied Masako's
career as a diplomat as well as her personality.

 as a diplomat のところは、字義どおり、up to then (それまでの)としてもいい
だろうし、personality は character でもいい。

 問題は(  )にしてある「動き」のところだが、これは英語に直訳すれば、moves
とか movements となって、それでも間違いではないと思うが、やはりちょっと直訳す
ぎる感じがする。

 では、どうするか? 

 いくつかの英語の媒体を見ていたら、この部分はみな developments としていた。

 develop、development は、多くの日本人が「発展(する)」という意味で覚えてい
る言葉だが(たとえば developing countries(発展途上国)という具合に)、この言葉
には日本語でいうところの「展開」という意味もある。the latest developments in
the trial (裁判の最新の展開[動き])というようなときの展開である。

 殿下のご発言の中の「動き」という言葉も、「我々がこれこれの希望を述べたら宮内
庁からこれこれの反応があった」というような動きのことであると思われるので、ここ
ではたしかに developments という言葉がよく当てはまる気がする。

 他のメディアよりは少しむずかしい、ときとして気取った言葉が使われることも多い
Time誌では、deny (否定する)のところに negate という言葉が使われていた。これは
日本人には動詞としてはあまり馴染みのない言葉かもしれないが、negative(否定的
な)からその意味は容易に察しがつくだろう。

 それよりも、この問題に関する『タイム』誌の英語で私がうまいなと思ったのは、殿
下がその後、雅子妃をめぐる発言の真意を説明するために公表した文書に言及した部分
で使われていた英語だった。

 日本の英字新聞などではこれを、a statement issued to the public to explain
what he meant in the unusually candid remarks about his wife といったふうに
書いていて、これはこれでいいと思うのだが(いかにも直訳的ではあるが)、『タイ
ム』ではこれを、a written clarification と書いていた。

 日本語では真意を「説明する」となっているので、もちろん explain でもいいのだ
が、ここでは一度述べられた発言について補足の説明をするということなので、clarify
(意味などを明白にする)という動詞やその名詞の clarification という言葉を使っ
たほうがより適切だと思われるのである。









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  • 2009/10/22
  • 毎月 第2木曜日・第4木曜日(年末年始を除く)