【プレミアム版】 
Sample
創刊 2008.09.01
発行 2008.10.27
希少な血にロマンがある。思い出深いあの馬の仔を追いかける。唯一無二のロマン派競馬誌 
 
http://pds.exblog.jp/pds/1/200811/07/59/f0097759_13525867.gif 

スエヒロコマンダー産駒
 イナズマアマリリス 牝2 5回京都2日11RファンタジーS 芝・右1400m 3歳OP

  血統  母 イナズマラム、 母父 ラムタラ
  戦績 8戦4勝(うち地方5戦2勝)
  生産者 小泉牧場
  調教師 松元茂樹(栗東)

意外性の血を継承!ブービー人気で重賞初制覇。初夏の花アマリリスが晩秋に早くも開花。


●レース回顧

好スタートを決めると、すんなり先行。


緩い流れにもピタリと折り合い、一団となった馬群の最内でジッと待機。


直線に入って追い出し、果敢に最内を突く。


だが、先頭コウエイハートが外鞭に反応して内にヨレたため、その外へ進路変更。


瞬時に反応し、鋭い伸び脚を発揮。


残り100mで抜け出すと、内ワンカラット、外アディアフォーンの猛追を最後まで凌ぎ切った。





●レース解説

『ポイント1 レース経験』

 このレースを振り返る上で、まずこのレースが2歳馬のレースだということを念頭に置かなくてはいけない。
それを前提にせず、経験豊富な古馬のレースと同じように「展開」や「騎手の腕」がどうだのと安易に考えてしまうと誤った見方をしてしまう。

 このレースの結果を大きく左右したのが「レース経験」 だった。
この時期の2歳馬は、まだキャリアの浅い馬が多い。
そういった馬たちは、まだ競馬を日々覚えている段階だけに、レースで能力を出し切れない場合も多々ある。
このレースで断トツの1番人気に支持されたワイドサファイアなどもその最たる例。
ユーイチが“シーザリオ級”と絶賛する素質馬のワイドサファイアもこのレースでは出遅れたり、掛かったりするなど随所に幼さを露呈し、能力を出し切れずに終わった。
ユーイチも敗因に「キャリア不足」を挙げ、仕方ないという趣旨のコメント。
むしろレースで揉まれる経験が出来たことは良かったと前向きに捉えている。
これに対し、勝ったイナズマアマリリスは、メンバー中で最多の出走経験があった。
2着ワンカラットは前2走とも重賞に出走。レベルの高いレースで揉まれた経験はメンバー中随一だった。

 「幼稚園児の運動会」と準えられる2歳戦。
展開云々以前に、まず馬がきちんと競馬をしてくれるかということが問われる。
このレースでも出遅れたり、掛かったり、ヨレたりと幼さを露呈する馬が続出。
その中で、イナズマアマリリスは終始無駄のない大人びたレース運び。これが勝利の大きな要因となった。


 2歳馬のレースでは、騎手は勝負とは別に、騎乗馬に競馬を覚え込ませるという「教育係」の役目も担う。
だから、レース経験の浅い馬に騎乗した騎手は、純粋に勝利だけを追求すればいいという訳にはいかない。
競馬で競うだけでなく、他にもいろんなことに気を配らなければならないことが多いからだ。
スタートや折り合いはもちろんのこと、馬群への入り方、コーナーワーク、鞭の使い方など挙げれば切りが無いほど。
馬群の中で怯んだり、コーナーで膨れたり、鞭を嫌がったりと、レースで相手と競う以前の問題という馬も中にはいる。

 しかし、イナズマアマリリスには、そんな心配はまったくの無用だった。
騎乗した池添も「乗りやすくて楽だった」との弁。余計な心配をすることなく騎乗できたということだろう。
例えば、直線で最内を突こうとした場面。このとき、斜め前にいたコウエイハートが按上の田村騎手の外鞭に対し、過剰に反応して内にヨレたことで、進路が塞がってしまう。だが、イナズマアマリリスはまったく臆することなく進路変更の指示に素早く反応することができた。

 前が塞がったとき、進路を変更することは、競馬の中ではごく当たり前の騎乗。
しかし、これが2歳馬のレースとなると、話は違ってくる。
急に前方を塞がれたことで驚いて怯んでしまう馬もいれば、瞬時の進路変更にスムーズな脚捌きができず、モタついてしまう馬もいるからだ。
だが、イナズマアマリリスはそういった事態にも難なく対応。
レース後、池添もこの場面のイナズマアマリリスの反応を「外に切り替えても、ちゃんとハミを取ってくれましたからね」と称賛。

 接戦となったこのレース、もしこの場面で少しでもモタついてしまっていたら、この勝利はなかったはず。
僅差で2着に敗れたワンカラットがまさにそれ。
「直線で自分が行こうとしたところに、先に勝ち馬に入られて切りかえたロスが痛かった」と藤岡佑介騎手はこれを敗因に挙げて悔やんだ。
この進路を切り替えたときのワンカラットの動きを見ると、イナズマアマリリスに比べてややスムーズさを欠き、藤岡佑介騎手が一瞬追えなくなっている。(写真5)
藤岡が言うように、結局このロスが勝敗を左右した。
もし、イナズマアマリリスの反応が少しでも遅れていたら、ワンカラットとは逆の立場になっていただろう。
まさにこの勝利は、イナズマアマリリスの「経験」「センスの良さ」によって掴んだものと言えよう。

 イナズマアマリリスの「センスの良さ」 が表れた場面はまだある。
瞬発力を発揮し、抜け出した後、両脇のワンカラットとアディアフォーンの猛追を凌ぎ切った勝負根性だ。
経験豊富な古馬でさえ、中には抜け出すとソラを使ってしまう馬がいるというのに、2歳馬であれだけの勝負根性を発揮したイナズマアマリリスは賞賛に値する。
この最後の踏ん張りは、元来の類まれな勝負根性に加え、アマリリス自身が既に競馬をしっかりと理解しているから成せたのだろう。

 そんなイナズマアマリリスもここまでの過程には紆余曲折があった。
ダートを走っていた頃は、砂を被ると怯んでしまい力を出し切れないなど決して最初から競馬が上手かったという訳ではない。
レース経験を積んでいく過程で競馬というものを学習し、理解していったのだろう。

 また、イナズマアマリリスの「センスの良さ」は、単に経験を積み重ねたから身についていったという訳でなく、この馬に元来備わっている学習能力の高さがその礎になっている部分もあるのだろう。
中には、何十戦もレースを経験しながら、ほとんど競馬を理解していないような走りしかできない馬もいるのだから。

 こうして振り返ると、イナズマアマリリスの「経験」「レースセンスの良さ」が勝利の大きな要因となったことがよく分かる。
経験の浅い馬が多く出走する2歳戦では、「レース経験の差」も勝敗を決する大きな要因となるのだ。


『ポイント2 瞬発力』

 そして、このレースの結果を左右したもうひとつのポイントが「瞬発力」
極端に遅い流れとなったこのレース。1000m通過タイムは何と「61.1秒」。
レースの上がり3Fが「34.8秒」。最後の2ハロンがともに「11.3秒」。
この数字だけを取り上げて単純に考えてしまうと、「先行有利の前残りの競馬」と捉えてしまうだろう。
だが、当然のことながら数字だけでなく、各馬の動き、位置取り、馬群の形状、コース形態、馬場状態など多角的な観点から分析しなければならない。
そうすると、このレースは「先行有利の前残りの競馬」ではなかったことが分かる。

 では、これだけ極端に遅いペースでありながら、なぜこのレースが「先行有利の前残りの競馬」ではなかったのか。
ここで特に目を向けなければならないのは、「ペース」だけでなく、「馬群の形状」「馬場状態」
極端に遅い流れとなり、道中も馬群はギュッと詰まった団子状態(写真2)が続いた。そして、直線を向いたときには全馬がほとんど横一線に並んだ形(写真3&4)
さらに、前日の開催から仮柵を設置したBコースの馬場は、その内外でほとんど差のない絶好のコンディション。
つまり、各馬がほぼ横一線に並んだ状態では、その前後はもちろん、その内と外でも有利差はないことになる。言ってみれば、よーいドンの100m競走みたいなものだ。
絶好の馬場状態に加え、京都の外回りコースは、直線では馬群がバラけやすく、その長さも広さも勝敗を決するのに十分なもの。
つまり、能力差がそのまま出やすい条件と舞台ということになる。
このような状況下では、もう位置取りによる有利不利などはほとんど関係がなく、純粋に「瞬発力」を競うガチンコ勝負となる。
実際、上位に入線した馬は道中に先行した馬ばかりという訳ではない。
例えば、2着に入ったワンカラットは4コーナーではまだ9番手。直線を向いたところでイナズマアマリリスの直後につけていた。
レース後の騎手の談話を見ても、出遅れて中団からレースを進めた福永騎手をはじめ最後方に位置したルメール騎手まで“位置取りが後ろ過ぎ”ということを敗因に挙げる騎手は皆無だった。
一概にスローペースと言っても、「馬群の形状」や「馬場状態」、「コース形態」など様々な要因によって、レースの質と結果は大きく変わってくるのだ。

 末脚を武器にする差し馬の好走パターンの代表例として、ハイペースによって先行勢が崩れる展開がまず挙げられる。そして、その他にもスローペースで馬群が一塊となった瞬発力勝負の展開がある。今回のレースなどまさにそれ。
つまり、今回のレースは、「レースの流れ」、「馬群の形状」、「馬場状態」、「コース形態」を考えれば、「瞬発力」に秀でた馬には打ってつけの展開だったのだ。


 直線を向いた時点では各馬がほぼ横一線、馬場状態も内外で差はなく、位置取りに有利差はほとんどなかった。
しかしながら、そこに至るまでの過程においては、インコースを通った馬の方が断然に有利だった。
馬場の内外で状態に差がなければ、当然距離損の少ないインコースを通った方が有利であることは言うまでもないが、このレースではそれに加えて超スローペースになったことで、馬群が凝縮し、横に大きく膨らんだ形状(写真2)になったため、その外側に位置した馬はその分距離損が余計に大きくなったからだ。
従って、内枠のイナズマアマリリスに馬場状態と展開が味方したという側面があることは事実。
それでも、京都の外回り1400mのコースは、スタート後に400m弱の長い直線がある。だから、外枠の馬でも先行力があれば、先行して内に入り込むことは可能だ。
また、馬群が直線でバラけやすいコース形態を考慮し、直線でインを突くことを狙い、思い切って最後方で待機するという作戦を取れば、外枠からでもインコースで距離損なく回ることができる。
しかしながら、今回のレースでそのような策を取った騎手がほとんどいなかったのは、このレースが2歳馬のレースだったからだろう。
まだそこまで器用に立ち回れる馬が少ないということだ。
外枠から後方に待機し、インコースを回ったルメールや岩田が直線でインを突かず、敢えて大外に持ち出した。これは、インを突いても騎乗馬がはたして馬群を縫うような器用な脚を使えるかという不安があり、そのリスクを回避したためではないだろうか。
これがもし古馬のレースだったら、両者とも迷わずインを突いていたことだろう。

 かなり稀な超スローペースとなったこのレース。そうなった要因に、純然たる逃げ馬がいなかったということが考えられるが、それ以外に「騎乗馬に競馬を教えたい」という騎手の意図が根底にあったことも考えられる。
例えば、ツルマルハローに騎乗したユタカ。
前走のデビュー戦で逃げ切ったツルマルハローである。
遅い流れを見越して、ハナに立った方がコースロスなく回れる分、有利になるはず。
だが、ユタカは手綱を引き、敢えて馬群の中で折り合うことを選択した。
行こうと思えばハナを奪えたこの馬にそうさせなかったのは、今後の事を考えて「レースの流れに乗って、馬群の中で折り合う」ということをこの馬に覚えさせたかったからなのだろう。
そういった意図が各騎手にもあったのか、極端に遅い流れにも関わらず、この流れに逆らって自分から動いていくような策は敢えて取らずに、各騎手とも淡々とレースの流れに乗ることを意識したような騎乗だった。
もし、これが古馬のレースだったら、こんな甘い騎乗はせずに、騎手同士の駆け引きの中で自分から動いて、レースを自分有利に持ち込もうとする騎手もいたはずだ。
これがレースを通じて競馬を覚える段階にいる2歳馬のレースと既にその段階を卒業した古馬のレースとの違いの一端でもある。


 レースでは瞬発力が求めらる傾向の強い昨今の日本競馬。
今回のような瞬発力勝負による結果も出走馬の能力を比較する上で重要な指標になる。
そういった能力に秀で、瞬発力勝負で無類の強さを発揮し、時代を席巻してきたのがサンデーサイレンス産駒たちであることは周知の通り。

 そのサンデーサイレンスの系統が日本競馬における現在の主流系統となった訳だが、その中でイナズマアマリリスの配合はそれに属したものではない。
イナズマアマリリスの父スエヒロコマンダーは、現役時に重賞2勝という成績しか残せなかったマイナー種牡馬。その競走成績だけを見れば、種牡馬になれたこと自体が幸運とも言える程。
母父のラムタラは、トレードマネー30億円超という大きな期待を掛けられ輸入されたものの、その期待に応えることができず失敗に終わった種牡馬。
素軽さや瞬発力に欠けたことがその原因とされ、日本に輸入された欧州の一流種牡馬の典型的な失敗例でもある。
このイナズマアマリリスの血統背景を見れば、軽い芝での瞬発力勝負を不安視されても仕方ないところ。
そのイナズマアマリリスが今回のような軽い芝での瞬発力勝負を物にした価値は大きい。
血統的には、むしろ今回とは逆にハイペースでスタミナが要求されるレースで本領を発揮できるタイプ。当然、距離延長もまったく問題ないだろう。
父スエヒロコマンダーは古馬になって本格化し、8歳まで現役を続けた馬。
成長力もあるはず。

 特異なペースとなった今回のレースが次の阪神JF、そして来春の桜花賞に直結するとは言い難い。
だが、今回イナズマアマリリスが見せてくれた「レースセンス」、「勝負根性」、「瞬発力」がこの馬にとって今後の牝馬クラッシク路線を戦っていく上でも大きな武器になることは間違いない。

 また、ワイドサファイアをはじめ今回はキャリア不足から能力を出し切れずに終わった馬も、当然これからキャリアを積んで巻き返してくるだろう。
スローペースで直線の「よーいドン」というレースとなった今回は特に厳しいレース展開ではなく、池添の腕を要することもなく勝てたが、これから先に待ち受ける厳しい戦いの中では、当然、「騎手の腕」も要求される場面があるだろう。

 このレースの数日後、結婚を発表した池添。
お相手は7歳下のタレントというから、池添らしいか。
イナズマアマリリスの重賞制覇は、文字通り池添の結婚に花を添えた形。
アマリリスは南米の花。
オーバーな程に感情をストレートに表し、情熱的でラテン系とも言える池添にはお似合いの花とも言える。
アマリリスの花言葉のひとつが「強い虚栄心」。
これも池添にピッタリか・・。

 池添と牝馬と言えば、スイープトウショウ、トールポピー、シーイズトウショウ、ヤマカツスズラン、アローキャリーと続々と活躍馬の名が挙がり、「牝馬の池添」と言える程、多くの輝かしい実績を残している。
イナズマアマリリスにもそういった先輩に近づけるような活躍を期待したい。



『転厩の効果』

 ブービー人気という低評価を覆す劇的な今回の重賞制覇。
レース、そしてイナズマアマリリスの実力だけでなく、松元茂樹調教師の手腕にも目を向けなければならない。
道営所属だったイナズマアマリリスは、今回が転厩初戦。
転厩後は、坂路やプールなど中央の充実した施設で鍛え直された。
その成果が馬体にも表れた。前走より14キロも減りシェイプアップ。
細くなったというより、しっかり走れる体になったという印象。
これが直線の切れ味を生み出す原動力にもなった。
札幌では余裕残しの体ながら好走してきたと考えると、改めてこの馬の能力の高さを思い知らされる。

 この馬の芝適性と能力を評価し、本誌上でも中央への移籍を提言していたが、これ以上ない程ふさわしい厩舎に移籍できて本当に良かったと思う。
移籍先の松元茂樹厩舎には、かつて父スエヒロコマンダーも所属。
さらに、スエヒロコマンダー産駒の稼ぎ頭メトロシュタインも同僚だ。
「スエヒロコマンダーの子はうちしか走らないから」と冗談半分に言う同師だが、それも頷ける。
競走馬と人間の縁、これもまた競馬におけるロマンのひとつである。

 スエヒロコマンダー以外にも、これまでにビリーヴ(スプリントGI2勝)、ローブデコルテ(07年オークス)、ウインクリューガー(03年NHKマイルC)、ヤマカツリリー(02年阪神JF2着)、アルナスライン(菊花賞2着)などの活躍馬を育て上げてきた松元茂師が「いいスピードを持っている」と素質を見込んだイナズマアマリリス。
過去には、プリモディーネ、スイープトウショウ、ラインクラフト、アストンマーチャンなど、後の活躍馬を多数輩出し、“出世レース”と称されるファンタジーSを制したことで、実績豊富な師の期待も大きく膨らんでいることだろう。
次走は、祖母スエヒロジョウオーが劇的な勝利を飾った阪神JFだ。

 アマリリスの開花時期は5〜6月。ちょうどオークスの時期。
満開となるにはまだかなり早いが、次の阪神JFでイナズマアマリリスも大きな花を咲かせることができるか。



●夢とロマンに満ちた血統背景

 私が競馬に魅力を感じるもの、求めるものは、馬券に当たったとか外れたとかという単純な快楽ではなく、1頭の競走馬の背景にあるロマン
例え無名の未勝利馬であっても、その競走馬には誕生からレースに出走するまでに携わってきた様々な人間の夢や苦労や努力が込められている。
そして、サラブレッドの長い歴史は、まさにそういった夢やロマンを追い求めてきた人間の努力の歴史とも言えるだろう。

 そんな夢やロマンに溢れた競馬の中で、私が特に応援したいと思うのは、血の継承が困難なマイナー血統馬や規模は小さくても夢を追い求め日々額に汗を流して懸命に頑張っている生産者たち。

 そんな私が求めている夢やロマンをまさに凝縮しているのがこのイナズマアマリリスという馬だ。

 イナズマアマリリスが生まれた小泉牧場は、僅か4人で切り盛りしている小さな牧場。
代表の小泉賢悟氏は2代目。小泉氏が先代から継いだとき、牧場の土地はかなり痩せ細っていたという。
だが、「土の悪さを何とかしたいけど、土を改良するには金がかかる」と小泉氏が自らの手で土地を耕し再生させると、牧場からはイナズマクロス、スエヒロジョウオー、スエヒロコマンダーという3頭の重賞勝ち馬が出た。
小泉牧場に初めて中央重賞制覇をもたらしたイナズマクロスは、小泉氏が「どうしてもこの牝馬を牧場に残したくて、そのためには自分が馬主になるしかないと思った」と、馬主資格をとって自身で所有した馬だった。

 そして、時を経て、小泉牧場が大切にしてきたその3頭の重賞勝ち馬の血を継ぐイナズマアマリリスが同牧場にとって久しぶりとなる重賞制覇を成し遂げた。
イナズマアマリリスは、まさに小泉牧場の長年の努力の結晶、そして生産者にとって夢のような配合と言える馬なのだ。

 先日、西山牧場売却というとても残念なニュースが報じられた。
名門オーナーブリーダーでさえそのような状況に追い込まれてしまったように、近年馬産界では中小の牧場を取り巻く状況が非常に厳しくなっている。
不況や地方競馬の相次ぐ廃止の影響で止む無く廃業を選択する小規模生産者が後を絶たないというのが実情だ。
そんな中、小泉牧場のような小さな牧場が牧場ゆかりの血統を持つ自家生産馬同士の配合で中央の重賞勝ち馬を出すのはとてつもない快挙と言える。

 それを実現させたのが小泉氏の情熱、そして夢やロマンなのだろう。
「スエヒロコマンダーの名を後世に残してあげたかった」という一心で毎年牧場の繁殖牝馬にスエヒロコマンダーを交配し続けてきた小泉氏。
現実的に考えれば、成功の確率は低いのだろう。そして、そんな“思い入れ”だけで成功を手にするのは難しい商売だというのも現実だ。
それでも小泉氏は、「思い入れだけでは、この世界ではやって行けないことは分っているけれど、何とかスエヒロコマンダーの産駒に走って貰いたかった。スエヒロコマンダーの仔は走るという信念を持ち続けていました」という強い信念からスエヒロコマンダーに自分の夢を賭けた。
それは小規模生産者の意地あるいは執念とも言っていいだろう。
そんな小泉氏の情熱、夢やロマンの結晶がイナズマアマリリスなのだ。
イナズマアマリリスが見せた「絶対に負けるもんか!」というようなあの勝負根性は、まるで小泉氏の執念が乗り移ったかのようにも思えた。


 3世代目の産駒から中央重賞勝ち馬を輩出し、小泉氏の信念に見事応えて見せたスエヒロコマンダー。
種牡馬としての高い資質を証明した訳だが、今年の種付けシーズン終了後にシンジケートが解散となり、種牡馬を引退することが一度は決まっていた。
スエヒロコマンダーのその窮地を救ったのが、小泉氏ら関係者、そしてイナズマアマリリスだ。
シンジケートが解散となり、種牡馬引退の断が下されたときも小泉氏は、決してスエヒロコマンダーの可能性を諦めようとはしなかった。
オーナーら関係者と話し合い、スエヒロコマンダーの種牡馬登録を残しておくことにしたのだ。

 供用先の優駿SSを退厩し、現在は赤石久夫牧場分場でノンビリと過ごしているスエヒロコマンダーであるが、孝行娘イナズマアマリリスの活躍で来年以降も種牡馬を続けられそうだ。
それを可能にしたのも、一度は種牡馬失格の烙印を押されたスエヒロコマンダーの可能性を信じ、その種牡馬登録を残しておいた小泉氏の強い信念があったからこそ。
「来年の種付けシーズンまでにスエヒロコマンダーの供用地を考えておかなければなりませんね」と語る小泉氏。
その胸の中は、自らが生産したスエヒロコマンダーに賭ける夢で一杯なのだろう。

孝行娘イナズマアマリリスの重賞制覇以降、小泉氏の元にはスエヒロコマンダーの種付けの申し込みや問い合わせが殺到しているという。

スエヒロコマンダーの仔たちが次はどんなを見させてくれ、そしてロマンを感じさせてくれるか今からとても楽しみだ。



●血統背景
<母系>
母系は、浦河・酒井牧場が輸入した英国産ウオーターミユージツク(5代母)を日本での基礎繁殖としている。
この系統からは、ダートGIを4勝したアブクマポーロが出ている。
祖母イナズマクロスは、当時若手のホープだった横山典弘騎手と主にコンビを組み、後方一気の鋭い末脚を武器に芝で活躍。91年クイーンSで重賞制覇を飾ると、続くエリザベス女王杯でも4着と健闘。産駒は中央で3勝したトーセンサンダー(父パラダイスクリーク)が最高の成績。母イナズマラムは宇都宮で1勝のみ。


<牝系図>

ウオーターミユージツク
1947 (by The Pelican) 〔英〕
 └ ヒバナ 1954 (by Panorama)
  ├ブルーベリー 1962 (by トサミドリ)
  |└ラツキーフオツクス 1972 (by トピオ)
  | └ニレザクラ 1986 (by マルゼンスキー)
  |  └ヒカリルーファス 1992 (by ノーリユート) かしわ記念、全日本3歳優駿、羽田杯
  |
  ├プレリユード 1963 (by ヒンドスタン)
  |└エイメルン 1972 (by セダン)
  | └マイネルムート 1986 (by フアインポート) 新潟3歳S
  |
  └ミスオリオンの弐 1964 (by ヒンドスタン)
   ├ポーロニアオリオン 1972 (by セダン)
   |└イナズマクロス 1988 (by シービークロス)  クイーンS
   | └イナズマラム 1999 (by ラムタラ) 宇都宮1勝
   |  └イナズマアマリリス 2006 (by スエヒロコマンダー) ファンタジーS
   |
   └ポーロニアユミコ 1978 (by プロント)
    └バンシユーウエー 1982 (by ペール)
     └アブクマポーロ 1992 (by クリスタルグリツターズ)帝王賞、東京大賞典、川崎記念2回



<父系>
父スエヒロコマンダーは、92年阪神3歳牝馬S覇者スエヒロジョウオーの初仔で、コマンダーインチーフ産駒。一発屋に終わった母とは対照的な晩成型で古馬 になって本格化すると、芝の中距離重賞を2勝した。その後は、重賞で2着3回、3着4回と勝ち切れなかったが、中長距離重賞路線で4年に亘り活躍。8歳1月、通算6 0戦目の日経新春杯を最後に現役引退。

シンジケート(1株100万円×30口)が組まれ、03年に優駿SSで種牡馬入り。種付け頭数は初年度の24頭が最多と伸び悩んだが、06年デビューの初年度産駒から、中央4勝、オープン特別2着メトロシュタイン(牡4)を輩出。 さらに3世代目のイナズマアマリリス(牝2)は重賞・ファンタジーSを制覇。 コマンダーインチーフの後継として期待できたが、残念ながら今年シーズン後に シンジケートが解散。 現在は静内・赤石久夫牧場分場で繋養されている。 種牡馬引退の話も持ち上がっていたが、イナズマアマリリスの活躍で種牡馬を続けられるとのこと。

<配合>
父スエヒロコマンダーがNorthern Dancer 4 x 5 、母父ラムタラがNorthern Dancer 2 x 4と、ともにNorthern Dancerのクロスを持ち、この血を主体とした配合。
成長力に富み、距離の融通性も高い。

母系は、ラムタラ、シービークロス、セダン、ヒンドスタンとスタミナに富む種牡馬が代々配されており、スタミナ色が濃い。
母方の祖母イナズマクロスも2000m〜2400mの距離を最も得意としていた。
この母系と現役時に長距離でも実績を残したスエヒロコマンダーとの配合からはスタミナへの不安はなし。

スタミナ色の強い配合のイナズマアマリリスが2歳時からスピード競馬に対応できているのは、マイラーだったトウショウペガサスの産駒スエヒロジョウオーの血とNorthern Dancerの血の良さの一つである距離の融通性の高さからか。
このNorthern Dancer の距離の融通性の高さという点では、Lyphardダンシングブレーヴ〜コマンダーインチーフと繋がる父系の良さが出ているのだろう。
Lyphardは自身がスピード型でありながら、直仔や孫は幅広い距離で活躍。
そのLyphardの代表産駒がダンシングブレーヴで、ダンシングブレーヴの系統は今のところLyphard系の中で最も繁栄しており、この系統の産駒もスプリント戦から長距離戦まで幅広い距離で活躍している。

また、このLyphard系の良さの一つが遺伝力の強さ。
これが父系を継続させている要因となっているだけでなく、母系に入っても多大な影響を与え、ディープインパクト(母父父Lyphard)、メイショウサムソン、スイープトウショウ(ともに母父ダンシングブレーヴ)など多くの名馬を輩出している要因となっている。
スイープトウショウなどは、その距離適性からは父エンドスウィープの産駒というより、ダンシングブレーヴの産駒と言ってもいい程だ。

さらに、イナズマアマリリスの配合で強調できるのがNijinsky 5 x 3のクロス。
Nijinskyの血は日本向きの素軽さに欠け、日本において父系は繁栄していないが、母系に入るとこの血の良さである底力を伝えて、大一番に強い産駒を多数輩出している。
イナズマアマリリスの勝負強さもこのNijinskyの血の良さが出ているのかもしれない。


●生産牧場紹介
新冠町の(有)小泉牧場は1955年創業。社長の小泉賢悟氏は2代目。
先代から牧場を継いだ時、腰が弱い馬しか育たないことに危機感を覚えた小泉賢悟氏が、自分の手で土を掘り返し、土壌を改良した成果もあり、91年クイーンSでイナズマクロスが生産馬として重賞初制覇を飾ると、翌年にはスエ ヒロジョウオーがGI阪神3歳牝馬Sを制覇。さらにそのスエヒロジョウオーからスエヒロコマンダー(重賞2勝)という活躍馬が出た。
99年6月のスエヒロコマンダーの鳴尾記念(G2)制覇以降、長らく重賞に手が届いていなかったが、前述3頭の血を引くイナズマアマリリス(牝2)が先日のファンタジーSで久しぶりの重賞制覇をもたらした。



●レース後のコメント


(池添謙一騎手)
「返し馬から軽い芝にも対応できる感触はあったし、積極的に行こうと思っていました。スタートが良かったので、良い位置につけることができました。遅い流れでも逃げ馬の後ろでじっと我慢して脚をためることができたし、スムーズにレースを運ぶことができました。直線は内が塞がったので外に切り替えたんですが、それでもハミを取ってくれましたからね。競り合う形になっても良い勝負根性を見せてくれました。 すごく乗りやすい馬で距離は延びても大丈夫だと思います。京都の軽い芝にも対応できたし、結果が出たので次が楽しみです」

(松元茂樹調教師)
「芝が合うのは札幌での競馬で分かっていました。むしろ、芝でこその馬じゃないかな。調子は良かったし、体重が減ったのは決してガレたものじゃありません。予定通りの体重で出走できました。今回は凄いメンバーだったと思うし、先々クラシックに出てくる馬も何頭かいるでしょう。その中でいい勝ち方をしてくれたので、これからが楽しみですよ。スエヒロコマンダーの子はウチでしか走らないんだよね(笑)」










































































 
(10月18日、19日開催分)

アメリカンボス
 サイレントボス 牡2 14着 4回東京3日 1R ダート・左 1600m 2歳未勝利
 タカラボス 牡4 4着 4回東京4日 6R ダート・左 1400m 3歳上500万下

カルラネイチャー
 リバーアゲイン 牡3 8着 4回京都4日8R ダート・右 1400m 3歳上500万下

コンサートボーイ
 ウォリナーイモン 牡2 8着 4回京都3日 1R ダート・右 1800m 2歳未勝利

スピードワールド
 ザシークレット 牡3 12着 4回東京3日10R 秋嶺S ダ・左 1600m 3歳上1600万下

ダイワテキサス
 ダイワエモーション 牝2 11着 4回東京3日 4R ダート・左 1300m 2歳新馬
 ダイワポイズン 牝2 15着 4回東京4日 1R ダート・左 1300m 2歳未勝利

タックスパラダイス
 アイファーラブラブ 牝6 12着 4回京都4日12R 天王山特別 ダ1200m 3歳上1000万下

テイエムサンデー
 テイエムダイアナ 牝2 11着 4回京都3日2R 芝・右 1600m 2歳未勝利

ニホンピロニール
 ニホンピロコナユキ 牝4 5着 4回京都3日7R ダート・右 1200m 3歳上500万下

バトルライン
 ディアテクノバトル 牡2 3着 4回東京3日 1R ダート・左 1600m 2歳未勝利
 エプソムスタウト 牡4 13着 4回京都4日6R ダート・右 1200m 3歳上500万下

ヒシアケボノ
 オオヒメ 牝4 4着 4回東京3日 6R ダート・左 1300m 3歳上500万下

フサイチブライアン
 カズノブライアン 牡3 7着 4回京都3日8R ダート・右 1800m 3歳上500万下

メジロブライト
 グラーフ 牝3 15着 4回京都4日9R 堀川特別 芝・外1800m 3歳上1000万下

ライブリマウント
 ライブリシュロム 牡5 12着 4回京都4日9R 清水S 芝・外1600m 3歳上1600万下

レオリュウホウ
 ヒデサンアタッカー 牡2 12着 4回京都4日 1R ダート・右 1400m 2歳未勝利

ワシントンカラー
 ゴールドエンデバー 牡2 10着 4回東京4日 1R ダート・左 1300m 2歳未勝利


−2007年新種牡馬−

ゴールドヘイロー
 アイレンベルク 牝2 6着 4回京都3日2R 芝・右 1600m 2歳未勝利

スマートボーイ
 メイショウワザアリ 牡2 10着 4回京都3日 1R ダート・右 1800m 2歳未勝利

ダンシングカラー
 バンダムミュートス 牡2 7着 4回東京3日 1R ダート・左 1600m 2歳未勝利

ブレイクタイム
 ブレイクショット 牡2 9着 4回東京3日 4R ダート・左 1300m 2歳新馬

ロサード
 アクトレスオペラ 牝2 11着 4回京都3日5R 芝・右 1200m 2歳新馬
 サンジョバンニ 牡2 8着 4回京都4日4R 芝・右 1600m 2歳新馬


−2008年新種牡馬−

サニングデール
 アスカノヨアケ 牡2 2着 4回京都3日2R 芝・右 1600m 2歳未勝利

ツルマルボーイ
 カイテキゴーゴー 牡2 7着 4回京都3日3R 芝・右・外1800m 2歳未勝利


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今週の注目は、日曜の福島10Rきんもくせい特別(芝1700m)に出走予定のマイヨール(牡2)。
前走の芙蓉Sでは、素質馬ダイワプリベール相手にあわやの3着。
セイウンスカイ産駒として初のクラシック出走も狙える器を証明。
逃げて押し切る脚質も福島に合う。
ローカル開催とあってメンバーも手薄。強敵はダノンフーバフーバとマナクーラ の池江泰寿厩舎勢2頭だけ。
ここを勝ってクラシック出走に弾みをつけたい。


2戦連続2着のオネストジョン(牡5)が日曜の京都10R 西陣S(ダ1200m)に登録。
気性は幼いが、能力的にはオープンでも通用するものを持っているだけに、今度 こそ準オープン卒業といきたいところ。
芝でも通用するスピードがあり、距離短縮も好材料。
ただ、気性面に課題が残っており、揉まれる危険性のある内枠に入ったら割引が必要。



<1600万下クラス>
エイシンダンカーク産駒
 オネストジョン 牡4 11/2(日) 京都10R 西陣S(ダ1200m)

メイショウホムラ産駒
 メイショウディオ 牡6 11/2(日) 京都10R 西陣S(ダ1200m)

ヤマニンセラフィム産駒
 ヤマニンリュバン 牡3 11/2(日) 東京10R 錦秋S(ダ1600m)

アッミラーレ産駒
 セッカチセージ 牡3 11/2(日) 東京10R 錦秋S(ダ1600m)
 

<1000万下クラス>
ハイブリッジスルー産駒
 コアレスピューマ 牡4 11/1(土) 福島11R フルーツラインC(ダ1150m)

ゴールドヘイロー産駒
 アポロラムセス 牡3 11/2(日) 東京12R 河口湖特別(ダ1600m)


<500万下クラス>
セイウンスカイ産駒
 マイヨール 牡2 11/2(日) 福島10R きんもくせい特別(芝1700m)


 
(2008年10月16日 登録分)

<美浦所属>

ヤマニンリスペクト産駒
 ヤマニンドレープ 牝2(母ヤマニンソリテール,母父ティンバーカントリー)
                (美浦)星野忍  新冠町 錦岡牧場

母系は、ロゼカラー、ロサードなど多数の活躍馬を出した“バラ一族”の近親。
英国産の祖母マダニナは、○外馬として池江泰郎厩舎からデビュー。
やまゆりSなど芝中距離を3勝。やまゆりSでは、武豊騎手を背に、オースミレ
パード、ビッグショウリという後の活躍馬を退けた。
このマダニナの産駒ヤマニンファビュル(父エアジハード)は、スイートピーSで
2着入り、オークスまで駒を進めた。

父ヤマニンリスペクトは、今のところ種牡馬として不振だが、本馬の母系に配さ
れてきた種牡馬は、ティンバーカントリー、Sadler's Wells、Blushing Groomと
錚々たる名がずらり。
血統背景からは、星野忍厩舎の稼ぎ頭ヤマニンアラバスタ並みの活躍をしても
不思議ではない。


  
  
サニングデール産駒
 キングパーフェクト 牡2(母チャップ,母父ダンシングブレーヴ)
          (美浦)萱野浩二  様似町 スイートフアーム

米国産の祖母からは、タシロスプリング(00年ファンタジーS)という重賞勝 ち
馬が出ている。
半姉ブラックティー(牝4 父チーフベアハート)は、柴田政見厩舎所属。現在まで
短距離戦を2勝している。


  
  
テイエムジャンボ産駒
 ドリームガーデン 牝2(母アスターレディー,母父ニゾン)
                (美浦)加藤和宏  浦河町 宮内牧場

母系は、戦前から日本に根付いている系統。
1928年に青森・東北牧場が輸入した米国産セヴアインを日本での基礎繁殖と
している。
この系統からは、GI3勝の女傑スイープトウショウ、86年スプリンターズS 勝ち
馬ドウカンテスコなどの活躍馬が出ている。
半兄トッププロテクター(父ヘクタープロテクター)も02年北九州記念勝ち馬。
父はマイナーなテイエムジャンボに変わったが、兄にどこまで近づけるか。


  
  
カネトシガバナー産駒
 カネトシジュラール 牡2(母カネトシキュート,母父Gentlemen)
                 (美浦)松山将樹  新冠町 武田寛治

アルゼンチン産Gentlemen産駒の母は持ち込み馬として日本で走ったが、中央と
地方で13戦して勝ち上がれず引退。
それでも母の伯父には、シルヴァコクピット(重賞2勝)、スターシャンデリア(9 9年
ユニコーンS3着)という活躍馬がいる。

父カネトシガバナーは、昨年の新種牡馬。
中央では、3頭の産駒がデビューしたが、勝ち上がった馬はまだ出ていない。
本馬が産駒中央初勝利を飾れるか。

   
<栗東所属>

ゴールドヘイロー産駒
 モエレサマー 牡2(母サマーミストレス,母父Master Willie)
               (栗東)坂口正則  新ひだか町 中村和夫

8月に旭川でデビュー勝ちを飾ったモエレサマーが中央に転入してきた。
そのデビュー戦で大差をつけて退けた2着馬が先日の旭川オープン特別を楽勝。
このことからも本馬も能力が伺い知れる。

母系はかなり優秀で、3代母Fleurは、名馬Nijinskyの半姉。産駒からも英愛G
I4勝馬The Minstrelを輩出。

父ゴールドヘイローの産駒は中央・地方で大活躍を見せている。
北海道で評判の素質馬モエレサマーにも大きな期待が掛かる。


  
  
アッミラーレ産駒
 シェダル 牝2(母カシオペアレディ,母父デインヒル)
             (栗東)羽月友彦  浦河町 酒井牧場

英国産の9代母Mumtaz Mahal(1921)は、2歳時に驚異的なスピードを武器に圧勝で5連
勝を飾った伝説的な名牝で、その驚愕のスピードから「Flying Filly」と称された。
しかし、3歳になるとマイル以上の距離で苦戦し、わずか10戦7勝で引退した早熟の
スプリンターだった。このMumtaz Mahalを伝説化させたのが、繁殖としての大成功。
子孫から多くの活躍馬を輩出し、大牝系を築き上げた。
Mumtaz Mahal の持っていた類まれなスピードは、Mahmoud、Royal Charger、Nasrullah
といった子孫の名種牡馬たちを通じて、現代競馬に今尚大きな影響を与えている。
それらの種牡馬の名は、多くのサラブレッドの血統表で見られるように、現代のサラブ
レッドのスピードは、このMumtaz Mahal の血を無くしては為し得なかったと言っても
過言ではない程。 

叔母には、伝説の名牝ホクトベガがいる。
02年ダービー馬タニノギムレットもこのMumtaz Mahal系出身。

母父デインヒルは、世界的名種牡馬。
SS系種牡馬×デインヒルという配合からは、シックスセンス、エイジアンウインズ、
レインボーペガサスなどの活躍馬が出ている。

アッミラーレ×デインヒルという配合は、切れ味よりパワーが強調されている。

ターフファイトクラブで総額120万円(100口)で募集された本馬。
ちなみに、シェダルとはカシオペア座の最も明るい星。最も輝いてほしいという願いか
ら命名。クラブが2歳馬の中で最も期待している馬らしい。

羽月師は、06年に開業したばかりの若手調教師ながら、今年ワンダースピードで重賞
初制覇。ワンダースピードは、羽月厩舎に移籍後メキメキと力をつけてきた馬でもある。
本馬も厩舎の先輩ワンダースピードに続いて欲しいところ。
さあ、あの星のように輝けシェダル。


  
  
ビコーペガサス産駒
 ビコーオラクル 牡2(母サザンクロスビコー,母父アーミジャー)
               (栗東)安田隆行 静内町 山口修二

母系は、ニュージーランド産レデイライモンド(8代母)を日本での基礎繁殖と
している。この系統からは、ミツハタ(52年天皇賞・春)、リワードウイング(8
5年エリザベス女王杯)、ロンシャンボーイ(重賞2勝)といった活躍馬が出てい
る。
母サザンクロスビコーは、中央でダート短距離を4勝。02年アイビスSD5着。
ビコーペガサス産駒の叔母も中央で勝ち上がったが、はたして本馬は。


 
 

(2008年10月10日〜10月23日 抹消分)

ゴールドヘイロー産駒 モエレカトリーナ 牝3

・通算成績 13戦3勝(地方5戦1勝)
・主な戦績
  08年 紫苑S(OP) 1着
・今後の進路 繁殖入り(ビッグレッドファーム)

右前脚に屈腱炎を発症し、秋華賞出走を断念したモエレカトリーナが全治9カ月
という診断を受け、引退となった。
将来有望だっただけに、とても残念だが、仕方ない。
今後は、オーナーのビッグレッドファームで繁殖入り。
繁殖としても期待されているのは何より。
GI制覇の夢を目前で断たれた母の無念を晴らせる大物産駒の送り出して欲しい。


モエレカトリーナ、最後の雄姿。紫苑Sの口取り式での一コマ。




  
  

<地方へ移籍>
アブクマポーロ産駒 ウインウラカワ 牝5  30戦4勝(地方6戦4勝)  金沢
アサカホマレ産駒 ドリームホマレ 牡6  26戦3勝(地方5戦2勝)  未定
ウイングアロー産駒 ピンクノチカラ 牝3  20戦3勝(地方13戦3勝) 名古屋
セリーセクレタリー産駒 セトウチコウスイ 牡3  6戦4勝(地方6戦4勝)  福山
アッミラーレ産駒 スプリッツァー 牝3  16戦0勝(2着2回、3着2回)  浦和
アサカホマレ産駒 ファーマウォラト 牡3  15戦0勝(3着1回) 大井
ユーワファルコン産駒 オサナゴコロノキミ 牝3 6戦0勝(3着2回) 笠松
メイセイオペラ産駒 シゲルヴォドレ 牡3  5戦0勝 荒尾
サプライズパワー産駒 ジョウショーエビス 牡2  3戦0勝 荒尾

<乗馬>
タイキシャーロック産駒 スマイルハヅキ 牡5 32戦5勝(地方13戦4勝)
サニングデール産駒 アドバンスベイブ 牝2 3戦0勝

 
●発行者:石沢真重
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