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開発マネジメントのプロセス
/開発マネジメントの目的とプロセス
おはようございます。
研究と開発を一括りにして捉え、研究開発とかR&Dとか呼ぶことが
一般的のようですが、研究と開発は区別されなければなりません。特に、
マネジメントに関しては、研究と開発とでは「全く」と言ってもよい
ほど違うのです。
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☆☆ 開発マネジメントの達人 ☆☆
前回は、開発を仕事の流れとして捉えてきました。今回は、マネジ
メントの視点から、開発の作業プロセス/管理プロセスとして捉えて
みます。重複する部分もありますが、繰り返すことにします。
◆開発マネジメントのプロセス◆
1.研究と開発とでは異なるマネジメント
「研究開発」や「R&D」という言葉はよく使われ、ビジネスの世界
では一般化されていると言えます。しかし、その業務の目的、プロセス、
適切な管理の仕方などを具体的に比較していきますと、「研究(R)」
と「開発(D)」との違いが歴然としてきます。
某メーカーの研究所の例を見てみます。先端技術の研究に取組む
研究者、製品化や生産技術開発に従事する開発技術者、特許などの業務
担当者で組織は構成されています。
業務の内容によって活動のリズムは異り、公式のコミュニケーションを
例にとりますと、研究者は年に1度の報告、開発技術者は月に1度の
報告が必要とされています。
また、特許担当者は、相談や打ち合わせといった日々のコミュニケー
ションが業務の大きな割合を占めている状態です。こうしたことから
言えますことは、研究開発という言葉で一括りにされている業務の中に
あっても、画一的にマネジメントを行うことは困難だということです。
特に重要なのは、研究業務と開発業務を区別することです。課題は
明確になっているが解決策は一通りでないのが「研究」です。
マネジャーは研究者に対して、複数の代替案の発見を期待しており、
解決策の実行を望んでいる訳ではありません。
一方、研究の後に位置付けられる「開発」には、開発目的や設計仕様も
明確に与えられ、マネジャーが開発技術者に期待するものは、製品を
具体化することです。従いまして、そのための解決策は1つに絞り込ま
れることになります。
解決策が多様に考えられる研究業務においては、技術的な成果への
貢献は個人のひらめきや才能やセンスに依存する割合が高くなります。
このような研究業務においては、マネジャーの仕事は解決方法を指示
することよりも、研究者を動機付け、研究意欲を高めることに重きを
置くことになります。
一方、開発目的も設計仕様も明確になっている開発業務では、設計から
量産テストに至るまで、マネジャーは開発チームに対して解決の方向性
や推進方法に関する明確な指示を出し続けることになります。また、
工場や営業等の他部門との連携もマネジャーの重要な仕事になります。
研究業務では、ビジネスに意味のあるイノベーションが発見できるか
どうかが主眼であり、研究費の多寡よりイノベーションの価値を重要視
することになります。
一方、開発業務では、開発製品のコストだけではなく開発に要した
コストも、そして開発スケジュールの遵守も重要視されます。
このような違いのある研究業務と開発業務に対しては、異なるマネジ
メントが適用されなければなりません。研究業務に対しては、課題を
明確にすること、そして研究者の動機付けと意欲の向上が、マネジ
メントの中心になります。
開発業務に対しては、目標達成に向けた緻密なスケジュール管理と
コスト管理が、マネジメントの中心となります。
取組むテーマが研究領域に近いのか、或いは開発領域に近いのかを
適切に判断し、どのようなマネジメントを行うのが適切なのかを検討し
決定することが、先ず初めに必要なことです。
このシリーズでは、開発業務のマネジメントを対象に話を進めます。
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これまで、研究のマネジメントのやり方をどんな業務に適用していた
でしょうか、開発のマネジメントのやり方をどんな業務に適用して
いたでしょうか。そのやり方が適切であったかどうかを振り返って
みて、不適切なものが見当たるようでしたら、やり方をどのように
変えればよいか、考えてみてください。
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2.開発マネジメントのプロセス
競争力を獲得し利益創出に貢献する開発を実践するには、どのように
してテーマを見い出し、どのように推進して目標を達成すればよいので
しょうか。開発マネジメントとは、この問いに答えるものです。
利益創出に貢献しようとする場合には、利益創出のための戦略や計画を
明確にする必要があります。従いまして、先ず第1に頭に置いておく
べきことは、企業における開発は事業なのだということです。
事業ですから、そこには事業計画がなければなりません。事業計画には
利益計画や投資回収計画、営業の受注計画などが欠かせません。単に
技術開発計画のみでは、企業の開発計画としては欠陥だらけということ
なのです。
こうしたことから浮かび上がってくる、企業における開発マネジ
メントの望ましい姿とは、次のようなものになります。
(1) 経営戦略に位置付けられる開発基本方針作り
・顧客が高く評価し価値を認める自社の機能、自社のブランドが
顧客に認知されている理由、といったことの探究
・こうしたことを活かす開発とはどんな開発か、こうしたことを
活かして顧客の真の要求に応える開発とはどんな開発か、
といったことの探究
・高級品、廉価版、異質商品、といったものの受け止め方の検討
・商品の機能、価格、使用ノウハウ、使用コスト、サービス、
といったことをどのように位置付けて、自社事業と開発に
活かすかの探究
・開発のための能力開発、組織作り、経営陣の参画とその領域の
検討
・開発力の根源をどこに求めるかの探究と、その獲得方法の検討
(2) 経営戦略から導き出される開発テーマの検討と選定
(3) 開発テーマに関わる事業展開戦略作り
・開発の目的、目標、業績貢献の形、事業計画、実現すべき項目、
経営判断の項目、タイムスケジュール、重要度優先度判断、等
(4) 事業展開戦略を推進するための技術開発活動計画作り
・技術開発のゴール、原価目標、活動の重要ポイント、活動項目、
経営判断の項目、タイムスケジュール、等々
(5) 事業展開戦略を推進するための営業開拓活動計画作り
・営業開拓のゴール、販売目標、活動の重要ポイント、活動項目、
経営判断の項目、タイムスケジュール、等々
(6) 技術開発活動および営業開拓活動の実行とレビュー
・目標達成手法の活用
・目標行動化設計
・レビューとリスケジューリング
・継続的に行う原価把握
・経営判断の項目に対する意思決定
・活動計画書へのフィードバック
・事業戦略へのフィードバック
(7) 活動全体の評価、改善/改革への成果の反映
・技術開発、営業開拓、事業展開の振り返りと評価
・振り返りと評価の結果に基づく改善/改革の提案
こうした望ましい姿を実現する組織体質、仕組み、必要人材を
短期間で獲得することは困難なことです。だからと言って諦めて
しまっては敗者への道しか見えてきません。
大切なことは、自社の現状をしっかりと見つめ、今の自社に最も必要な
ものでありながら欠けているものを見い出し、その獲得と活用に知恵と
工夫と努力を惜しまないことなのです。
開発の話では、大ヒット商品の事例を用いてケーススタディが行わ
れることが多いようです。その類のものは殆どが特異なアイデアに
よって開発された消費材です。
こうした傾向もあって、開発と言えば何か良いアイデアが必要だと思い
込まれているようですが、アイデアから新開発が生まれる確率は千に
三つもありません。
それにも拘わらずアイデア商品が取り上げられるのは、それが派手で
一般受けしやすく、講演や講習にはもってこいだからです。企業の実務
としての開発は、こんなことに惑わされてはいけないのです。
企業の実務としての開発は、企業収益に寄与する確率の高いものを対象
とし、そこに全力投球すべきです。自社の事業を振り返ってみれば、
そんなアイデアによる成功事業など見当たらないことに気付くでしょう。
地味な商品でありながら、他社商品とは何らかの差別化された競争力を
持つ商品が、各社の「存在の基盤」となっています。こうした「存在の
基盤」を創り出すことこそが開発の目的です。
このような開発を成功させるためには、単発的なアイデアに頼る開発
ではなく、明確な経営戦略の下に打ち出された開発基本方針に則った
開発が必要なのです。開発の対象はモノに限らずサービスも含めた
考え方をします。
こうした業績貢献の確率の高い開発を実践する上での一つの望ましい
姿が、前述したような在り方なのです。
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★業績貢献度の高い開発に成功するために、開発を構想したり、開発に
取り組んだりする時には、必ず開発マネジメントのプロセスの全体を
頭に置いて、構想づくりや計画づくりをしよう。
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今回はここまでとします。次回以降は、開発マネジメントにおける
各プロセスの、具体的な内容と方法について説明を進めていきます。
◎この内容が皆様のお役に立つことを願っています。
※このマガジンでお伝えする内容は、大略次のように分類されます。
1.開発推進に見える問題点
2.開発マネジメントの目的とプロセス
3.経営戦略の視点で開発を考えるための基礎知識
4.事業展開の視点で開発を考えるための基礎知識
5.開発テーマに関する事業展開の構想と戦略
6.開発目標の達成に向けた基本行動
7.開発目標の達成を左右する潜在的問題への対応
8.開発目標達成活動とその運営
9.開発の業績貢献度評価
付章1.開発の発想につながる思考に関する断章
付章2.開発を成功に導く行動に関する断章
付章3.開発を活かす経営に関する断章
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改善実践考房 主宰 / 大島啓生
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