メルマガ登録

週刊 ぐっちーさんの経済ZAP!!

  1. ニュース・情報源
  2. 一般ニュース
  3. 経済
                           2009年 5月19日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
週刊 ぐっちーの経済ZAP!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                 http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■先週までのトピックス
------------------------------------------------------------------------
なんといてもアメリカ金融機関第1Qの黒字決算とストレステストの結果でしょ
うか。
そしてそのストレステストのベースシナリオである失業率8.9%をすでにヒッ
トしてしまった金曜日(7日)の失業率の発表、と盛りだくさんでした。ポイ
ントを解説します。


1. 金融機関決算
------------------------------------------------------------------------
金融機関決算、及びストレステストの結果についてはゴールドマン(ゴールド
マン・サックス)、モルスタ(モルガン・スタンレー)は別区分で考えてくだ
さい。

そもそもゴールドマン、モルスタは証券化商品を自分のバランスシートに載せ
てその利ざやを稼いでもまったく意味がない業態です。彼らと普通の商業銀行
との区別を必ずつけてください。

彼ら投資銀行は右から左に物を動かして鞘を抜くのが本業。ポジションとして
は引き受け手数料を見込んで債券や証券化商品を引き受けた上で在庫すること
があるだけで、一方シティー(シティ・バンク)やバンカメ(バンク・オブ・
アメリカ)はそれを自分のBS(Balance Sheet)にのせて安い調達金利を利用し
て(つまり皆様の預金)その利ざやを稼ぐことが本業。ですからここを一緒に
してしまうと今後すべてのニュースをを誤解してしまいますので注意してくだ
さい。

そしてそのゴールドマン。118億ドルの大黒字。
実際は1−3月で巨額のアメリカ国債をロングにしたこと(今もしています)、
アベレージライフの長いMBSを積み上げたこと(アベレージ・ライフについては
別途説明します)で有名です。BIS(国際決済銀行)の手前、月末残高はかなり
落としていますが、期中はぱんぱんにロングしていました。

あれだけの関係者が財務省にいるので「これはインサイダーだ」と非難する人
もいますが、金融緩和は誰の目にも明らかだった訳ですからこのポジションを
40倍ものレバレッジをかけてとったこと自体立派でしょう。それはそれであ
りかなと。株価が100ドルを超えるというのはそういうことの積み重ねに対
するマーケットの評価でしょうね。


2. ストレステスト
------------------------------------------------------------------------
そういった目でストレステストの結果を見ていただくとまた一段と新鮮ではな
いでしょうか・・・・

別表のとおり。細かい話はFRBのPDFでぜひご覧下さい。

http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/bcreg/bcreg20090507a1.pdf

ポイントはこのシナリオでも用いられているシナリオそのものがどうなのか、
ということと「負債評価益」とでもいうべきものを採用したFASB(米財務会計
基準審議会)の粉飾について、の二点に尽きるでしょう。

前者は明らかで、まずシナリオで設定している失業率はすでに達成されてしまっ
たので元から甘いといわれてもそれは仕方ありません。また、つきに50万、
60万人という桁違いの人間が職を失っている状況からすると彼らは「不良債
権予備軍」ですから直感的にうまくない、というのはお分かりになるでしょう。

さらに、証券化商品自体の特性を考えると、そもそもAAAとかの格付けがついて
いて80%で評価できる(最近までは100%だ、と言い張っていた訳ですが)、
といっている代物が、細分化されすぎているため実際に債権確保に行くことが
困難を極めるために、そのためもあって買い手が不在になっており、事実上価
値がないと評価されている点が問題なのです。したがって仮に失業率が3%に
低下したからといってそれらの債券の値段が急に上がるかというとそういうこ
とにはなりません。商品特性上不可能です。(証券化商品の基本構造について
は別のシリーズで解説します)

そして後者。これは裏技というか反則技でしょうか。詳しく解説しましょう。
まず、例えばシティーに3年前(2006年)に100億円貸していたとしま
す。ローン(債権)でも債券でもかまいません。
当時格付けは「A」でしたから利息3%で10年としましょうか。(通貨は無視
しましょう)

今この債権(債券)は貸し手の立場から見るとシティーの信用力の低下により
かなり価値がなくなっています。私が今その100億円のローンをあなたに譲
ろうとしたら100億ではいやだ、ということになるはずです。今のシティー
には3%の利息では安すぎるでしょうし、マーケットではL+1000BPでも借り手
がいないというのですから、ざっくり言って半分の50億円程度の価格までディ
スカウント(割引) しても引き取ってもらえるかどうかわかりません。

そうなると私は本当はシティー向けに「10年・100億」の債権を保有して
いるのですが、これを現時点での価値で見直して50億しか価値がないと、評
価するべきだ、ということになります。これが現在の時価会計原則です。

当然あくまでも貸し手の財務状況の健全性をプロテクトするための制度なので
すが、これを逆手にとって借り手にまで敷衍してきたのが今回のFASBの措置な
のです。

つまり、貸し手が50億で評価しているのだから・・・・借り手も50億の評
価でよろしい=現時点では50億返せばいい、としたのです。

おどろきはその処理で、元来返すべきお金は100億なのですが、今、その差
額があるので、それを評価益として50億円プラスで計上してよろしい、そし
て期限きた何年か後にもし本当に100億返すことになったら、その50億部
分を利払い費として計上しなさいとなったものです。(利息を返済時に一括計
上するなんて・・・いくらなんでもひどいですよね)
どうしてそんなに支払い金利が増えるのか合理的解説は皆無ですが、そのとき
また考えればいい、ということにしか過ぎず、後は野となれ山となれ、という
話です。

何せ当面クレジットが悪化した分を収益として計上するというのですから、話
になりませんよね。  (続きます)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 発行 】 ぐっちー
【 WEB 】 http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55
【e-Mail】 guccistar@gmail.com
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  • P0008072
  • 2009/11/23
  • 毎週 月曜日