タイのアユタヤからチェンマイへの電車に乗る
13時間の旅
堅い殆ど直角の椅子
進行方向を見ながら満席の車内
べたつく風を顔に浴びて寝むれなかった
延々やってくる車内のライトに照らされるだけの夜景色
何本も荒野に立つ電柱がこの時ばかりは脚光を浴びている
6年前同じ電車を使って北上した事を思い出す
横になれずに大きな荷物を膝に抱えて
延々やってくる電柱を数え続けた
今同じ電車を進行方向とは逆に座ってチェンマイに向かっている
外はやはりはっきりとしないけれども
何か大きな空間が広がっているのがわかる
沢山の存在感がやんわり僕の意識に主張してくる
そして景色が途切れる事無く後ろに去って行くのが見える
6年前始めてのタイ
希望や出会いを期待してどんどんとやってくる景色の先の先を見ていた
まさに僕の横を過ぎ去っていく景色はとてもすごいスピードで抜けていった
視点はその先に向いていてこれからやってくるという期待感を膨らませた
眠れなかったのは風のせいだけではなかったのかもしれない
やってくる景色に心を躍らせて目を瞑れなかったのかもしれない
今過ぎ去っていく景色を眺めている
目に飛び込んできた瞬間から僕から離れていく景色
そして今まさに過ぎ去っていく景色は速さの為に余り焦点が合わない
遠くに随分と前に過ぎ去った景色は速度を緩めて
しっかりと僕の目に飛び込んでくる
未来の期待もまた良いが
今こうしてゆっくりと過ぎ去った景色に浸るのもまた気持ちが良い
ゆっくりと目が閉じてくる
興奮と安楽の感覚が人間には両方備わっている
それぞれの出来事に対して人間は感情を持って頭に働きかける
無常を作り出さない様に
無は人間にとってとても恐ろしい
存在否定にも繋がる
だからやってくるだろう出会いに出来事に興奮出来る
そして花咲いた出会いに出来事に感謝出来る
6年前の前を向いていた僕は興奮で眠れなかった
今後ろを向いている僕は安楽で目を瞑ろうとしている
アユタヤでの沢山の出会いが頭を過ぎる
LAN
アユタヤで頂いたビール
少しほろ酔いの頭に電車の線路を叩く音が優しく押し入ってくる
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