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元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚

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時代と共に変化する金融・経済。そのスピードは年々増して来ており、過去の常識では太刀打ちできなくなって来ています。こうした時代を生き抜くためには、金融・経済がかつての理論通りに動くと決め付けるのではなく、固定概念にとらわれない思考の柔軟性が重要です。

当メルマガは、20年以上資産運用、投融資業務を通して培った知識と経験に基づく「現場感覚」をお伝えすることで、新聞などのメディアからは得られない金融・経済の仕組や知識、変化に気付く感受性、論理的思考能力の重要性を認識して頂き、不確実性の時代を生き抜く一助になりたいと考えています。

サンプル号
「今週(7~11日)の株式相場は戻りを試す展開か」(7日付日本経済新聞 「今週の市場」)

米国経済の堅調さが裏付けられたことを背景に「戻りを試す展開」が期待された日本の株式市場だったが、戻りを試したのは僅か1日。8日に日本の7~9月期のGDP改定値が大きく上方修正されたにも関らず、その後は軟調な展開となった。

「今週(14日~18日)の株式市場はリスク回避で軟調な展開となりそうだ」(13日付日本経済新聞 「今週の市場」)

先週から一転、世の中の雰囲気は弱気に偏って来ているようだ。それもそのはず「11日の米シカゴ市場では日経平均先物(3月物)が1万8680円と1万9000円の大台を割りこんだ。週明けの東京市場は売り先行で始まり、荒い値動きとなる可能性もある」からだ。

11日金曜日の日経平均終値が19,230円であるから、シカゴ市場の日経平均先物は、現物終値を550円下回っている。

メディアでは、FRBによる利上げによって新興国からマネーが米国に回避することを心配しているようだ。しかし、こうした現象は金融面からは起きる可能性が高いとはいえない。何故ならば、米国の金利と新興国経済に対する成長期待とは、裁定が効く関係にあるわけではないからだ。

資本取引に様々な制約がある新興国に投資をするのは、必ずしも米国より金利が高いからではない。資本取引上の制約というコストを払ってでも、成長から得られるリターンが高いからだ。

もし、新興国の成長に対する期待リターンと、米国債から得られるリターンの差が0.25%程度だというのであれば、メディアが騒ぐような資本の米国回帰は起きるかもしれない。しかし、実際には資本取引の制約というコストが0.25%程度であることはあり得ない。

足下で、金融市場により影響を与えるのは、ユーロの方である。

日本経済新聞は、先週末の海外株式市場の下落について、8月に起きた世界同時株安と同列に扱っているようだ。これは見方として正しいと思われるが、折角良いところに目を付けているのに、米国への投資資金の回帰という先入観に基づく結論を導き出すところが、金融を理解していない証拠。

8月の世界同時株安と先週末の株安の共通点は、どちらもユーロ高を引き起していることだ。これは、現在世界の金融市場でユーロが「調達通貨」になっているからだ。

ECBの追加緩和期待で90台から85台まで低下して来たユーロインデックス(ユーロ安)は、期待外れの追加金融を受けて反発。先週末は88台を回復し、ECB理事会以降3%強の上昇(ユーロ高)となった。

キャリートレードを行っている投資家にとって、「調達通貨高」は負債の増加を意味するもの。さらに、これに投資資産の下落が加わると、「資産減少+負債増加」というダブルパンチを食らうことになる。こうした股裂き状況を長く放棄することは出来ないので、こうしたポジションは解消(リスク資産売却+調達通貨返済)に向かい、その過程で「リスク資産の下落+調達通貨高」が起きることになる。

そしてこの「資産価格の下落+調達通貨の上昇」は、より多くの投資家をポジション解消に巻き込むことで、金融市場の波乱をさらに加速させる原因になる。俗にいう負のスパイラルを起こすことになる。

本来、FRBによる利上げは、金利面からドル高ユーロ安圧力を高めるものなので、負債サイドからの「調達通貨高による負債の増加」を理由としたキャリートレード解消のブレーキ役を果してもおかしくはない。

しかし、利上げがリスク資産価格の下落を招けば、それは資産サイドからキャリートレード解消を迫ることになる。

先週末のNYダウを始めとした海外株式市場に加え、日経平均が先週末比で500以上下落していることを考えると、資産サイドからのキャリートレード解消圧力は高まっているといえる。

メディアでは、FRBの利上げは市場に織り込まれており、利上げが金融市場に大きな影響を及ぼさない可能性や、利上げ後に逆に円高に振れる可能性について言及している。

日本であるから、関心がドル円レートに目に向くのは当然のことだが、金融市場全体を考えた場合に注目しなくてはならないのは、円よりもユーロであると考えている。

もし、FRBが利上げに踏み込んで「円高・ドル安」に振れた場合は、金融市場は大きな衝撃を受けるかもしれない。

それは、「ドル安=調達通貨ユーロ高」であり、負債サイドからキャリートレード解消圧力を強める可能性が高いからだ。

FOMCを控えて注目がドルに集まりやすい状況にあるが、FOMC前後のユーロの動きの方が要注目である。そして、キャリートレードの巻き戻しが起きる過程では、日銀による金融緩和があったとしても、それは脇役にしかなり得ないと考えておいた方が賢明である。

(2015年12月14日記)
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