山本タカの嘘日記

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くちびるの会の代表、山本タカが虚実の分別をつけずに書いた日記。出自不明の思い出や、演劇のこと、またその他のことに関して書きます。ほぼ月1配信目標。

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メルマガ名
山本タカの嘘日記
発行周期
ほぼ 月刊
最終発行日
2018年04月30日
 
発行部数
17部
メルマガID
0001681969
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
エンターテイメント > 演劇 > 劇団・役者

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山本タカの嘘日記 =第2号『努力のこと』=

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□山本タカの嘘日記とは
くちびるの会の代表、山本タカが虚実の分別をつけずに書いた日記。出自不明の思い出や、演劇のこと、またその他のことに関して書きます。不定期配信にしました。

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=第2号『努力のこと』=

○三日坊主のこと

先日まで、くちびるの会の公演『逃げぬれて、夜』を行っておりました。
ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございます。
お楽しみいただけましたでしょうか。
これからもくちびるの会は、お客様に楽しんでいだだける作品を作り続けていこうと思います。
何卒ご贔屓にしていただけましたら幸いです。
次回公演の情報などは、正式に決まり次第HPを始め、SNSなどで公開いたします。
ぜひチェックしてくださいませ。

さて、山本タカの嘘日記の第2号でございます。
今回のお話は、努力のこと、そして、僕の小学校の同級生であったS君のことについて書こうと思います。
継続は力なり、継続こそ努力なり。私は、この継続的な努力というのがたいそう苦手です。
ほうら、メルマガも公演の忙しさにかまけて、全然発行されない。
配信も不定期に変えました。大変申し訳ありません。
ランニングや禁酒禁煙は言うに及ばず、学生時代から習い事もアルバイトも続いた試しがありません。
この世の、ありとあらゆる「三日坊主」を体験してきた私、山本タカ。
そんな私が唯一高校時代から続けていること。それが「芝居」であります。
なぜこれだけ飽きることなく今も続いているのか。不思議なものです。

○他人事ではおれないこと

私が大学生の時分の話です。私はいわゆる「就活」ということを行っておりました。
リクルートスーツになれない革靴を履きながら、お台場のビッグサイトで行われる合同企業説明会に足を運んでいたのです。
説明会ブースで電通の若手社員が話していた内容が今でも記憶に残っております。

説明会の終わりに、学生が投げかけた「好きなことを仕事にすべきか。否か。」という質問に対し、電通の若手社員の回答は、こう答えました。
「好きか、嫌いかで仕事を選ばない方がいい。長くやっていれば、好きなものでも嫌いになるし、逆もまた起こる。
仕事は”他人事ではおれない”ものを選びなさい。気になって気になって仕方のないものを仕事になさい。
そうすれば、必然的に考える時間も増えるし、仕事にも身が入ります。そういう仕事を選んだほうが、人生は充実します。」
私は、今でもこれは真実だと思います。
結果として、私が言葉を書いたり、物語を書いたり、芝居をやることが続いているのも、どうにも世の「芝居」や「言葉」が他人事でおれないからだと思います。
さて、話が逸れました努力の話です。

○寝ないでやりました

私は、つい数年前まで「寝ないで書く」ということをやっておりました。
若い時分はとにかく時間と力を傾けることが、よいことであると信じていたからです。
しかし、年齢により無理が続けられないことを悟っていくと「努力の効率」というものを考えざるをえません。
この「努力の効率」について考えるとき、いつも私の頭の中には、小学校の同級生であったS君の顔が浮かびます。

○S君の変化

S君は非常に、ものぐさでした。テストの出来も悪く勉強も苦手でした。
私のおりました小学校では、漢字の小テストというものが1週間に1回行われます。
10問ほどの簡単なテストで、赤点を取ると漢字の書きとり1ページが宿題として追加されます。
S君は毎回3点や4点。赤点の常連でした。
彼は、毎度先生に書きとりを言いつけられては、宿題提出の際「やってきたが、忘れた」という言い訳をし、怒られていたのを覚えております。

ある日の朝のことです。宿題提出の時間、先生は驚きの声を上げました。
S君は、漢字の書き取り1ページという宿題に対し、倍の2ページ分やってきたらしいのです。
中年女性の先生は、ノートを開いて高々と掲げ生徒に見せました。
「えらい!こんなに頑張ってきたよ!」
先生は嬉しかったのでしょう。やっとS君が真面目に勉強に取り組むようになった。今まで怒ってきた甲斐があった。
先生が掲げるノートの前で、S君は顔を赤くして、はにかんでいたのをよく覚えております。
この出来事がよほど嬉しかったのか、それからS君は漢字の書き取りに没頭しました。

○取り憑かれたS君

S君の提出する漢字の宿題は、次第にページ数が増えていき、ついにS君は休みの時間まで漢字ノートのマスを埋めるようになりました。
当時は謎の校則でシャーペンの使用が禁止されていたので、S君は、黒板横にある自動鉛筆削り機に何度も何度も削りに行きます。
強い筆圧、ノートにゼロ距離まで顔を近づけて書いているので、うかつには話しかけられない雰囲気が漂っていました。
埋め尽くされたノートを提出するたび、先生は褒めちぎり、はにかむS君。
しかし、小テストの成績はというと、全く上がっていないのです。
赤点の答案を返されるたび、S君はなんだかバツが悪そうな、どんよりとした顔をしていました。
そして答案を返す先生もまた、S君以上にバツの悪そうな顔をしていました。
もはや彼は1週間に10ページ以上の書き取りをしていたのです。

○帰り道にて

ある日のこと、僕とS君は偶然帰り道が一緒になりました。
翌日に漢字の小テストを控えていたことを覚えています。
他愛もない話をしながら帰っているとS君は言いました。
「俺、次の小テストに賭けてんだ」
そう言うと、彼は真新しいジャポニカの漢字ノートを取り出し、私に開いて見せました。
私は唖然としました。
全てのページがびっしりと、出題範囲である10数種の漢字で埋め尽くされていたのです。
きっとこの1週間の間に彼は、まるまるノート1冊分の漢字を書き取ったのでしょう。
幼い私はもう、なんだか恐ろしくなってしまい
「彼が漢字を書いているんじゃない、漢字が彼に書かせているのだ」
というわけのわからないことを考えていました。
まるで勲章の様にノートを開く彼に、私は「わぁー、すごいね」としか言えず、生暖かい笑顔で彼と別れたのを覚えております。

○返された答案

さて、翌朝の宿題提出の時間に、もちろんS君のノートは話題に上がりました。
と言っても、かつての様な華々しいものではなく、クラス中が、昨日の私のような「わー、すごいね」を述べるだけでした。
先生も褒め言葉が二周三周し、わけのわからないことを言っていた気がします。
その日の昼に小テストは行われ、かえりの会で採点された答案が返されます。
僕も他人事ながら、S君の点数はどうなのだろうとドキドキしたことを覚えております。
先生は一人一人の名前を大きく読み上げながら答案を返しましたが、S君にだけ、「授業後職員室に来るように」と囁き、答案を渡しました。
私は偶然にも、先生が隠す様に渡したS君の答案を見てしまいました。
赤点でした。
確か4点か5点か、及第点の6点に届いていなかったことははっきりと覚えています。
授業後の職員室、S君と先生の間にどんな会話がなされたか。私は知りません。
しかし、翌日からS君はまるで憑き物から落ちた様に漢字の書き取りをやめました。
宿題の提出も適度にサボる、元のS君に戻りました。

一体彼は、あのノートをどういう気持ちで埋めていたのか。
あんなにも書き取っていたはずの彼は、なぜテストで点数を取れなかったのか。
私は、今でも「努力の効率」を考えるとき、彼の顔が浮かびます。
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