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ダイナムジャパンHD Research Memo(7):パチンコホール業界はコロナ禍で大手資本の集約化が一段と進む可能性

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■ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の今後の見通し

1. パチンコホール業界の状況と成長戦略
(1) 市場動向
パチンコ市場は長期縮小トレンドが続いている。(公財)日本生産性本部がまとめた「レジャー白書2020」によれば、2019年はパチンコ・パチスロ参加人口が890万人と前年の950万人から60万人減少し、パチンコホールの市場規模(貸玉収入の総額)も前年比3.4%減の20.0兆円と7年連続で減少した。

こうした状況を反映して、パチンコ・パチスロホールの店舗数も減少傾向が続いており、2019年末の店舗数は前年末比4.2%減の9,639店とついに1万店舗の大台を割り込んだ(警察庁調べ)。また、2019年末の遊技機の設置台数についてもパチンコ機が前年末比3.0%減の2,557千台、パチスロ機が同1.6%減の1,637千台といずれも減少傾向が続いている。弊社ではコロナ禍による休業自粛要請による収益悪化に加えて、期限が1年延長されたとはいえ旧規則機から新規則機への移行に伴う投資負担増などから、経営体力のない中小規模のホールの淘汰が一段と進む可能性があると見ている。

1店舗当たりのパチンコ・パチスロ機の設置台数を見ると、2019年末は435.3台とここ数年間は増加傾向にある。これは中小規模の店舗が減少していることを示しているものと見ることができる。一方で、1店舗当たり貸玉収入については20億円強と横ばい水準が続いている。貸玉収入については低貸玉店舗が増加していることも一因と見られるが、1店舗当たり収益については大型店といえども苦戦しているのが現状と言える。

ちなみに、同社グループの2020年9月時点における1店舗当たりパチンコ・パチスロ機の設置台数は471台、2020年3月期における貸玉収入は16億円強となっている。設置台数が業界平均を上回っているにも関わらず貸玉収入が少ないのは、低貸玉店舗の比率が60%超と高いためと考えられる。前述したように、同社はパチンコを誰もが気軽に楽しめる日常の娯楽として位置付けており、低貸玉料でも収益力を確保できるローコストオペレーションに取り組んできた。このため、現在の射幸性に関する規制強化の影響は、相対的に軽微と弊社では認識している。

(2) 成長戦略
同社のパチンコホール事業における成長戦略は、「店舗数の拡大」と「既存店売上伸長」という2軸の掛け算によって成長を続けてきた。ただ、現状、コロナ禍によって客離れが続くなかでは、こうした戦略を継続することは難しく、一旦は既存店の収益力回復を最優先課題に取り組んでいく方針となっている。このため新規出店はしばらく凍結し、既存店についても採算面で厳しく回復に時間を要すると判断した店舗については閉店も検討していくものと思われる。同様に「既存店売上伸長」についても、前提となる客数の回復が進まないなかでは厳しく、コロナ禍の収束を待ってからとなる。

店舗の収益力回復施策として同社は、実験的に一部店舗で分業による店舗従業員の労働時間削減に取り組んでいる。「店舗がホールサービスに集中」できる環境を確立するため、現場(店舗)と本部がそれぞれ担当する業務・機能を明確にし、現場にしかできない作業以外は本部へ移管するというもので、具体的には販促業務や店舗管理業務など今まで各店舗に担当スタッフを配置していたものを、1名で10店舗前後を担当するような体制に変更する。これにより、現場における業務負担の軽減による生産性向上(=人件費率の低下)とサービスの充実による顧客満足度の向上(=集客力の向上)といった効果が期待される。

また、2020年10月以降は接触機会の減少、感染リスクの低減などを目的に、セルフサービスの導入にも取り組んでいる。顧客の食事休憩時や出玉・メダル交換時に店舗スタッフが今まで行っていた作業をセルフ化することで接触機会を減らすと同時に、スタッフの業務負担軽減にもつなげている。そのほかにもセルフPOS(景品カウンター業務の効率化)の導入も実験エリアを拡大中だ。同社ではこれらの施策を、グループ各店舗に拡大していくことで店舗オペレーションコストを低減し、収益力を強化していく戦略となっている。また、適性に応じた多様な人材の活用(やりがい、働きがい、働き場所の創出)や、ダイバーシティ&インクルージョンの促進といった働き方改革にも継続して取り組んでいく方針だ。


市場の縮小傾向が続くなかで、シェア拡大による成長余地は大きい
2. 2022年3月期以降の業績の考え方
コロナ禍によって、未知の感染症が経済活動に与える影響の大きさやリスクが改めて認識される格好となったが、先行きに関しても治療薬やワクチンが開発されるまではコロナ禍のリスクがつきまとい、収益動向も見通し難い状況となっている。

変動要因としては稼働率、機械購入費、人件費を含めた店舗経費となる。稼働率に関しては2020年4月−5月を底にして現在は営業収入で前年比7~8割の水準まで戻しているが、ワクチンや治療薬が開発されるまでは感染状況によって影響を受ける可能性があると見ておいたほうが良さそうだ。

また、機械費については新規則機への入替えペースによって変わってくるが、2021年3月期に購入台数を絞り込めば、逆に2022年3月期の費用負担が重くなるため、こちらも2021年3月期の収益状況次第となる。利益が確保できるようであれば2021年3月期に購入台数を増やして、2022年3月期の費用負担を軽減するという選択肢も出てくる。

以上から、2022年3月期については変動要素が多く現時点では見通し難い状況ではあるが、中期的に見れば、パチンコ・パチスロ業界の縮小が続いたとしても、シェア拡大によって成長する余地は十分あると弊社は見ている。前述したように、同社の業界シェアは店舗数で最大手と言っても5%程度にしか過ぎないためだ。また、現在取り組んでいる店舗オペレーションの効率化が進めば、コロナ禍の収束後にはいち早く収益が回復し、M&Aによってシェアを拡大する好機が訪れる可能性もある。

また、パチンコを地域のインフラとして誰もが気軽に遊べる日常の娯楽とすることを目指している同社の方向性は、時代の流れに沿うものであり、今後、業界再編及び大手資本による集約化が進むと予想されるなかで、同社は勝ち組としてシェアを拡大していく可能性が高いと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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