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橋本総業HD Research Memo(5):コロナ禍の影響を受けるも2021年3月期第2四半期の各利益は期初計画達成

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■業績動向

1. 2021年3月期第2四半期の業績動向
橋本総業ホールディングス<7570>の2021年3月期第2四半期の業績は、売上高62,048百万円(前年同期比8.1%減)、営業利益1,201百万円(同6.9%減)、経常利益1,400百万円(同4.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益929百万円(同1.7%増)となった。なお、特別利益に投資有価証券売却益等を計上したため、親会社株主に帰属する四半期純利益は増益となっている。

2021年3月期第2四半期はコロナ禍の影響により、同社の属する建設業界においても非常に厳しい状況となった。同社によると、2020年度の民間住宅投資は持家・貸家・分譲全てで着工減が予想され、民間非住宅投資についても前年比マイナス推移が予想されている。このような環境下でも同社は、仕入価格と販売価格の管理を強化することで売上総利益率は向上した。また、2021年3月期上期開催予定だったイベントの大半が中止になったことなどを背景に、営業費や交際費を中心とした販管費が抑制された。この結果、各利益については期初計画を達成した。

セグメント別の売上は以下の通りである。

管材類の売上高は18,001百万円(前年同期比14.2%減)となった。これは主に、コロナ禍の影響により、東京オリンピック・パラリンピック需要が減退したことに加え、工期の延期及び新築着工件数の減少から民間住宅需要が減少したことにより、金属管材類、樹脂管材類の各分野で需要が減少したことによる。

衛生陶器・金具類の売上高は18,134百万円(前年同期比8.0%減)となった。これは主に、前年同期は消費税増税前の仮需要や主力商品の値上の実施により大幅に伸張した一方で、2021年3月期第2四半期はコロナ禍の影響で需要が低迷したことによる。

住宅設備機器類の売上高は10,394百万円(前年同期比1.5%減)となった。コロナ禍の影響により、住宅向け設備機器の取替需要等が増加した一方で、各ショールームの活動自粛をはじめとする販促活動の縮小が影響した。

空調・ポンプの売上高は14,700百万円(前年同期比4.3%減)となった。これは主に、コロナ禍の影響により、業務用空調機については学校物件の需要の減少及び工期の延期、汎用ポンプ及び家庭用ポンプについても工期の延期を受け、各分野で需要が減少したことによる。

2.新型コロナウイルス感染症拡大による環境変化
同社は、中期の取り組みへ向け、2020年3月期に「10の基本方針」を策定している。内容は1)早い、安い、確実の追求で顧客満足度を向上、2)営業活動のルーティンを実行して予算必達、3)トータル化、コラボ化、新規の推進により増分10%の成長追求、4)しくみ作り、人作り、しかけ作りにより生産性10%アップ、5)みらい活動により10%拡大、6)7つのみらい商材による増分10%、7)働き甲斐改革、ESG活動、健康企業への制度対応、8)事前、当日、事後のフル機能強化、9)座学(橋本学校)とネットの研修を通じた人材育成、10)コンプライアンスの遵守などリスク対応である。なかでも注力しているのが、1)早い、安い、確実を追求し顧客満足度向上を図る、3)取引先とともに新規増分による成長への取り組み、4)しくみ作り、人作り、しかけ作りによって働き甲斐改革(生産性向上)を進める、の3つとなっている。

しかしながら、コロナ禍により「10の基本方針」の前提となる外部環境が急変していることから、取り組みの優先事項が変化する可能性があることに注意したい。

同社に影響を与えうる外部環境変化としてまず挙げられるのは、経済環境であろう。コロナ禍により各種経済指数は悪化しているが、特に緊急事態宣言が発令された第1四半期の落ち込みが大きく、第2四半期は底を打ち、特に公共工事が景気を下支えした。同社が属する建設業界では、住宅設備機器や空調機器が堅調な一方で、管材は厳しい状況が続いている。

また、コロナ禍による生活習慣の変化についても同社に影響を与えうる外部環境変化と言える。「非接触」をキーワードに消費者や企業の意識変化が見られる。一例を挙げると、身の回りの衛生管理や住空間の快適性を重視する傾向が強まり、換気扇や空調機、自動水栓や家事を楽にする家電製品、テレワーク浸透によるワーキングスペースのリフォーム、住居全体のリノベーション、比較的遠隔地でありながら低価格の一戸建てなどが好調となった。また、接触しないで買い物ができるEコマースの伸長を背景に、物流や倉庫も活況となっている。特に衛生管理面では、これまでの流れが加速しており、オフィス空間、学校など公共施設から保育所や高齢者施設へと、空調機器や換気扇、除菌機、自動水栓などの導入の動きが広がっている。つまり、接触を嫌って人が動かなくなる一方、物と情報の動きがより活発化している状況と言える。

こうした変化の中で特徴的だったのは、同社の減収幅が業界の減収幅より低く抑えられた点である。これは、業界シェアや対メーカーシェアが上昇したことによると弊社では見ている。同社はコロナ禍でも、需要が大きい商品・サービスを数多く扱っているだけでなく、環境変化に対応して在庫を積み増すなどの対応をしている。コロナ禍での卸機能の充実や優越性はもちろんだが、コロナ禍でも卸機能を持続するために、除菌設備などを拡充した上で換気や清掃、消毒などのルールを厳格化し、保健所とも連携をとるなど、いち早く万全な体制を構築した点も評価できる。これらの対応が、コロナ禍で2021年3月期上期のイベントの多くが中止になったにもかかわらず、業界の減収幅より低く抑えられたことにもつながると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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