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学研HD Research Memo(6):ソーシャルボンド60億円を発行し、MCSの株式追加取得や事業投資資金に充当

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■業績動向

3. 財務状況とキャッシュ・フローの概況
学研ホールディングス<9470>の2020年9月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比4,392百万円増加の103,741百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が4,411百万円増加した。また、固定資産では有形固定資産が1,105百万円増加した一方で、投資有価証券が2,767百万円減少した。

負債合計は前期末比8,131百万円増加の67,502百万円となった。主に有利子負債が6,950百万円増加した。また、純資産合計は前期末比3,738百万円減少の36,239百万円となった。利益剰余金が1,507百万円増加した一方で、資本剰余金が3,677百万円、その他有価証券評価差額金が541百万円、非支配株主持分が1,231百万円それぞれ減少したことによる。

なお、同社は2020年3月に60億円のソーシャルボンドを発行している。調達資金は全額、同社が策定したソーシャルプロジェクトに充当する予定となっている。具体的には、高齢者福祉事業の安定的な成長を実現していくために、MCS株式の追加取得やMCSへの投融資資金などに振り向ける。2018年9月末の株式取得時点で同社のMCS株式保有比率は61.8%だったが、段階的に比率を高め2020年9月末時点で96.5%となっている。

キャッシュ・フローの概況について見ると、2020年9月期末の現金及び現金同等物は前期末比4,927百万円増加の24,765百万円となった。内訳を見ると、営業キャッシュ・フローは収益増を主因として5,971百万円の資金増加となった。また、投資キャッシュ・フローは有形及び無形固定資産の取得に伴う支出等で、1,588百万円の資金減少となった。この結果、フリーキャッシュ・フローは4,383百万円の資金増となっている。財務キャッシュ・フローは、60億円のソーシャルボンドを発行した一方で、MCSの株式取得で5,311百万円、配当金で751百万円を支出したことにより、22百万円の資金減少となった。

経営指標を見ると、有利子負債の増加により有利子負債比率や自己資本比率などの安全性指標は若干悪化したものの、現金及び預金の残高は潤沢であり財務の健全性は維持しているものと判断される。また、収益性について見れば、ROE、ROA、売上高営業利益率のすべてで2019年9月期から上昇した。ROEについては8.0%以上を目標にしており、今後もROICなども含めて投資効率の向上に取り組んでいく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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