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イントラスト Research Memo(5):コロナ禍でも、大幅増収増益を達成

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■イントラスト<7191>の業績動向

1. 2021年3月期第3四半期の業績概要
2021年3月期第3四半期累計期間(2020年4月1日~2020年12月31日)におけるわが国経済は、コロナ禍の影響もあるなか、各種施策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの動きが見られた一方、新型コロナウイルス感染症の再拡大により景気の先行きは極めて不透明である。同社の関連業界である住宅関連業界においては、コロナ禍の影響もあり、賃貸住宅の入退去の動きの鈍化が懸念されたが、緊急事態宣言解除後の経済活動レベルの引き上げに応じて、持ち直しが見られた。ただ、2020年11月以降の新型コロナウイルス感染症の再拡大及びその後の緊急事態宣言の再発出により、今後の動向に注視が必要である。

このような事業環境下、同社はこれまで培ってきた家賃債務保証のノウハウを活かし、様々な分野における独自の保証サービス及びソリューションサービスの開発・提案・販売に取り組んできた。結果、2021年3月期第3四半期累計期間の売上高は3,061百万円(前年同期比17.3%増)、営業利益は841百万円(同12.0%増)、経常利益は844百万円(同11.8%増)、四半期純利益は558百万円(同11.0%増)と、大幅な増収増益決算となった。売上高は5期連続の増収、営業利益は7期連続の増益であった。

売上高の増加は、コロナ禍により、新規顧客開拓の一部に遅れが生じた一方で、2020年4月に発出された緊急事態宣言以前の営業が奏功し医療費用保証が大幅に進展したほか、家賃債務保証についても新規契約数が増加したことにより、保証事業の成長を牽引したことなどによる。また、営業利益の増加に関しては、基幹システムの入れ替えや養育費保証の市場開拓への投資は計画通り進める一方で、その他の費用増加についてはある程度抑制できたことによる。また、将来の事業の柱の1つに育成するために、養育費保証についてネット広告を始めたことが注目される。

事業別には保証事業の売上高は、1,672百万円(前年同期比28.1%増)、ソリューション事業の売上高は、1,388百万円(同6.4%増)と、コロナ禍にありながら両事業とも順調に増加している。特に保証事業は、医療費用保証・家賃債務保証の成長によって大幅続伸した。大和ハウスグループとの契約について、保証事業からソリューション事業への切り替えが一巡したことも、保証事業の好調に影響したようだ。一方、ソリューション事業は、新規顧客開拓に遅れが生じつつも、既存顧客の成長により着実に続伸した。


高水準の自己資本比率を確保、無借金経営で安全性が極めて高い
2. 財務状況と経営指標
2021年3月期第3四半期末における総資産は5,038百万円となり、前期末比311百万円増加した。うち、流動資産は、4,198百万円で、同98百万円増加であった。これは、現金及び預金が193百万円、売掛金が37百万円減少した一方、立替金が329百万円増加したことなどによる。立替金は、家賃分野の事前立替型商品(管理会社・オーナーが家賃引き落としできない場合に同社が保証する「代位弁済型」に対し、「事前立替型」では同社が家賃収納まで行い、手元資金のなかで管理会社・オーナーに支払うシステム)の拡販に連動して増加している。また、固定資産は、839百万円で、同213百万円増加となった。これは、投資その他の資産が115百万円、無形固定資産が101百万円増加したことなどによる。

負債合計は、1,318百万円となり、前期末比32百万円の減少となった。流動負債は、1,264百万円で、同39百万円減少した。これは、前受収益が117百万円増加した一方、未払法人税等が93百万円、その他流動負債が47百万円減少したことなどによる。前受収益は、賃貸契約に従い代金は契約締結時・更新時に受取り済みだが役務提供は未完了のもので、分割計上により2022年3月期以降の収益原資となるものだ。また、固定負債は、54百万円となり、同6百万円増加であった。これは、その他固定負債が6百万円増加したことなどによる。

純資産合計は、3,720百万円となり、前期末比344百万円増加となった。これは、配当の支払により234百万円減少したものの、四半期純利益558百万円を計上したことにより、利益剰余金が増加したことなどによる。

以上から、2021年3月期第3四半期末の自己資本比率は73.8%となり、東証1部その他金融業2019年度実績の5.8%を大きく上回る極めて高い安全性を確保しており、無借金経営を継続していることが注目される。また、2020年3月期のROA23.4%、ROE22.0%で、その他金融業平均の10.1%、0.6%を大きく上回り、同社は収益性の高さでも秀でていると言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


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