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米国株式市場見通し:金利高への脅威がくすぶり慎重な展開

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金利の急上昇を警戒した調整が続きそうだ。恐怖指数、VIX指数は再び上昇基調にあり投資家の不安を表している。特に今まで低金利の恩恵を多く受けてきた中でリスクを多めにとり速くかつ大きなリターンを狙ったアクティブ投資に影響を与えそうだ。ただ、FRB高官が指摘しているように、金利は依然歴史的に低い水準で、実質金利はマイナスだ。回復期待に伴い、インフレや金利の上昇が予想されるが、その速さが問題となる。市場には緩やかな金利の上昇を織り込む時間が必要になりそうだ。

NY連銀のウィリアムズ総裁は、2021年の国内総生産(GDP)成長率が過去数10年間で最大になる可能性があると、かなり強気な見解を示している。一方、インフレは当面抑制されるとの見通しだ。FRBの高官は最近のインフレの上昇は一時的との考えで、パウエル議長は「インフレ目標達成には3年以上要する可能性もある」とかなり悲観的。投資家のインフレ上昇への警戒感と対照的だ。FRBが後手に回っているとの警戒感も相場の脆弱さに繋がる。

一方で、1.9兆ドル規模の追加経済対策が3月中旬までに速やかに成立する可能性が高く、ワクチン接種ペースが一段と加速することは、今後の強い回復期待を後押しし景気循環株を支えそうだ。

FDAは諮問委員会の支持を受けたJ&J開発ワクチンの緊急使用許可(EUA)を承認し、直ちに配給される公算だ。これまで承認されたワクチンと違い1度の接種で済み、取り扱いも容易な同社のワクチンは接種ペースをさらに加速させ経済活動の再開を支援するだろう。1月の貯蓄率は20.5%に達しており、パンデミックの終息とともに累積需要も回復に拍車をかけそうだ。

経済指標では、2月ISM製造業景況指数(3月1日)、2月ADP雇用統計、2月ISM非製造業景況指数(3日)10-12月期の非農業労働生産性、週次新規失業保険申請件数、1月製造業受注(4日)、2月雇用統計、1月貿易収支(5日)など重要指標が予定されている。また、FRBは地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表する。結果は、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策決定の材料のひとつとなる。報告では、インフレ懸念が浮上する中、各地区の物価や雇用状況に注目したい。また、パウエル議長が4日には経済に関しての討論会に参加予定。議長は経済や労働市場に依然かなりのスラックが存続すると慎重な見解を再表明する可能性が強いが、株式や債券相場の急落後、投資家の信頼を取り戻せるかどうかに注目だ。

企業決算ではビデオ会議のズームビデオ、バイオのノババックス、自動車販売のカーマックス(1日)、小売りのターゲット、百貨店のコールズやノードストーム、TV動画配信のフーボTV、自動車部品販売のオートゾーン(2日)、クラウドのスノーフレーク、ディスカウント小売りのダラーツリー(3日)、会員制小売りのコストコ、半導体メーカーのブロードコム、スーパーマーケットチェーンのクローガー(4日)などが予定されている。

コストコはパンデミックの恩恵を受けた需要が一段落、従業員の最低賃金を引き上げる計画を発表したが、業績見通しに注目したい。また、デジタルの売り上げ急増が引き続きターゲットの収益拡大につながりそうだ。百貨店はパンデミックによる外出規制が響き長らく落ち込んでいたが、経済の再開やデジタルの売り上げが奏功した回復を期待したい。新型コロナウイルスワクチンを手掛けるノババックスは減益が予想されている。

(Horiko Capital Management LLC)


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