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ケアネット Research Memo(3):コロナ禍で需要拡大継続。Web講演会など好調で医師会員数は18万人を超える

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■業績動向

1. 2020年12月期業績の概要
ケアネット<2150>の2020年12月期通期(2020年1月-12月)の連結業績は、売上高で前期比62.3%増の5,304百万円、営業利益で同149.3%増の1,510百万円、経常利益で同153.9%増の1,506百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同82.0%増の815百万円といずれも従来の会社計画を上回る増収増益となった。

従来進みつつあった製薬企業のDX化がコロナ禍の影響によって急速に進んでおり、インターネットを活用したプロモーション活動などのリモートワークの拡大が続いた。これにより、各既存サービスの受注が増加した。また、販売管理費の効率化に向けた各施策も奏功し、利益も大きく伸びた。人材面では事業開発などの領域で増員しており、中・長期的に見て成長基盤を築く取り組みを進めている。また、テレワークを積極的に活用するなどして、人員を拡大させつつもオペレーションの効率化を図った。なお、営業利益と経常利益の伸びと比較して親会社株主に帰属する当期純利益の伸びがやや抑えられているのは、特別損失としての投資有価証券評価損の計上や税金費用の変動が主な要因である。

(1) 医薬営業支援サービス
医薬営業支援サービスの売上高は前期比67.8%増の4,816百万円、セグメント利益は同80.7%増の2,669百万円となった。前述のとおり、製薬業界におけるプロモーション活動がアナログな人海戦術からデジタルシフトしており、顧客側における商慣習の変化を通じて各サービスのニーズが高まった。なかでもWeb講演会の需要が急拡大している。2019年12月期上期においては、同社が外注している配信業者の対応人数や機材の不足により、同社が希望とする規模の配信が行えず、受注を制限された場面があった。しかし、それらが拡充されたことで、結果的に同社の受注対応力も向上した。「CareNet.com」の会員数は2020年12月末現在で36万人超であり、医師会員数については18万人超と、直近5年間で約4割近く増加する堅調な伸びを見せている。

(2) 医療コンテンツサービス
医療コンテンツサービスの売上高は前期比22.5%増の487百万円、セグメント利益は同45.6%減の29百万円となった。新型コロナウイルス関連のライブコンテンツ制作本数を増やすなどしたことで会員数の伸びが加速し、医師向け教育動画サービス「CareNeTV」の売上高が増加した。「DVD他」の区分では、DVD販売の減少トレンドが継続したものの医師転職サポートのキャリア事業売上が前期比57.6%増となったことから、同区分でも増収となった。一方で利益については、上記のライブコンテンツ制作の拡大や、会員獲得キャンペーン、動画プラットフォームの改良、キャリア事業加速に向けた投資などを受け、減少した。2020年12月末時点での有料会員数は5,000人超となった。


依然として財務安全性高く、成長投資支える基盤として機能
2. 財務状況と経営指標
2020年12月期末の総資産は前期末比2,239百万円増加の5,319百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が973百万円、売上債権が904百万円ともに増加した。固定資産では投資有価証券が202百万円、のれんが80百万円、ソフトウエアが44百万円そろって増加した。

負債は前期末比1,309百万円増加の2,234百万円となった。増加の主な内訳は、未払法人税等526百万円、未払金262百万円、未払消費税等171百万円、ポイント引当金171百万円、役員賞与引当金122百万円である。

純資産は前期末比929百万円増加の3,085百万円となった。利益剰余金753百万円、その他有価証券評価差額金167百万円の増加が寄与した。

経営指標を見ると、流動負債の増加を背景に流動比率が前期末比76.3ポイント低下の195.8%、当座比率が同62.8ポイント低下の188.5%となったものの、依然として良好な水準を維持しており、短期的な財務懸念はないと弊社は見る。また、自己資本比率は同12.0ポイント低下の57.8%となったものの、固定負債が24百万円のみであり、上記のとおり短期的な安全性も高いため、実質的には財務内容は健全な状態にあるものと弊社は判断する。また、こうした盤石な財務基盤のもと、製薬業界におけるDX化などを背景とした市場拡大のなかで活発に事業投資できており、中・長期的な成長基盤が着実に築かれつつある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)


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