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為替週間見通し:底堅い値動きか、金利高・株安は継続の可能性

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【今週の概況】
■米長期金利上昇でドル・円は一時108円64銭

今週のドル・円は堅調推移。米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は債券利回りの急伸に言及し、市場を監視していく姿勢を示したことで長期債利回りは一時低下し、ドル買いは縮小した。しかし、3月3日に公表された地区連銀経済報告でほとんどの地区で経済活動は緩やかに拡大していることが判明し、パウエルFRB議長は4日に行われたインタビューで長期金利の上昇抑制策を講じる可能性を特に示唆しなかったため、長期債利回りは再び上昇し、リスク選好的なドル買い・円売りが活発となった。日本銀行の黒田総裁が「長期金利変動幅、拡大必要とは考えていない」と発言したこともドル買い・円売りを促した。

5日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時108円64銭まで上昇した。この日発表された2月米雇用統計で失業率は予想外に低下し、非農業部門雇用者数は市場予想を大幅に上回ったことから、リスク選好的なドル買いが優勢となった。ドル・円は108円40銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:106円37銭−108円64銭。

【来週の見通し】
■底堅い値動きか、金利高・株安は継続の可能性

来週のドル・円は底堅い値動きか。米長期金利の上昇基調は維持されており、米国株安は一服したことから、株安を警戒したリスク回避的な円買いは後退する可能性がある。欧州中央銀行(ECB)の金融政策を巡る思惑でユーロ売り・米ドル買いが優勢となった場合、ドル・円の取引でもドル買い・円売りがやや強まる可能性がありそうだ。米長期金利の上昇を警戒した株安は一服したようだが、ハイテク株を中心に米国株式への売り圧力は消えていない。米国株式が再び下げた場合、リスク選好的な円売りはやや弱まる見通し。

欧州中央銀行(ECB)は11日開催の理事会で金融政策の現状維持を決定する公算だが、声明やラガルド総裁会見での長期金利への言及が手がかりになる。複数のECB当局者はこれまで金利上昇をけん制していることから、引き続きユーロ売りの要因となり、ドル・円の相場動向にも影響を与える可能性がある。米連邦準備制度理事会(FRB)はすみやかな景気回復については慎重な見方を変えていないが、長期金利の一定の上昇を容認する姿勢を維持している。米10年債利回りが底堅く推移すればドル売りは仕掛けづらい。米国株式がさえない動きとなっても金利高を手がかりとしたドル買いは縮小せず、ドル・円は108円台での取引が多くなりそうだ。

【米・2月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の米2月消費者物価コア指数(CPI)は、前年比+1.3%と1月実績の同比+1.4%を下回る可能性がある。市場予想と一致した場合、米10年債利回りは伸び悩む可能性があるが、上回った場合はドル買い材料になりそうだ。

【米・3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報】(12日発表予定)
12日発表の米3月ミシガン大学消費者信頼感指数は77.2と、2月実績の76.8から小幅に上昇する見通し。市場予想を上回った場合、株高・金利高・ドル高の要因となろう。

予想レンジ:107円00銭−110円00銭


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