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シンバイオ製薬 Research Memo(7):2020年12月期はほぼ前期並みの業績水準に落ち着く

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■業績動向

1. 2020年12月期の業績概要
シンバイオ製薬<4582>の2020年12月期の業績は、売上高が前期比5.3%増の2,987百万円、営業損失が4,506百万円(前期は4,301百万円の損失)、経常損失が4,615百万円(同4,376百万円の損失)、当期純損失が4,090百万円(同4,376百万円の損失)とほぼ前期並みの業績水準となった。

2019年春から続いていた「トレアキシン(R)」(FD製剤)の不良品問題(異物混入・外観不良)が長引いた影響により、売上高は期初計画に対して12%下回ったが、第2四半期以降は国内における品質検査体制を強化したことで販売量も回復し、通期では前期比で増収を確保した。なお、品質不良により販売不能と判断した製品については、たな卸資産評価損として69百万円を売上原価に計上している(前期は187百万円を計上)。

販売管理費については前期比4.0%増の5,373百万円となった。研究開発費は「トレアキシン(R)」や「リゴセルチブ」の開発費減少により同7.2%減の2,266百万円となったが、「トレアキシン(R)」の自社販売体制構築に伴い、その他販管費が同14.0%増の3,106百万円となった。自社販売体制構築に伴う関連費用(販促費)は前期の733百万円から1,301百万円に増加しており、販促費を除いたその他販管費だけで見ると、新型コロナウイルス感染症拡大下におけるテレワーク体制の導入や経費削減に努めたことで、前期比185百万円減少している。また、期初計画比では研究開発費、その他販管費ともに絞り込みを行い、販管費合計で862百万円を削減した。なお、研究開発費のなかにはRTD製剤の販売承認取得に伴うマイルストーン支払金、約5億円が含まれている(第3四半期に計上)。

2020年12月期には、特別利益として受取和解金525百万円を計上している。同社が2017年10月に米メディシンズに対して、自己疼痛管理用医薬品「SyB P-1501」に関するライセンス契約不履行があったとして損害賠償を求める仲裁を国際商業会議所に申し立てていた件※について、2020年9月1日に最終判断が下り、その受取和解金となる。具体的には、仲裁手続きにかかる弁護士費用を含めた諸費用の50%(495万米ドル)をメディシンズ側が同社へ支払うことで決着した。

※2015年10月に短期術後急性疼痛管理用医薬品のライセンス契約を締結したが、同製品の事業の継続性に同社が懸念を抱く事象が生じたため、患者の利益を最優先する観点から2017年4月より臨床試験の新規症例登録を一時的に中断した。その後、2017年10月にメディシンズによるライセンス契約不履行に起因して生じた損害の賠償として82百万米ドルの支払いを求める仲裁を国際商業会議所(ICC)に申し立て、メディシンズが欧米市場で同製品の事業活動の中止・撤退を決定したことに伴い、ライセンス契約に基づく義務の履行について十分な保証を同社に対して提供できなかったことはライセンス契約の重大な違反である旨を仲裁で主張し、ライセンス契約について解除した。


なお、同社は2020年12月10日より「トレアキシン(R)」の自社販売を開始している。自社販売体制の構築については、2019年から準備を進めて2020年6月に完了しており、その後はエーザイとの業務引き続きを行ってきた。営業人員に関しては、血液疾患領域において高い専門性を持つMR51名とRSM(地域セールスマネージャー)6名の57名を全国6ブロックに分けてそれぞれ配置したほか、マーケティング人員としてKAM(KOL重点管理マネージャー)1名、HE(ヘマトロジーエキスパート)4名の合計62名を採用した(うち、約6割は契約社員)。営業人員に関してはRTD製剤や再発・難治性DLBCLの適応拡大の承認に迅速に対応できるようにするための研修も完了しており、今後も62名の体制で営業活動を継続していくことになる。

また、流通体制としてはスズケン<9987>及び東邦薬品(株)(東邦ホールディングス<8129>連結子会社)と、医薬品の売買に関する取引基本契約を2020年9月7日に締結し、2社を総代理店としたほか、物流に関してはスズケンの子会社である(株)エス・ディ・コラボに業務委託することになった(物流拠点は東日本と西日本で各1拠点)。同社では今回の営業体制について、業界の中でも特に専門性の高い組織を構築できたと評価しており、2021年以降の売上拡大と利益率向上に寄与するものと期待される。


2021年12月期からは収益化フェーズに入り、資金調達も金融機関からの借入が中心となる見込み
2. 財務状況
2020年12月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比1,000百万円増加の6,274百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では売掛金が142百万円、現金及び預金が62百万円減少した一方で、商品及び製品が944百万円増加した。商品及び製品については、前期には仕入れたFD製剤をエーザイに引き渡すだけだったため資産計上していなかったが、不良品問題により自社で検査業務も行うことになったため、2020年12月期より資産計上することになった。また、2021年12月期の売上計画から期末在庫の水準を換算すると、約5ヶ月分の在庫を保有していることになり、やや大きいように見えるが、これはFD製剤の今後の販売見込み分に関して2020年末までにすべて調達を完了したためだ。固定資産の主な増加要因は、自社営業体制の構築に関連してソフトウェア及びソフトウェア仮勘定合わせて61百万円増加したことによる。

負債合計は前期末比743百万円増加の1,617百万円となった。主な変動要因を見ると、買掛金が544百万円増加したほか、前受収益192百万円を計上したことによる。また、純資産は同257百万円増加の4,657百万円となった。当期純損失の計上により利益剰余金が4,090百万円減少した一方で、新株予約権の行使等により資本金及び資本剰余金合わせて4,350百万円増加したことによる。この結果、自己資本比率は前期末の71.7%から64.3%と7.4ポイント低下した。

なお、同社は2020年12月に金融機関2行と上限30億円となるコミットメントラインの契約締結を行った。従来は新株予約権の発行によるエクイティファイナンスにより、研究開発費を中心とした事業活動資金を調達してきたが、2021年12月期より収益化が見込める状況となったことで、金融機関からの借入も行えるようになった。このため、今後は期間収益と金融機関からの借入によって、事業活動資金を賄っていく方針としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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