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インド市場「様子見」の裏側で【フィスコ・コラム】

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インドでの新型コロナウイルスの感染爆発が伝わっているものの、市場への影響は現時点で限定的のようです。ただ、インド経済が急減速するなら新興国への波及も警戒されるため、目は離せない状況です。国内の議会補欠選の結果も注視する必要がありそうです。


世界的にコロナまん延が深刻化するなか、インドでは1日の新規感染者が35万人を突破し、累計で2000万人を超えています。感染力の強いインド特有の変異種が原因と報じられ、国別で最悪のアメリカを上回る急激なペースです。専門家は実際の感染被害はさらに大きいと指摘。医療サービスも火葬のための施設も能力の限界に達しているもようだと報じられています。


それでも、インド株式市場は比較的平穏な状況が続いています。代表的な株価指数SENSEX30は今年2月に過去最高値の52000pt台に浮上した後、コロナまん延への懸念から4月半ばに48000ptを割り込んだものの、その後は底堅い値動きが続きます。5月に入ってからも感染爆発の恐れは強まっているにもかかわらず、割安感の生じた主力銀行株を中心に買いが集まり指数を下支えしているようです。


インド準備銀行(中央銀行)のダス総裁は5月5日、医療体制の崩壊に歯止めをかけるための緊急対策として、医療産業向けに5000億ルピー(約7400億円)規模の資金供給を発表。SENSEX指数はそれを受け、前日比400pt超高の48600pt台に浮上しました。中銀の緩和的な政策方針のほか、モディ政権による追加経済対策への期待感が株価を支えているとみられています。


インド株については、コロナ感染にピークアウトの兆しが見え始めるまで、足元の48000pt付近でもみ合う展開が想定されています。目先も一段の感染拡大により下値を探る可能性はあるものの、欧米の支援によって株価の急落は避けられる、と市場はやや楽観的にみているようです。ただ、インド中銀の緩和策で金利が低水準に抑えられれば通貨ルピーの下落基調は避けられず、新興国通貨安にも目を光らせなければなりません。


インド国内に目を向けると、ワクチンの普及は遅れ、ロックダウン(都市封鎖)の制限措置を強化する州も出てきました。財政拡大の余地は乏しく、中銀はインフレ圧力で利下げに踏み切れず政策的な限界も指摘されています。今後は消費の急激な落ち込みが避けられず、その打撃を予測するのも困難でしょう。米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和が縮小されれば、そのダメージはさらに強まります。


今年は春先から複数の州で議会の補欠選挙が行われており、モディ首相率いる与党のインド人民党(BJP)が最大野党のインド国民会議(INC)に追い上げられるケースが目立っています。残る1州の選挙でも苦戦した場合、政局の流動化も警戒されますが、2014年から続くモディ政権最大の試練が続きそうです。

※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。


(吉池 威)

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