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中国、アビガン特許“乗っ取り”か。承認をダラダラ遅らせ横取り許した厚労省に「売国」の声

中国の人民解放軍が、アビガンは新型コロナにも効果が認められるとして「用途特許」を出願。同国の国家知識産権局(CNIPA)がその特許を認めたとデイリー新潮が報じ、大きな波紋を呼んでいる。

抗インフルエンザウイルス薬であるアビガンは、富山化学工業(現・富士フイルム富山化学)が1997年から研究を開始。14年に条件付きで抗インフルエンザウイルス薬として日本国内で承認されたほか、新型コロナウイルスの治療薬として使えるのではと、インドネシアなどで緊急使用が認められているほか、海外各国でも治験が進められている。

「用途特許」とは、新しく発見された使い道の権利を守るためのもの。今回のアビガンに関する用途特許を出願したのは、昨年の1月21日と公告されており、コロナ禍が世界中を襲う直前のタイミングだったという。もしもこの出願が特許協力条約(PCT)に基づく国際出願であれば、PCT加盟国は150か国以上で国内申請と同様に扱われることになる。

「売国」厚労省が招いた乗っ取り劇に怒りの声多数

国内企業が長らく研究・開発を進めていたアビガンだが、コロナ特効薬としては中国がその権利を手にする形に。中国と知的財産を巡って揉めるといった話は以前からよくあるとはいえ、今回の件でも「また中国が…」といった声が多くあがる事態となっている。

日本国内でも、一時はコロナ特効薬として大いに期待をされていたアビガン。昨年5月には、当時の安倍首相から「5月中の薬事承認を目指す」との発言まで飛び出していたものの、それは叶うことはなく。同年の12月には厚生労働省がアビガンに関して「有効性を明確に判断することは困難だ」として、新型コロナの治療薬としての承認を見送り。継続審議という形となった。

アビガンと同様に「データ不足」との声もあったワクチンの方は、早期の接種開始に向けて承認を急いだのにも関わらず、アビガンに関してはとにかく慎重な姿勢を崩さない厚労省。その姿勢に対しては「矛盾している」といった声も多く、なかには、アビガンの承認がなかなか下らないのは「製造元が天下りを受け入れないことへの、厚労省の嫌がらせ」といったまで、まことしやかに囁かれている始末だ。

そんな経緯のあるなかでの人民解放軍による用途特許の取得とあって、その責任を問う声は厚労省へと向けられる格好に。ネット上では「ボケすぎる」と横取りされた無様さを指摘する声、さらに厚労省は「売国」だと激しく非難する声までもあがっている。

中国が特許を盾に「アビガン恫喝&手懐け」を開始?

人民解放軍にアビガンの「用途特許」が渡ったことで、今後どういった事態が起こるのか。指摘されているのが、中国によるアビガンの「外交カード」としての活用だ。

かくいう日本も、アビガンを各国へと無償提供するという、いわゆる「アビガン外交」に積極的で、最近もタイに向けて4月に200万錠、さらに5月には100万錠のアビガンを輸出したと伝えられている。昨年の上半期ごろマスクなどの医療資材が大いに不足していた時期、中国が国際社会での影響力増大を狙っていわゆる「マスク外交」を展開していたが、日本の「アビガン外交」はそれに対抗するものとされていた。

ただ、中国による「アビガン外交」は日本のような生易しいものではないようで、「アビガン用途特許の許諾が欲しければ、中国の言うことを聞け」といった、さしずめ「アビガン恫喝」とも言える行為を始めるのでは、との指摘も。また逆に、中国に対して平身低頭の姿勢を示せば、アビガンの特許利用は無償で許可するといった、「アビガン手懐け」も大いに考えられるというのだ。

世界中を新型コロナの脅威から解放する手助けとなる可能性も秘めたアビガンが、そのような一国の覇権のために用いられるというのは、なんとも忌々しき事態。とはいえ、そのアビガンの承認をずるずると先延ばしにした挙句、特許を横取りされた日本もなんとも情けない、そんな声がネット上では多く渦巻いている状況だ。

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