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タナベ経営 Research Memo(3):売上高の約5割を占める長期契約型サービスを収益基盤とする

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■事業概要

2. 事業内容
タナベ経営<9644>の事業セグメントは、経営コンサルティング事業とマーケティングコンサルティング事業の2事業で区分開示している。直近3期間の売上高構成比は、経営コンサルティング事業が約6割だが、セグメント利益の構成比では約9割を占めている。マーケティングコンサルティング事業にはプロモーション商品等の仕入販売が含まれているため、見かけ上の利益率が低くなっていることが要因だ。ただ、ここ数年は付加価値の高い企業のブランディングなども含めたマーケティングコンサルティング領域に注力しており、利益率の向上に取り組んでいる。

収益モデルとしては長期契約型のサービスを安定収益基盤とし、スポット型の商品・サービス売上高を積み上げていくことで持続的成長を実現している。売上高の約5割を占める長期契約型サービスの大半を占めるコンサルティング契約の継続率は約70%であり、残りの契約満了分約30%とプラスアルファを新規契約で積み上げていく形となっている。チームコンサルティング契約(2021年3月期579件)のうち、契約年数で5年以上継続している案件が全体の約45%を占めている。経営者に寄り添う「ビジネスドクター」として、顧客企業の経営全般を理解し、料金に見合う高品質なサービスを提供し続けていることが、高い継続率につながっていると考えられる。

また、顧客創造モデルとしては、既存顧客や提携先金融機関からの紹介だけでなく、Webマーケティングや無料説明会の開催等で新規顧客と接点を持ち、コンサルティングサービスだけでなく、戦略ドメイン&ファンクション研究会やFCCセミナーへの参加など継続的なサービスの利用により、ロイヤルカスタマー化していく流れとなる。ここ数年は、戦略ドメイン&ファンクション研究会のテーマ拡充を進めてきたこともあり、コンサルティングサービスの新規顧客のうち約6割がこれら研究会や各種セミナーに参加した企業で占められるようになってきている。

(1) 経営コンサルティング事業
経営コンサルティング事業は、大企業から上場企業を含む中堅企業を対象としており、サービス内容によってドメイン・ファンクションコンサルティング、HRコンサルティング、デジタルコンサルティングに分けている。

同事業の売上高の約68%を占めるドメイン・ファンクションコンサルティングには、経営ミッションや中長期ビジョンの策定、業種別の事業戦略、財務戦略、生産性改革等をテーマとしたチームコンサルティングのほか、経営コンサルティング契約への導線となる「戦略ドメイン&ファンクション研究会」、提携先の金融機関やグローウィン・パートナーズ(株)と協働するM&Aコンサルティングなどが含まれる。

同事業の売上高の約19%を占めるHRコンサルティングでは、「働き方改革を実現する人事制度構築・運用」「FCCアカデミー(企業内大学)設立」に関するコンサルティングや、経営者・後継者から新入社員まで階層別の教育研修プログラムとなるFCCセミナーなど、企業の人材育成に関する幅広いニーズを満たすソリューションをワンストップで提供している。

デジタルコンサルティングには、(株)リーディング・ソリューションのデジタルマーケティングに関するKPO業務及びWebサイト構築支援業務のほか、グローウィン・パートナーズ(株)のバックオフィスに対するDX支援サービスなどが含まれる。(株)リーディング・ソリューションでは、BtoB企業向けにデジタル活用によるマーケティング施策の戦略策定から企画・実行・改善までをワンストップで支援している。2004年の創業以来300社以上の支援実績により蓄積してきたノウハウと、同社の経営コンサルティングのノウハウを融合することで、経営全般のDX推進を支援する付加価値の高いコンサルティングサービスメニューを拡充していく予定となっている。

(2) マーケティングコンサルティング事業
マーケティングコンサルティング事業は、グローバル大企業から中堅企業に対して、プロモーション・ブランディング戦略の企画立案から実行推進までを支援するマーケティングコンサルティング(専門コンサルタントがデザインするオリジナルプロモーショングッズ等を企画・制作するデザインプロモーション、マーケティング領域における研究会を含む)のほか、SPツール(定番アイテムに名入れ加工等を施すノベルティ)の企画・販売、ダイアリー(ビジネス手帳・カレンダー)の企画・販売などで構成される。顧客層はブランド力を高めたい地方の中堅企業からグローバル大企業に至るまで幅広く、3,000社以上の企業に商品・サービスの提供を行っている。売上構成比(2021年3月期実績)はマーケティングコンサルティングが約53%、SPツールが約20%、ダイアリーが約27%となる。

また、地方のBtoB企業に対する営業DXコンサルティングにも注力している。最近では経営コンサルティング事業との連携も進み、顧客企業の事業戦略や組織戦略については経営コンサルタントが支援し、商品の販路拡大やブランディング、CIの策定、集客のためのイベントプロモーション、周年プロモーション等をマーケティングコンサルタントが請け負うといった事例も増えてきている。経営コンサルティングを主力サービスとしながら、デザイン機能や物販機能も備えるマーケティングコンサルティングにも対応できる点は、ほかのコンサルティング企業にはない同社の強みと言える。

なお、ダイアリーの販売が第3四半期に集中するため、四半期業績で見ると例年、第3四半期に収益が偏重する季節要因があり、直近3年間の平均で見ると売上高の33%、営業利益の48%を第3四半期で稼ぎ出している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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