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日本株の水準訂正継続、買い戻しに押し目買い加わり底堅い展開

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[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;29638.17;+510.06
TOPIX;2038.41;+22.96


[後場の投資戦略]

 日経平均の前週からの急伸劇は今週も継続している。日経平均は日足一目均衡表で雲を大きく上放れ、三役好転の買い手優位の状態に一気に転換。遅行線の強気シグナルも増大しており、騰勢は当面維持されそうだ。本日の大幅高で、日経平均の直近6日間の上げ幅は2000円近い。大台の3万円も視野に入るなか、さすがに短期的な過熱感も漂うところではあるが、上昇をけん引してきた日経平均先物には本日も買い戻しが断続的に入っている様子。

 海外勢は今年、先物では大幅な売り越しポジションにあり、まだまだ買い戻しは始まったばかりと思われる。今週末には先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)が控えており、売り方による買い戻しの進展を想定すれば、目先的な利益確定売りが入っても底堅く推移しそうだ。また、前週からの急ピッチでの上昇に付いていけていない投資家も多いとみられ、下げた局面ではすかさず押し目買いが入りそうだ。実際、午前はそうした動きが見られている。

 もともと史上最高値更新を続ける米国株などに対して日本株だけ出遅れ感が著しかった。主力企業の4-6月期決算は好調で通期計画の上方修正も例年に比して多かった。アナリストの業績上方修正も増え、今期予想EPS(一株当たり利益)が上昇傾向を辿る一方、予想PER(株価収益率)は低下傾向が続いていた。

 ただ、こうした背景として度々挙げられていた日本の新型コロナウイルス感染拡大やワクチン接種の遅れも揃って解消に向かってきている。新規感染者数は依然として多いものの、8月半ばからは前週比での減少傾向が確認されており、ピークアウトが見られているほか、ワクチン接種は欧米に勝るスピードで追い上げてきている。日本株のバリュエーションディスカウントの要因が解消されてきたのであれば、株価の水準訂正にも納得感が持てる。そこに、政局流動化に伴う政策期待も相まったという格好だ。

 とはいえ、一気に楽観に傾いてきている分、改めて警戒も必要だろう。新型コロナ感染動向についていえば、確かに、新規感染者数は減少傾向にあるが、コロナの行方だけは誰にも確定的なことはいえない。デルタ株に変わる新たな変異株、従来ワクチンが効きにくい景気回復の大前提を覆すような変異株の拡大など、リスクは常に存在する。世界保健機関(WHO)は8月末、警戒レベルが上から2番目の「注目すべき変異型(VOI)」に南米の一部の国で流行するミュー型を加えた。このVOIリストにはそのほかラムダ型などを加え、5種類も変異株が存在する。どれがいつ「懸念される変異株(VOC)」に格上げされるかは分からない。

 また、新規感染者数は減少傾向といっても、ワクチン接種が遅れている新興国でのデルタ変異株の収束はまだまだ道半ばだ。ゴールドマン・サックス証券やシティグループ証券などはデルタ株拡大による世界経済下方修正リスクを警告している。先日のトヨタの減産報道によるショックは、第1四半期決算発表時に既に織り込み済みで、年間生産計画に変更がないこともあり、挽回生産も可能とのことで市場の動揺はひとまず収まった。しかし、減産背景にある東南アジアでの感染拡大などによるサプライチェーンの混乱が、この先再び起こることがないという保証はない。ニュースのヘッドライン次第で相場の雰囲気は一変してしまうことに留意しておきたい。

 国内政治も、いまは期待ばかりが先行しているが、実際のところ、誰が新首相になったとしても、コロナという不確実性の高い相手との戦いが困難であることに変わりはない。また、政策の中身もまだ明らかになってはいないが、財源問題も含めて実現可能性などが低いと判断されば、簡単に期待が萎む可能性もある。

 当面は強気で臨むべきとは思うが、みなが強気に傾きすぎた時ほど怖いものはない。常にリスクを睨みながら相場に臨みたいものだ。
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