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新興市場見通し:「相場の地合い」だけでないIT株上昇の理由、IPOは今週1社

今週の新興市場では、日経平均とともにマザーズ指数も大きく上昇し、終値としては7月14日以来の高値を付けて週末の取引を終えた。自民党総裁選を前に次期政権への期待から日経平均が3万円台を回復するなど大きく上昇し、新興市場でも投資家心理が一段と上向いた。また、以前当欄で取り上げた海外投資家の買い観測に加え、証券各社の強気の投資判断などを手掛かりに見直しの動きが強まったIT株も多く、マザーズ指数の押し上げに寄与したと考えらえる。なお、週間の騰落率は、日経平均が+4.3%であったのに対して、マザーズ指数は+5.4%、日経ジャスダック平均は+2.0%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリが週間で11.1%高、JTOWERが同15.8%高と大きく上昇。次期政権を巡る思惑が広がるとして前回取り上げた弁護士ドットコムは同16.3%高、一部証券会社の投資判断付与が観測されたBASEは同19.0%高となった。売買代金上位では、海外投資家の買いが相次ぎ観測されているHENNGEが大幅高。また、和心などが週間のマザーズ上昇率上位に顔を出した。一方、ビジョナルは同1.9%安。前期業績の上方修正を発表したが、利益確定売りに押された。また、モビルスなどの直近IPO銘柄に売りが出て、メディア総研が下落率トップだった。ジャスダックでは東映アニメーションが同27.8%高。投資判断引き上げ観測もあって上場来高値を大幅更新した。セリアが同7.8%高となるなど、その他主力株も全般堅調。売買代金上位では、再生可能エネルギー関連として政策期待の高いウエストHD、半導体株人気の追い風を受けたフェローテックHDが賑わった。また、三ッ星が週間のジャスダック上昇率トップだった。一方、プロルート丸光やネオマーケティングが下落率上位に顔を出した。

来週の新興市場では、マザーズ指数が利益確定の売りをこなしつつ、引き続きしっかりした動きとなることに期待したい。米ナスダック総合指数が調整の兆しを見せるなか、マザーズ指数も日足チャートで1180pt近辺に位置する200日移動平均線に迫るまで上昇し、目先の利益を確定する売りが出やすいかもしれない。しかし、日本株全般に次期政権への期待が高まるのみならず、機関投資家の買い観測や証券各社の調査開始などからは、新興IT株への関心も国内外で広がっていることがわかる。

来週は、9月13日にビジョナル、サーキュレーション、14日にGA technologies、スマレジ、サンバイオ、プレミアアンチエイジング、Macbee Planetなどが決算発表を予定している。サーキュレーションは上場後初の決算発表で、成長期待の高さから賑わっている直近IPO銘柄の1つ。前期業績を修正済みのビジョナルの今期見通しに加え、PアンチエイジやMacbeePの好調が続くかなどが注目される。

IPO関連では、9月13日にGeolocation Technologyが福証Q-Boardへ新規上場する。IPアドレス(インターネット上での住所)データベースをもとにした技術・サービスを提供し、地方市場上場ながら公開規模は相応に小さい。なお、今週は医療機器のPHCHD(10月14日、東証1部)など2社の新規上場が発表されている。

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