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カタールの外交戦略【フィスコ・コラム】

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アフガニスタンからの米軍撤退から1カ月。この問題には様々な国々が関与していますが、とりわけ目立つのがカタールです。発足したタリバン政権に初めて閣僚を派遣するなど、欧米との仲介役に徹しています。同国は今後、国際政治の緩衝材になるのでしょうか。


イスラム主義組織タリバンは先月、首都カブールを制圧し、新政権の発足に向け準備を進めています。が、国際社会はタリバンの権力独占や反民主的とみられる統治形態に警戒を強めており、主要国は新政府としての承認には消極的です。ロシアをはじめ周辺関係国はアフガニスタンの式典出席に招待されたものの、調整がつかないとしてほとんどが出席を見合わせる方向となりました。


そんななか、カタールのムハンマド副首相兼外相は9月12日に首都カブールを訪問し、タリバン暫定政権のアフンド首相代行らと会談に臨みました。アフガニスタンの旧政府が崩壊した後、同国に外国の閣僚が訪問するのは初めてとみられます。会談では人道支援や経済の再建などについて意見交換。同時に、ムハンマド氏はタリバン側に女性の権利保護や国内の宥和に努めるよう訴えたといいます。


カタールのそうした積極的な外交姿勢は、湾岸諸国などによる長期にわたる断交の終結が背景とみられています。これは2017年6月、サウジアラビアがイスラム過激派組織やイラン寄りの外交姿勢に激しく抗議して、突然カタールとの国交断絶を発表した一件です。アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプトなど数カ国もそれに追随し、カタールはその後湾岸地域で孤立状態になりました。


もともとカタールとそれ以外の湾岸諸国とは、外交政策をめぐり対立が続いていました。カタールはパレスチナ自治区を支配するハマスなどイスラム原理主義組織を支援。湾岸の盟主であるサウジは中東での覇権争いでイランに対決姿勢を示していますが、カタールはイランに好意的なスタンスでした。湾岸諸国との対立が国交断絶へと発展すると、ドーハ株価指数は一時10%も値を下げています。


カタールを含む湾岸6カ国は欧州連合(EU)に似た地域機構「湾岸アラブ諸国の協力会議」(GCC)を形成し、経済や安全保障での連携を進め、最終的には通貨の統合を目指していました。今年1月にサウジのウラーで開かれた会合をもって、断交は終えん。和解のきっかけはいくつかありますが、サウジへ極端に肩入れしていた米トランプ前政権の退陣が最も大きく寄与したと言えます。


もっとも、3年半にわたる断交の間にカタールは独自外交でタリバンとも関係を強め、その結果として現在は欧米からの信頼を獲得できています。アメリカとドイツが9月8日に主催したアフガニスタン情勢をめぐるオンライン閣僚会合では、テロ対策などで連携することで一致。参加した22カ国のなかにG20ではないカタールも名を連ねており、今後も影響力を増す可能性があります。

(吉池 威)

※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。


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