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キャリアリンク Research Memo(5):期初計画を据え置くも、売上総利益率の改善により上振れする可能性が高い

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■今後の見通し

1. 2022年3月期業績の見通し
キャリアリンク<6070>の2022年3月期は13ヶ月の変則決算となり、売上高で39,000百万円、営業利益で2,830百万円、経常利益で2,840百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で2,080百万円と期初計画を据え置いている。第2四半期までは計画を上回る進捗となっているものの、コロナ禍が今後の経済活動に及ぼす影響が不透明で、その状況次第で官公庁及び大手BPO事業者等からの受注内容や受注量が変化すると見ているためだ。

なお、営業利益率は前期の9.0%から7.3%に低下する見通しとなっている。営業利益率の低下要因は、1つは、引き続き中核人材の採用やDX化推進プロジェクトを継続するためであり、もう1つは、2021年2月期に採算の良い短期大型案件が多かった一方で、2022年3月期はこれらの好採算案件が減少する前提で計画を立てていたためである。ただし、既述のとおり第2四半期累計の売上総利益率は前年同期比で0.3ポイント上昇している。下期の売上総利益率も第2四半期とほぼ同水準で推移する傾向であることから、通期の売上総利益率は前期比1ポイント弱程度の低下にとどまるものと予想される。

売上高については下期に偏重する計画だが、これは2021年9月以降に売上計上予定の完成請負案件が複数あることや、マイナンバー・マイナポイント関連業務のさらなる売上拡大が見込まれていることなどが要因で、直近の受注状況から判断すれば会社計画は達成可能と見られる。第2四半期累計業績と同様に増収増益になる可能性が高いと弊社では見ている。


事務系及び製造系人材サービス事業の拡大が、営業系人材サービス事業の落ち込みをカバー

2. 事業セグメント別の見通し
同社は事業セグメント別の売上見通しについて、期初計画から見直しを行っていない。これは、コロナ禍が経済活動に及ぼす影響が不透明で、下期以降の動きが流動的なためだ。第2四半期までの進捗状況から見れば、期初計画に対して営業系人材サービス事業が苦戦しているものの、これを事務系人材サービス事業や製造系人材サービス事業の伸長によりカバーする格好となりそうだ。

(1) 事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業の売上高は前期比2ケタ増収が見込まれる。下期以降もマイナンバー関連業務や自治体の基幹業務(窓口業務、税務・子育て・福祉等)案件などが引き続きけん引する。また、今後、臨時給付金などの新たな施策が政府から発表されれば、受注機会が増大することになり上振れ要因となる可能性がある。

なお、コロナ禍の先行きが不透明な状況下で同社は、感染が再拡大するケースとポストコロナの動きが出始めるケースの2通りを想定しており、どちらのケースでも持続的な成長を実現すべく取り組みを推進している。感染再拡大のケースでは自治体向け基幹業務やスポット案件、マイナンバー・マイナポイント関連業務等の既存取引先の業務が継続することになり、サービス品質の向上により取引シェアを拡大しながら増収を目指していく。

また、ポストコロナのケースでは、自治体向けの特定スポット案件が減少することになるが、同社がこれまで手掛けてきた地方自治体向けの案件や大型BPOスポット案件の業務運用経験者やノウハウ等のリソースを、他の中核都市などの地方自治体の恒常的案件、中小規模BPO案件等に積極的に再配置していくことで、成長を継続していく戦略である。サービスを提供している自治体数は60ヶ所を超えているが、今後は中核都市のほか中規模の地方自治体などにも展開していく。行政のデジタル化が今後一段と進むなかで、ITツールを活用する業務案件も増えてくることが予想されることから、そのシステム開発もすでに着手している。中核人材の積極的な採用・教育を現在進めているのも、こうした成長戦略を実現するための先行投資と言える。

(2) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は前期比2ケタ増収が見込まれる。製造加工部門においては半導体不足等のサプライチェーンリスクによる生産活動の一時的な停滞が懸念されるものの、同社においては引き続き旺盛な引き合いがきており、下期も順調に推移する見通しだ。一方、食品加工部門も緩やかながら回復トレンドが続くと見られる。同社では今後も営業エリアを拡大し、既存顧客の別工場での受注を獲得していくだけでなく、新規顧客の開拓も進めていくことで、さらなる成長を目指していく。

(3) 営業系人材サービス事業
営業系人材サービス事業は前期比減収となる可能性がある。下期は緊急事態宣言が解除されたこともあり市場環境も改善に向かうと予想されるが、収益性を重視した受注活動を進めているためだ。徐々に新規案件も獲得しはじめているものの大型案件の受注はまだなく、当面は利益面での改善を優先課題として取り組み、コストの見直しなどを行いながら収支均衡ラインを目指していくことになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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