「オミクロン株」の発見で世界中が一時的にパニックとなった。しかし、海外報道によると拡散は早いが重症例は報告されず、毒性の弱さを指摘する学者たちも現れている。もしそれが本当だとしたら「デルタ株」は「オミクロン株」に置き換わり、コロナパンデミックを収束させる可能性もある。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)
※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2021年12月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
「オミクロン株」に関する海外報道
いま世界がパニックしている「オミクロン株」に関して、日本ではあまり報道されていない事実について紹介したい。
新型コロナウイルスの新しい変異株である「オミクロン株」が、世界で一種のパニックを引き起こしている。11月24日、南アフリカは「世界保健機関(WHO)」に新しい変異ウイルスの発見を報告した。2日後の11月26日、「WHO」はこれを懸念される変異株に指定し、ギリシアアルファベットの15番目の文字オミクロンを元に「オミクロン株」と命名した。
「オミクロン株」は多数の変異を持ち、それらは新規のものが多い。いくつかの変異は発見時にほとんどのワクチンが標的に使用していたスパイクタンパク質に影響を与えるものである。最新の情報では、「オミクロン株」には合計59の変異が含まれており、スパイクタンパクだけでも32の変異が見つかっている。なお、いま蔓延している「デルタ型」はスパイクタンパクに17個の変異しかない。
この変異のレベルにより、伝染性、免疫回避、ワクチン耐性への懸念がある。その結果、「オミクロン株」は「WHO」によって短期間に「懸念される変異株」に指定され、多くの国では感染拡大を制限、または遅らせるために入国禁止令が導入されている。
アメリカとイギリスの研究センターから発表された予備的な研究データによると、「オミクロン株」は「デルタ株」に比べて500倍の感染力を持っていることが分かった。わずかの飛沫でかなりのウイルス量が空気感染する可能性が指摘されている。
また、米バイオ企業「モデルナ」のステファン・バンセルCEOは、「オミクロン株」に対する既存のワクチンの効果は従来の新型コロナ株と比べてはるかに薄いとの見解を示した。
「オミクロン株」発見で株式市場はパニック
このような「オミクロン株」の発見に市場はパニックした。
11月26日、日経平均株価は前日比-2.53%、香港ハンセン指数は同-2.67%、英国FT100指数は-3.64%、ドイツDAX指数は-4.15%、アメリカのS&P500指数は-2.27%という惨憺たる状況になった。
30日になっても下げ相場は変わらなかった。30日、アジアでは、韓国の総合株価指数が2.4%、日経平均株価が1.6%、香港のハンセン指数が1.6%、それぞれ下落した、ヨーロッパ市場は前日比で1%安で取引が始まった。
また、「米連邦準備制度理事会(FRB)」のパウエル議長は30日に議会の公聴会で、「オミクロン株」が米経済の回復を脅かすと証言した。パンデミックが長引けば、物価の上昇が続き、雇用拡大が妨げられ、サプライチェーンの混乱が悪化するとの見解を示した。
さらに、「オミクロン株」の出現でエネルギー需要が落ち込む事態への警戒感から、原油価格も急落している。