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アジア投資 Research Memo(6):メガソーラープロジェクトが足元業績をけん引(2)

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■日本アジア投資<8518>の決算動向

3. 2022年3月期上期決算の概要
2022年3月期上期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前年同期比19.0%減の1,018百万円、営業損失が413百万円(前年同期は179百万円の損失)、経常損失が529百万円(同300百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が651百万円(同342百万円の損失)となった。

従来連結基準では、営業収益が前年同期比29.6%減の381百万円、営業損失が496百万円(前年同期は316百万円)、経常損失が538百万円(同335百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が643百万円(同336百万円)と減収となり、損失幅が拡大した。また、期初見込値に対しても、営業収益、利益ともに下回る進捗となっている。

従来連結基準による業績の概要は以下のとおりである。

営業収益は、上場株式の売却が減少したことや、前期におけるメガソーラープロジェクト売却に伴う売電収入の減少により減収となったが、その点は想定内。期初見込値を下回ったのは、予定していた未上場株式の売却が来期以降にずれ込んだことが理由である。また、損益面(営業総利益)についても、株式売却益の減少に加え、コロナ禍等に伴い業況が悪化した投資先企業への評価損・引当金※の計上により減益となり、他社が運営するPE投資で損失が発生したことなどから見込値を下回った。

※営業投資有価証券評価損・投資損失引当金繰入額


財務面(従来連結基準)では、「プロジェクト投資」及び「戦略投資」を順調に積み上げた一方、「フィナンシャル投資(戦略投資以外のPE投資)」の縮小や「現金及び預金」の減少により、総資産は前期末比6.3%減の13,740百万円に減少した。一方、自己資本は最終損失の計上により前期末比9.5%減の6,640百万円に減少し、自己資本比率は48.3%(前期末は50.1%)と僅かに低下した。ただ、財務健全性に目を向けると、有利子負債残高は前期末比10.0%減の6,253百万円に減少し、改善傾向にある。

投資種類別の業績は以下のとおりである。

(1) PE投資
営業収益は前年同期比27.1%減の293百万円、営業総利益は99.4%減の1百万円と減収減益となった。営業収益は、上場株式の売却が減少したことにより減収となった。損益面では、株式売却益の減少※1に加え、コロナ禍等により業況が悪化した投資先企業への評価損・引当金の計上(124百万円)※2などにより減益となった。

※1 上場株式等の売却高が減少したことに加え、資金回収を優先して未上場株式を流動化したことによる原価率の悪化(売却原価の増加)も売却益の減少要因となった。
※2 保守性の観点から計上したものであり、対象も複数の投資先企業(海外及び国内)に分散しているようだ。


(2) プロジェクト投資
営業収益は前年同期比37.4%減の87百万円、営業総利益が同20.3%減の51百万円と減収減益となった。前期(下期)におけるメガソーラープロジェクトの売却※により売電収入が減少した。なお、プロジェクトの売却については、前年同期と同様に2022年3月期上期も実施していない。損益面でも、減収による収益の押し下げにより減益となったものの、植物工場の販路拡大に伴う先行費用の減少により、営業原価率は大きく改善している。

※前期(下期)においては、売電中のメガソーラープロジェクト7件(合計18.3MW)を売却している。


4. 2022年3月期上期の総括
以上から、2022年3月期上期を総括すると、そもそも下期偏重型の業績見込み(プロジェクト等の売却が第4四半期に集中)となっているうえに、上期に予定していた未上場株式の売却がずれ込んだことにより、決算数値面ではもの足りない結果となったが、例年どおりの傾向と捉えることもできる。一方、後述するように、物流施設や植物工場、障がい者グループホームなど「プロジェクト投資」の積み上げや事業としての進捗、プロジェクトを通じた戦略投資先の成長支援(ハンズオン)が順調に進んでいるところは、今後に向けて評価すべきポイントと言えよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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