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来週の相場で注目すべき3つのポイント:安川電・ファストリ決算、米CPI、パウエルFRB議長の再任指名承認公聴会など

■株式相場見通し

予想レンジ:上限29000-下限28000円

来週の日経平均はもみ合いか。物価指標の発表などが控え、金利動向を中心に米国市場の動きに神経質な展開が想定される。全体の方向感を見出しにくいなか、企業の決算発表が週を通して多く、個別株物色が中心となりそうだ。

昨年12月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を受けて米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢が改めて警戒されたことで、ハイテク・グロース(成長)株を中心に相場は急落する展開となった。また、7日に発表された12月の米雇用統計では失業率が4%を下回ったほか、賃金の伸びが市場予想を上回り、3月FOMCでのFRBによる利上げ確度が一段と高まった。7日には米10年国債利回りが昨年高値を上回ってきている。この先も金利動向に敏感なハイテク・グロース株には厳しい展開が続きそうだ。

こうしたなか、来週は米国で12月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)が発表される。また、少し先にはなるが、今月25-26日には今年最初のFOMCも控えており、重要イベントが目白押しだ。イベント前に積極的な売買は手掛けづらく、全体的にこう着感の強い動きが続きそうだ。

一方、金利が大きく上昇する間、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は概して低下傾向にあり、市場はインフレファイターとしての姿勢を明確化したFRBの動きなどを勘案し、インフレは次第に沈静化していくと捉えている様子。名目金利が上昇する一方で期待インフレ率が低下したことで実質金利が上昇し、これが株式相場の重しとなっている。今後もこの実質金利の動向がカギを握るだろう。

そのうえで一段の金利上昇には警戒が必要だが、今後は金利上昇が一服する可能性もある。海外では新年相場入りしたことでポートフォリオの見直しを行っている投資家が多くなったとみられ、こうした動きが年明けからの大幅な金利上昇に寄与したと考えられる。そのため、資産配分の見直しが一巡すれば金利上昇は一服するか、ペースは緩やかなものとなろう。また、年金などを中心に利回りの絶対水準に着目して債券を買う投資家もおり、こうした存在も金利上昇の一服に寄与すると考えられる。

来週から国内では小売企業を中心に2021年9-11月期決算が多く発表される。注目度が高いところとしては、製造業決算の前哨戦に位置付けられる安川電機が週初11日に発表を予定しているほか、12日には半導体関連のローツェが発表予定。内容次第では製造業の見直しにつながろう。小売では指数寄与度の高いファーストリテイリングが13日に控えており、一段と下げるようだと日経平均の重しとなり、投資家心理が悪化しそうだ。そのほか、足元下落が厳しいグロース系では、13日にSansan、週末14日にはなるがSHIFTやマネーフォワードなどが予定されている。金融政策関連のイベント前であることを考慮すると、好決算の場合でも上値追いは期待しにくいだろう。

■為替市場見通し

来週のドル・円は伸び悩みか。2022年6月頃と想定されていた米国の利上げ時期は早まる可能性があることから、リスク回避的なドル売り・円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられる。直近発表の経済指標では12月ISM製造業景況指数、12月ADP雇用統計などが強い内容となり、FRBの一段の引き締めに思惑が広がりやすい。12月14-15日開催のFOMCの議事要旨では、迅速な利上げとバランスシート縮小に向けた姿勢が鮮明になった。

ただ、ドル・円は5年ぶりの高値圏に浮上したものの、1ドル=116円台では輸出企業など顧客筋などのドル売りが増える可能性があること、新型コロナウイルス変異株(オミクロン株)の感染が日本を含めた世界各国で急増しており、経済活動を圧迫する懸念も残されていることから、リスク選好的なドル買いは目先的に縮小するとみられる。米国における新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者数は100万人を超え、雇用情勢などに影響が及ぶ可能性もある。感染者の増加に歯止めがかからず、金融当局者から警戒姿勢が示された場合、リスク選好的なドル買い・円売りを弱める要因となりそうだ。

■来週の注目スケジュール

1月10日(月):株式市場は祝日のため休場(成人の日)、米・卸売在庫(11月)など
1月11日(火):景気動向指数(11月)、決算発表→安川電、米・上院銀行委員会のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長再任指名承認公聴会など
1月12日(水):景気ウォッチャー調査(12月)、中・生産者物価指数(12月)、米・消費者物価コア指数(12月)、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表など
1月13日(木):東京オフィス空室率(12月)、工作機械受注(12月)、米・生産者物価コア指数(12月)、米・上院銀行委員会のブレイナードFRB理事のFRB副議長指名承認公聴会、決算発表→ファストリ、台TSMCなど
1月14日(金):国内企業物価指数(12月)、米・小売売上高(12月)、米・鉱工業生産指数(12月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(1月)、決算発表→ウェルズ・ファーゴ、ブラックロック、JPモルガン・チェース、シティグループなど

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