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日経平均は3日続落、米雇用引き締まりを確認してパウエル氏証言へ

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 日経平均は3日続落。247.25円安の28231.31円(出来高概算6億1000万株)で前場の取引を終えている。

 東京市場は10日、成人の日の祝日で休場だった。この間、米市場ではNYダウが7日4ドル安、10日162ドル安と4日続落。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数はそれぞれ-0.96%、+0.04%となった。7日発表の12月雇用統計が労働需給の引き締まりを意識させる内容となり、連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めへの警戒感が一段と広がった。もっとも、10年物国債利回りは一時1.8%まで上昇すると伸び悩み、ハイテク株に押し目買いが入る場面があった。本日の日経平均は連休中の米株安を受けて97円安からスタート。朝方には前週末終値近辺まで戻す場面があったが、今晩の米国ではパウエルFRB議長の再任に絡んだ米議会上院の公聴会が予定されており、積極的な買いは手控えられた。前場中ごろを過ぎると一時28089.49円(389.07円安)まで下落した。

 個別では、売買代金トップのレーザーテック<6920>が3%超の下落。キーエンス<6861>は6%超の下落となるなど、値がさグロース(成長)株の売りが続いている。その他売買代金上位ではソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、東エレク<8035>などが軟調で、トヨタ自<7203>や郵船<9101>は小安い。ローソン<2651>や良品計画<7453>といった小売株は決算を受けて売りがかさみ、金融各社による株式売出しを発表した日ペHD<4612>は東証1部下落率トップとなっている。一方、三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>といった金融株や任天堂<7974>はしっかり。中小型株ではネクステージ<3186>が前週末に続き賑わいを見せており、決算が好感されたエスクローAJ<6093>は東証1部上昇率トップとなっている。

 セクターでは、電気機器、鉱業、化学などが下落率上位。一方、保険業、銀行業、空運業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の67%、対して値上がり銘柄は28%となっている。

 注目された米12月雇用統計を受けて米株が下落し、連休明けの東京市場も売り優勢の展開となっている。もっとも、米市場では景気敏感株やハイテク株が循環的に買われる場面があり、日経平均はNYダウやナスダック総合指数と比べ一段と弱い印象を受ける。売買代金上位を見ると値がさグロース株の下げがきつく、日経平均を下押ししている感があるものの、東証株価指数(TOPIX)も-0.72%と日経平均(-0.87%)並みに軟調。時価総額上位のトヨタ自は比較的底堅く、金融株などは堅調だが、TOPIXを下支えしきれていない。ここまでの東証1部売買代金は1兆5000億円あまりで、ここ数日並みの水準となっている。

 新興市場ではマザーズ指数が-0.63%と反落。こちらは前場中ごろにプラス圏へ浮上する場面もあった。前週の下げがきつかっただけに押し目買いが入ったとみられるが、買いが続かないところに中小型グロース株への警戒感の根強さが窺える。売買代金トップのサイエンスアーツ<4412>は昨年12月後半のきつい調整から切り返し、大幅に3日続伸。11月に上場したばかりだが、時価総額300億円あまりの小型株で、市場流通株も非常に少ないとみられる。マザーズ市場全体の売買代金は7日、株価不調に伴い1611億円まで減少。短期の値幅取りを狙った物色は少額の買いで株価を押し上げやすい小型株に向かわざるを得ないだろう。

 さて、米12月雇用統計は非農業部門就業者数が前月比+19.9万人(11月は+24.9万人、修正後)となり、市場予想(+42万人程度)を下回った。一方、失業率は3.9%(同4.2%)に改善し、平均時給は前年同月比+4.7%と予想(+4.2%)を上回った。高賃金でも人々が労働市場に復帰せず、需給のタイト化が続いている構図だ。これにより米債券市場ではFRBの3月利上げを織り込む動きが一段と強まり、短期の年限を中心に金利が上昇。米金融大手ゴールドマン・サックスなどは今年4回の利上げを予想しているという。ただ、金融引き締めによる景気悪化を懸念する向きもあるようで、10年物国債利回りは1.8%近辺で伸び悩み。期待インフレ率の指標とされる10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)も2.5%を下回ったところでいったん下げ止まっている格好だ。

 こうしたなか、今晩の米国ではパウエルFRB議長の再任を巡り、上院銀行委員会で公聴会が行われる。度々当欄で指摘しているとおり、11月の中間選挙を前に消費者のインフレへの不満が意識されざるを得ない。公聴会ではパウエル氏にインフレ対応への質問が相次ぐだろう。いきおい、発言もタカ派色が強くなりやすいと考えられる。実際、証言草稿では「高インフレが定着するのを防ぐために我々の政策手段を用いる」との認識が示されているようだ。

 そもそも市場に身を置いていると誤解しがちだが、中央銀行関係者にとってイレギュラーな金融政策を長期間続けることは不名誉なことである。次の景気悪化局面での政策対応余地も限られてしまう。パウエルFRBが金融政策の正常化を急ぐのは、なにも政治の圧力が強まっているからというわけでもないだろう。

 米国ではほかにも12月の消費者物価指数(CPI、12日)、卸売物価指数(PPI、13日)、小売売上高や鉱工業生産(14日)といった重要経済指標の発表が相次ぐ。また、国内でも安川電<6506>や小売大手など11月締めの決算発表が多くある。これらの内容を睨み、相場全体として上下に振らされる場面が続きそうだ。
(小林大純)
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