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米国株式市場見通し:小売の決算や指標に注目

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来週発表が予定されている小売売上高や小売企業決算などをきっかけに、果たして、底入れできるかどうかに注目だ。高インフレの長期化、連邦準備制度理事会(FRB)の急速な引き締めにより、来年にも景気後退入りするとの懸念からリスク資産を減らす動きが売り圧力となり、NYダウは7週連続、ナスダック総合指数は6週連続で下落。そろそろ売り疲れ感などでいったん落ちつくと思われる。しかし、パンデミック以降、相場を支えてきたFRBの過剰な流動性供給がなくなることは投資家の新たな投資意欲を削ぐ。このため、方向感を探る商状は続きそうだ。

上院が再任を承認したFRBのパウエル議長が17日に講演を予定しており注目したい。パウエル議長は12日のインタビューで、インフレ抑制を公約。6月、7月連邦公開市場委員会(FOMC)で各0.5ptの追加利上げを実施することが適切であるとの考えを再度表明。0.75ptの利上げを積極的に検討する可能性は少ないと繰り返した。同時に軟着陸が可能となるかどうかは、世界の地政学的リスクのイベントなど、FRBが金融政策で管理できない領域によるところが大きいと警告。ウクライナ戦争や中国での都市封鎖により、世界経済の成長減速リスクや高インフレリスクが高まっている。ロシアの脅威拡大で、近隣諸国のスウェーデンやフィンランドは北大西洋条約機構(NATO)入り決定に一段と傾斜しているが、ロシアはこの行動を警告しており、地政学リスクも依然高い。

来週発表される4月小売売上高にも注目だ。景気減速懸念が警戒されるなか、経済の7割を占める消費動向が特に焦点となる。高インフレにもかかわらず、需要は強く伸びの拡大が予想されている。第1四半期の国内総生産(GDP)が予想外にマイナス成長に落ち込んだが、第2四半期の成長が回復すれば、投資家心理も改善するだろう。逆に、万が一、2四半期連続のマイナス成長となると、テクニカルリセッション入りしてしまい、投資家心理を悪化させ、さらなる相場の下落に繋がりかねず警戒だ。

経済指標では5月二ューヨーク連銀製造業景気指数(16日)、4月小売売上高、4月鉱工業生産、3月企業在庫、5月NAHB住宅市場指数(17日)、4月建設着工件数・許可件数(18日)、5月フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数(19日)などが予定されている。

主要企業決算では、小売関連においてディスカウント小売りのウォルマート(WMT)(17日)やターゲット、衣料品小売りのTJX、パーソナルケア製品メーカーのバス&ボディワークス(18日)、ホームセンター運営のホームデポ(17日)やロウズ(18日)、廉価アパレルと家庭装飾品ストアのロス・ストアーズ、百貨店のコールズ、アパレルのVF(19日)、台所・家庭用品の小売り販売のウィリアムズ・ソノマ、履物販売会社のフットロッカー(20日)などが予定されている。そのほか、ネットワーク機器メーカーのシスコ・システムズ(18日)、農機具メーカーのディア(20日)なども予定されている。

景気後退や高インフレの懸念が広がるなか、ディフェンシブとしてウォルマート決算には期待したい。サプライチェーン問題や労働コストの上昇などが見通しにどのように影響するかに注目だ。また、複数の投資家から買収案を提示されている百貨店のコールズの決算にも注目だ。

(Horiko Capital Management LLC)


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