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為替週間見通し:下げ渋りか、5月米雇用統計を見極める展開に

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【今週の概況】
■年後半における米利上げ停止観測でドル弱含み

今週のドル・円は弱含み。一時126円36銭まで売られた。週前半に128円08銭まで買われたが、5月S&Pグローバル米製造業PMI速報値が市場予想を下回ったこと、4月新築住宅販売件数は予想以上に減少した。米国経済の減速懸念は一段と強まり、今年後半に利上げ停止の可能性が浮上したことから、長期金利の低下に伴うドル売り・円買いが優勢となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の5月議会合事要旨によると、積極的な金融引き締め継続の姿勢が示されたが、市場が想定した内容と大差なかった。米長期金利は伸び悩んでいることから、リスク選好的なドル買いは拡大せず、ドル・円は127円50銭近辺で上げ渋った。

27日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時126円82銭まで下落後、127円25銭まで戻した。この日発表された4月コアPCE(個人消費支出)価格指数の伸びが鈍化し、5月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値が下方修正されたことから、リスク回避的なドル売りが先行した。しかしながら、米国株式の大幅続伸を受けてユーロ、豪ドルなどに対する円売りが増えたことや米ドル・円の取引でもドル買い・円売りが優勢となり、ドル・円は127円12銭でこの週の取引を終えた。今週のドル・円の取引レンジは126円36銭から128円08銭となった。ドル・円の取引レンジ:126円36銭−128円08銭。

【来週の見通し】
■下げ渋りか、5月米雇用統計を見極める展開に

来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)は金融引き締め姿勢を変えていないため、景気減速への懸念が高まっている。FRB当局者からは中立金利への引き上げを急ぐ必要があり、金融引き締めを加速させるとの見解が相次ぐ。一方、ユーロ圏の経済指標は強弱まちまちながら、欧州中央銀行(ECB)はラガルド総裁を筆頭に、FRBに追随し正常化に舵を切る方針。5月31日に発表されるユーロ圏5月消費者物価指数が予想を上回る内容なら、7月利上げを期待したユーロ買い・米ドル売りが優勢となり、この影響でドル・円の取引でもドル売りが優勢となりそうだ。

ただ、6月3日発表予定の米雇用統計が大幅に悪化するとの見方は少ないこと、日本銀行は現行の金融緩和策を長期間維持する方針を変えていないため、日米金利差拡大の思惑は後退しない。また、5月米雇用統計で非農業部門雇用者数が4月実績を多少下回った場合でも、リスク回避的なドル売り・円買いが強まる可能性は低いと予想される。失業率の低下はドルに対する支援材料となり得る。

【米・5月ISM製造業景況指数】(6月1日発表予定)
6月1日発表の米5月ISM製造業景況指数は55.0と、前月の55.4を下回る見通し。ただし、雇用指数が改善した場合、労働市場の活性化を好感した金利高・ドル高を誘発する可能性がある。

【米・5月雇用統計】(6月3日発表予定)
6月3日発表の米5月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+32.9万人、失業率は3.5%、平均時給は前年比+5.2%の見通し。平均時給の伸び率が市場予想を上回った場合、インフレ高進への思惑で金利高・ドル高の要因となりそうだ。

予想レンジ:126円00銭−128円50銭


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