黒田日銀総裁が物価上昇について「家計が値上げを受け入れている」と発言して炎上、のちに撤回しています。なぜこの発言が炎上するのか、私にはよくわかりません。データを見れば、確かにそう判断できる状況です。(『角野實のファンダメンタルズのススメ』)
※本記事は有料メルマガ『角野實のファンダメンタルズのススメ』2022年6月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。
黒田日銀総裁の発言、どこが炎上案件?
なぜ、わからないことをわかったように批判するのか。よく意味がわからない、と私は思います。
黒田日銀総裁が「家庭には値上げに対する受容度があがっている気配がある」と発言し、それが炎上しました。
なぜこの発言が炎上するのか、私にはよくわかりません。ただし、聞いた瞬間は「何言ってんだ、このおっさん」とは思いましたが(笑)。
具体的に、データを見てみましょう。
雇用者数は、蔓延防止処置中から雇用は増え、4月は大きく増えました。
賃金も前年比で大きく上昇しています。といってもアメリカの5%と比較すれば大したことはありませんが。この発表は6月6日に発表されたものです。
これら2つの統計をみると、黒田さんが「家庭の値上げ受容度が上昇していると思われる」と言っても、ちっとも不思議ではないですよね。
雇用が増え、賃金も上昇…という状態です。多少、物価が上昇しても、日本全体の労働者環境は耐えられる状態になったと言っても、別に問題はないよねと思います。
その代わり、物価もウナギ登りですけど。
きちんと論理的に考えると黒田さんの発言は適切であり、問題もないのですが、日本語やデータを知らない人たちの格好の標的になってしまっただけの話です。
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