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国内株式市場見通し:景気後退懸念と金利低下の間で揺れ動く

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■景気後退懸念が加速も、グロ−ス株が指数底上げ

今週の日経平均は週間で528.97円高(+2.04%)と反発。終値では13週、26週など主要な移動平均線を下回ったままの状態が続いた。

週明けの日経平均は191.78円安と続落。前の週に急落していたこともあり、自律反発狙いの買いが先行したが、世界的な利上げ加速や景気後退入りへの懸念が重荷にとなり、急失速、一時25520.23円まで下落する場面があった。しかし、21日には475.09円高と大幅反発。為替の円安進行などを背景に連日の急落に伴う値ごろ感からの買い戻しが続いた。22日は96.76円安と小幅反落。一時26500円を窺う水準まで上昇したが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長による議会証言を控えるなか、様子見ムードが広がった。

23日は21.70円高と小幅反発。パウエル議長の上院での議会証言を無難に通過したことで安心感から買いが先行したが、この日も26500円目前まで上昇した後に急失速した。しかし、週末は320.72円高と大幅続伸。パウエル議長は下院での議会証言で、インフレ抑制に「無条件」で取り組む姿勢を示し、経済指標の悪化と相まって景気後退懸念が強まった。ただ、米10年債利回りが3%割れ目前の水準まで大きく低下し、前日のナスダック総合指数が大幅高となるなかハイテク・グロース(成長)株を中心に買い戻しが先行。資源関連株や景気敏感株の下げをカバーして、指数を押し上げた。

■海外市場での材料多く、一喜一憂する展開が続こう

来週の東京株式市場はもみ合いか。当局による積極的な金融引き締めが景気後退を招くとの懸念が加速しており、企業業績の悪化に対する警戒感もくすぶる中、景気敏感株を中心に上値の重い展開が続きそうだ。

S&P500種指数の構成企業を対象とした12カ月先予想一株当たり利益(EPS)は5月下旬時点で年初から6%以上上昇しており、アナリストによる企業業績悪化の織り込みはまだ進んでいない。4-6月期決算が発表される7月中旬以降に業績予想の下方修正が増えることが想定され、米国市場を中心に景気後退・企業業績の悪化を織り込む動きが続きそうだ。

一方、ようやく新型コロナ前の水準にまで戻したに過ぎない米国株の株価バリュエーションに比べて、日本株のPERは既にヒストリカルで見て相当低いところまで低下している。グローバルな景気敏感株とされる日本株が、世界の株式市場の下落の余波を完全に免れることはできないだろうが、下落余地は米国株に比べて限定的となろう。

今週末の東京市場では、米金利が大幅に低下するなかマザーズ指数が急伸し、東証プライム市場でもグロ−ス株が久々に強い動きを見せた。景気後退を急速に織り込む傍ら、FRBが想定よりも早い段階で利上げの打ち止め、再緩和への転換を強いられるのではないかと勘繰る動きと推察される。ただ、今後の経済データ次第ではFRBが7月以降も0.75ptの大幅利上げを続ける可能性が十分にあるため、グロ−ス株の本格復調を期待するにはもう少し材料が必要だろう。

こうした中、今週末に発表されたミシガン大学消費者マインド指数確報値では短期・長期の期待インフレ率が揃って速報値から下方修正された。6月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75ptの利上げに至った理由の一つであっただけに、過度なインフレ懸念が緩和し、先週末の米株高を演出した。来週は米国で個人消費支出(PCE)コアデフレーターが発表される。予想通り3カ月連続で伸びの鈍化が確認されれば、グロ−ス株の復調に寄与する可能性があろう。

米国ではそのほか、小売企業や半導体大手マイクロン・テクノロジーの決算、サプライマネジメント協会(ISM)が公表する6月製造業景況指数などが予定されている。また中国では6月製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表予定で、海外市場の動向に一喜一憂する展開が続きそうだ。一方、国内では小売やサービスなど内需系企業の3-5月期決算の発表が始まる。原材料費の高騰や円安進行を背景に厳しい内容が想定されるが、商品市況の上昇に一服感がみられるなか、あく抜け感が高まるかなどに注目したい。

■資源関連株や防衛関連株には見直し余地あり

当面はインフレ懸念とリセッション懸念の間を揺れ動く不安定な相場となり、物色動向も定まりにくいと考える。グロ−ス株の上値を追うのも一策だが、小まめな利益確定が必要だろう。足元急速に値を崩している資源関連株や防衛関連株も、それまでの株価上昇の背景にあったストーリーが完全に崩れ去ったわけではないため、売りが一巡した後、再び脚光を浴びる可能性がある。大きく上昇したら利確、大きく下げたところは押し目買いなど、逆張り戦略が奏功しやすい環境と考える。

■米5月耐久財受注、5月鉱工業生産など

来週は27日に日銀金融政策決定会合の「主な意見」 (6月16~17日開催分)、米5月耐久財受注、28日に米4月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米6月消費者信頼感指数、29日に5月商業動態統計、米1-3月期GDP確報値、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議、30日に5月鉱工業生産、5月住宅着工統計、中国6月製造業/非製造業PMI、米5月個人所得・個人支出、7月1日に5月失業率/有効求人倍率、中国6月財新製造業PMI、米6月ISM製造業景気指数などが発表予定。


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