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為替週間見通し:下げ渋りか、日米金利差を意識してドル売り縮小も

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【今週の概況】
■ドル下げ渋り、米景気後退を警戒したドル売り縮小

今週のドル・円は下げ渋り。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が7月も0.75ポイント利上げ支持の考えを示したことや、リッチモンド地区連銀のバーキン総裁がインフレ低下の緊急性を強調したことから、長期金利の上昇に連れドル買い・円売りが一段と強まり、一時136円71銭まで買われた。しかしながら、パウエルFRB議長が6月22日に開かれた上院銀行委員会の公聴会で、「大規模な金融引き締めが原因で経済が景気後退に陥る可能性を意図しないが、もちろんあり得る」と答弁したことから、長期金利は反落し、リスク回避のドル売り・円売買いが急速に広がった。ただ、翌日23日に開かれた下院金融委員会の公聴会で「景気後退は必然とは思わない」と述べたことから、米国株式は反発し、リスク回避のドル売りは縮小した。

24日のニューヨーク外為市場でドル・円は、134円72銭まで下落後、135円40銭まで買われた。この日発表された6月ミシガン大消費者信頼感指数改定値が過去最低に落ち込んだことから、ドル売りが一時優勢となったが、ブラード米セントルイス地区連銀総裁が「景気後退の確率について討論するのは時期尚早」、「米国経済の成長拡大は始まったばかり」との見方を伝えたことから、ドル買い・円売りが優勢となった。ドル・円は135円21銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:134円27銭−136円71銭。

【来週の見通し】
■下げ渋りか、日米金利差を意識してドル売り縮小も

来週のドル・円は下げ渋りか。ドル・円は20年超ぶりの高値水準に上昇後、やや失速したが、135円台に戻しており、再びドル安・円高の方向に大きく動くことは想定しにくい。日米金融政策の方向性の違いを背景にドル買い・円売りは継続し、ドル・円の下げ幅は限定的となりそうだ。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は6月22-23日の議会証言で、記録的な高水準のインフレを抑止する方針を強調。リセッション懸念は根強いものの、他の金融当局者もタカ派姿勢を強め7月の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合でも0.75ポイントの追加利上げが実施される可能性がある。

6月30日発表の米5月PCEコア価格指数の伸びは4月実績に近い水準が予想され、FRBによる金融引き締め策を後押しする材料となりそうだ。FRBは6月に続き7月も0.75ポイント幅の利上げを行う可能性が高いと想定されており、金利高・ドル高の地合いに変わりはないとみられる。

一方、日本銀行の黒田総裁は最近の急激な円安について、「経済への影響から望ましくない」と述べているが、日銀は現行の大規模な金融緩和策を維持する方針。日米金利差のさらなる拡大が予想されるため、米ドルを含めた主要通貨に対する円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。ドル高・円安の進行はやや一服したことから、利益確定を狙ったドル売りが出やすい状況だが、インフレ関連指標を受けて米長期金利が反発した場合、直近高値の136円70銭台を目指す値動きが予想される。

【米・1-3月期国内総生産(GDP)確定値】(6月29日発表予定)
6月29日発表の米1-3月期国内総生産(GDP)確定値は、前回とおおむね同水準となる見通しだが、上方修正された場合、リセッション懸念は和らぎ、小幅ながら金融正常化への期待感からドル売りは後退しよう。

【米・5月PCEコア価格指数】(6月30日発表予定)
6月30日発表の米5月PCEコア価格指数が4月実績(前年比+4.9%)を下回った場合、FRBの金融引き締め加速の方針を弱める可能性があり、金利安・ドル安の要因になりやすい。

予想レンジ:133円80銭−136円80銭


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