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CEHD Research Memo(3):SIerとしてシステムの企画、構築、運用サポートで幅広く医療を支える(1)

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■CEホールディングス<4320>の事業概要

2. 事業内容
1) 医療ソリューション事業
同社グループの主力事業は、病院向けの電子カルテシステム開発・販売、及び医療情報システムインテグレーション(医療機関を中心としたユーザーの課題を解決するための情報システムの企画、構築、運用サポートなどを引き受ける事業)である。同社グループのCSIは、電子カルテシステムを自社開発し、他社で開発した会計(医事会計)や画像管理、検査システムなどの部門システムからハードやネットワークまでを組み合わせて販売する。同社の電子カルテシステムは受注から稼働まで数ヶ月から1年近くかかる場合もあるが、それは同社がソフトウェアの開発・販売を行うだけでなく、システム構築、電子カルテシステムと各種部門システムとの接続、マスター設定等までシステム導入支援を行う企業だからである(直接販売の場合)。また、CSIは全国に有力な販売店網を有しており、それらの販売店が営業活動を行い、CSIから電子カルテシステムのライセンスを仕入れ、販売店自身でシステムインテグレーションを行うことも多い(間接販売)。

医療ソリューション事業では、CSIとMCS、DSが電子カルテシステム「MI・RA・Is / AZ」を中心とした医療システム開発と受託システム開発を行っている。「MI・RA・Is / AZ」は一般病院向けパッケージ、療養病棟や精神病棟を有した病院向けパッケージ、ノンカスタマイズによる低価格で導入可能な小規模病院向けパッケージなど複数の製品ラインナップを揃え、様々な規模・形態の医療機関のニーズに応えることで、877件もの導入実績を持つ(2022年3月31日現在)。加えて、全国800を超える医療機関によるノウハウにより、医療安全・経営改善・業務効率向上をサポートする強みを有している。また、主に日本電気<6701>(NEC)グループからの委託により、地域中核病院を中心とした大病院向けの医事会計システム、電子カルテシステム、オーダリングシステム、検査システム、輸血システム等の医療情報システムの開発を行っている。

医療ソリューション事業における連結子会社での主な事業として、CSIでは電子カルテシスム「MI・RA・Is / AZ」を中心とした医療システム開発と受託システム開発を担っている。電子カルテシステム「MI・RA・Is」は1999年にリリースして以降、歴代のシリーズが積み重ねてきた信頼と実績の操作性を継承しながら、顧客からの声を積極的に取り入れ、定期的なバージョンアップを実施することで、現在も進化を続けている。また、大規模災害が増加している昨今、従来型の病院内で完結したシステムから、データセンターを利用した病院基幹システム構築の必要性が高まっており、こうしたニーズに応えて、強固で安全なデータセンターを活用し、災害時であっても患者のデータを確実に守るクラウド型電子カルテサービス「MI・RA・Is / AZ for Cloud」も提供している。

ほかにも、医療機関と患者やその家族とのコミュニケーションを支援する「かかりんDX問診」や、厚生労働省が推進する地域の包括的な支援・サービス提供体制「地域包括ケアシステム」を構築する「ID-Link」などを手がけている。

「ID-Link」は、地域の病院やクリニックに分散した診療情報を統合して共有するネットワークサービスとなっている。休日・夜間でも、連携先の医療機関は診療情報を参照でき、地域全体で地域医療を支えるシステムの構築を目指している。患者ID管理・アクセス権管理・診療情報の所在はデータセンターで、診療情報は医療機関で保管し、地域を跨いだ診療情報の共有のみならず、将来的な共有範囲拡大にも対応可能となっている。

MCSでは、「MI・RA・Is シリーズ」の看護支援機能の開発・導入を行っている。看護支援機能は、病棟状況を容易に把握でき、入院から退院までの看護過程を「管理」「現場」の両面でサポートする。このほかに、勤務表作成・管理業務の効率化を支援するシステム「ナース物語 ナイスプランII」、リハビリ訓練や単位数管理、実施計画書の作成など事務作業や管理業務の軽減をサポートするリハビリテーション業務支援システム「リハ物語 POST」、医師や看護師、薬剤師、医事課など、院内の血糖値測定に関わる業務をサポートする血糖管理システム「MediRound DM1」、院内診療材料のコスト削減、病院経営改善から保険請求漏れ防止、患者の安全確保をサポートする物流管理システム「サプライ物語」など、幅広い製品・ソリューションを手掛けている。

マイクロンでは、主に医薬品や医療機器の臨床開発支援(モニタリング、品質管理、イメージング・コアラボ業務、画像解析、読影支援等)を手掛けている。特に国内では医用画像を活用した臨床試験をサポートする先駆的なイメージングCRO(Contract Research Organization:医薬品等開発業務受託機関)として、トップシェアを有している。また、同社はプログラム医療機器(SaMD:Software as a Medical Device)の製造販売も行う。SaMDは、疾患の治療、診断、予防に使用されるソフトウェアであり、マイクロンは医療機器の開発支援から販売までを一貫して支援できる日本唯一のCROである。

マイクロンはまた、医薬品・医療機器の臨床開発及び臨床研究領域において、電子カルテ記載情報を含む臨床現場を中心とした日常診療の情報(リアルワールドデータ)を利活用する事業を開始するなど、電子カルテシステムとのシナジー創出に取り組む。

マイクロンの100%子会社であるエムフロンティアでは、臨床開発に必要となる高度な人材の派遣を手掛けている。

電子カルテシステムと医薬品・医療機器の臨床開発は近接分野だが、その両方を同一グループでカバーしているのは日本国内でCEホールディングスグループのみである。また同社グループは、医療施設と製薬会社・医療機器開発会社の両方と接点を持つ数少ないグループでもあり、医療業界において幅広いニーズを把握し、製品・サービス開発につなげられることが大きな強みとなっている。

DSでは、医療ソリューション事業として、医療機関向けキャッシュレスソリューションの提供、医療機関向け運用・保守サービス、システム開発・導入を行っている。医療機関向けキャッシュレスソリューションとして、グローリー(株)と共同で「料金後払いシステム」を新たに開発し、2020年4月に特許を取得している。この「料金後払いシステム」は、医療機関の料金を後払いにすることで、受診後、会計を待たずに帰れるシステムとなっており、医療機関にとってもピークタイムの業務負担軽減やオペレーションコストの削減等の様々なメリットをもたらす。2018年にリリース以降、全国の大学病院や大規模病院を中心に導入を推進している。販売はグローリーが担当し、DSは同システムの導入・保守作業を担う。医療機関向け運用・保守サービスは、現在、首都圏の約20病院で院内情報システムの運用・保守サービスを展開し、障害や問い合わせ対応、システムメンテナンス等の業務を行っている。システム開発・導入は、電子カルテシステムや医事会計システム等の開発・導入等を行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川勇一郎)



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