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アイナボHD Research Memo(3):2022年9月期第2四半期の営業利益は前年同期比1.7%減

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■アイナボホールディングス<7539>の業績動向

1. 2022年9月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況
2022年9月期第2四半期の連結業績は、売上高40,159百万円(前年同期比17.5%増)、営業利益1,543百万円(同1.7%減)、経常利益1,690百万円(同1.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,340百万円(同26.8%増)となった。なお、2021年10月1日付で新規連結子会社としてマニックスが加わった。この影響で、売上高で4,283百万円、営業利益で113百万円が上乗せされている。さらに連結に伴う「負ののれん発生益」328百万円が特別利益として計上されているため、親会社株主に帰属する四半期純利益の伸び率が高くなった。

営業利益の増減は、増収による売上総利益の増加が295百万円、新規連結による利益の増加が113百万円、販管費の増加による利益減少が340百万円、粗利率低下による利益減少が95百万円であった。その結果、営業利益は前年同期比で26百万円減少した。

(2) セグメント別状況
a) 戸建住宅事業
戸建住宅事業の売上高は34,093百万円(前年同期比17.2%増)、セグメント利益は1,720百万円(同11.9%増)となった。サブセグメント別の売上高は、外壁工事が8,076百万円(同6.7%増)、住設工事が9,972百万円(同14.4%増)、建材販売7,391百万円(同8.5%増)、住設販売が8,653百万円(同44.4%増)となり、すべてのサブセグメントで増収となった。住設販売と住設工事の伸び率が高いのは、新規連結子会社の業績寄与によるものである。セグメント利益は、製品構成の変化によって利益率はやや低下したものの、2ケタの増益を確保した。

b) 大型物件事業
大型物件事業の売上高は6,066百万円(前年同期比19.6%増)、セグメント利益は459百万円(同27.7%減)となった。サブセグメント別売上高では、タイル販売・工事が1,730百万円(同0.8%増)、住設販売・工事が4,335百万円(同29.3%増)となった。タイル販売・工事は、東京オリンピック・パラリンピック後の反動で落ち込んだ長期の大型案件が回復していないもようだ。住設販売・工事は、マニックスの新規連結寄与と中古マンションの買取りの新規事業により増収となった。タイル販売・工事では、従前からの売上が低迷したことから利益率が低下した。

(3) 事業会社別業績
主力子会社である(株)アベルコは、売上高27,349百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益1,117百万円(同5.8%減)となった。コロナ禍からの反動もあり増収を維持したが、前年同期にあった助成金が消失したことや販管費の費用項目の変更などの影響により利益率は低下し、営業減益となった。主に中部地区を地盤とする(株)インテルグローは、売上高5,887百万円(同10.6%増)、営業利益168百万円(同61.5%増)と、堅調に推移し増収増益となった。主に首都圏を中心に公共施設向けの空調リニューアル等を行う温調技研(株)は、売上高1,402百万円(同0.1%減)、営業利益278百万円(同18.7%減)と、売上高はほぼ横ばいとなるも利益は減少した。要因は、過去2年間が比較的好調であったことに加え、コロナ禍により民間需要が低迷したことから多くの競合会社が公的市場に参入したために競争が激化したことによる。関西圏を地盤とする(株)今村は、売上高1,573百万円(同3.1%減)、営業利益13百万円(同67.5%減)となった。まだ顧客基盤が広くはないため、コロナ禍の影響によりホテル向け案件(水回り等)が低調に推移したことなどから減収減益となった。

(4) 重点課題の達成状況
同社が「重点課題」としている各課題の達成状況については次のとおり。

サイディングの売上高は1,769百万円と前年同期比85百万円増となり、順調に拡大している。またサイディングプレカットは402件と、前年同期の432件から若干減少となったが、一定の水準を維持しており堅調と言える。非住宅※1は2022年9月期の通期売上高目標2,500百万円に対し進捗率は51.7%となり、順調に進行している。サッシの売上高は1,054百万円と同198百万円増となった。サッシ支店※2を含めた売上高は1,597百万円と同170百万円増となり、サッシは堅調である。2022年9月期の通期売上高目標の3,000百万円に対し進捗率は35%程度にとどまっているが、目標値が高いためであり、悪い内容ではないだろう。

※1 2021年9月期から重点課題に加えたもので、住宅以外の施設や店舗向けの案件を扱う。
※2 住宅ではなく中小ビルや施設向けの営業部隊


ブランド事業は、「マリスト」は売上高は620百万円と前年同期比98百万円増となった。前年同期がコロナ禍の影響を受けて大きく落ち込んだ時期であったことから、前年同期比で大きな伸びを見込んでいたが、期待した水準には届かなかった。また分社化した(株)アルティスが扱う高級浴槽「アルティス」は、売上高は181百万円と同65百万円増となった。前年同期がコロナ禍の影響で低水準であったことに加え、分社化の効果もあり同56.0%増、通期売上高目標に対する進捗率64.6%とまずまずの結果であった。ただし、コロナ禍前の2019年9月期の水準よりは低いため、「必ずしも満足する結果ではない」と同社は述べた。新規顧客開拓については305件となり、件数は前年同期比で21件減少したが、売上高は同110百万円増加した。2022年9月期の通期売上高目標2,500百万円に対し進捗率は18.2%と低調であるが、これは目標値が高いためであり、同社も「決して悪い結果ではない」と述べた。


財務基盤は強固。手元のネットキャッシュは99億円
2. 財務状況
2022年9月期第2四半期の財務状況を見ると、流動資産は前期末比4,273百万円増加の31,419百万円となった。主要科目では現金及び預金が1,512百万円減少し、受取手形・完成工事未収入金等が4,302百万円、未成工事支出金1,090百万円がそれぞれ増加した。固定資産は同1,099百万円増の10,874百万円となった。内訳は有形固定資産が同1,054百万円増加の6,640百万円、無形固定資産が同66百万円減少の376百万円(うちのれんが22百万円減少)となり、投資その他資産は同111百万円増加の3,857百万円となった。これらの結果、資産合計は同5,372百万円増加の42,294百万円となった。

流動負債は前期末比4,061百万円増加の17,392百万円となった。支払手形・工事未払金等2,861百万円の増加、ファクタリング未払金462百万円の増加などが要因となった。固定負債は同298百万円増加の1,689百万円となった。これらの結果、負債合計は同4,359百万円増加の19,081百万円となった。純資産は同1,012百万円増加の23,212百万円となった。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加1,126百万円によるものである。

2022年9月期第2四半期末現在で、現金及び預金11,267百万円に対して長短合わせた借入金は1,278百万円にとどまっており、手元のネットキャッシュ(現金及び預金-借入金)は9,988百万円と豊富で、財務基盤は強固であると判断できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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