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為替週間見通し:もみ合いか、日米金利差拡大も日本の円買い介入を警戒

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【今週の概況】
■日本政府・日銀は24年ぶりの円買い介入実施

今週のドル・円は強含み。一時145円90銭まで上昇し、1998年8月以来のドル高・円安を記録した。9月20-21日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で3会合連続となる0.75ポイントの利上げが決定されたが、FOMCの経済予測で年内、来年の金利見通しが引き上げられたことや、21-22日開催の日本銀行金融政策決定会合で現行の金融緩和策を維持することが決定され、日本銀行の黒田総裁が「当面金利は引き上げない」と述べたことから、ドル・円は一時145円90銭まで上昇し、1998年8月以来のドル高・円安水準を記録した。しかしながら、日本政府・日本銀行が22日に米ドル売り・円買い介入を実施したことを受けてリスク選好的なドル買い・円売りは大幅に縮小し、ドル・円は一時140円36銭まで反落した。

23日のニューヨーク外為市場でドル・円は143円46銭まで戻した。この日発表された米S&Pグローバル9月製造業PMI速報値は予想に反して改善し、米国経済は大幅な利上げに耐えられるとの見方から、リスク選好的なドル買いが観測された。対欧州通貨でドル高が進行したことも意識されたようだ。ドル・円は143円34銭でこの週の取引を終えた。今週のドル・円の取引レンジは140円36銭から145円90銭となった。ドル・円の取引レンジ:140円36銭−145円90銭。

【来週の見通し】
■もみ合いか、日米金利差拡大も日本の円買い介入を警戒

来週のドル・円はもみ合いか。米連邦準備制度理事会(FRB)は金融引き締めを長期化させる方針で、ドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低いものの、日本政府・日本銀行の円安けん制が意識されそうだ。日銀は21-22日の金融政策決定会合で現行の金融緩和策を維持することを決定した。日米金利差のさらなる拡大はドルを押し上げる可能性があるため、日本政府・日銀は1ドル=145円を超えてドル高・円安が進行した場合、ドル売り・円買いの市場介入を再度実施するとみられる。ただし、市場介入は日本単独で行われるため、円安抑止の効果については懐疑的な見方が多い。ドル・円が145円を再度超えた場合、24年ぶり高値の147円60銭台を目指す可能性がある。

一方、欧州中央銀行(ECB)や英中央銀行など主要中銀も大幅利上げに前向きだが、欧州経済の先行き不透明感が深まるなか、景気減速への懸念からユーロやポンドは売られやすい。ウクライナ戦争の激化も警戒され、欧州通貨安・米ドル高がドル・円相場を支援しよう。

【米・4-6月期国内総生産(GDP)確定値】(29日発表予定)
29日発表の4-6月期国内総生産(GDP)確定値は前期比年率-0.6%と、改定値から横ばいの見通し。2四半期連続でマイナス成長となるため、ドル買いを抑制する手がかりになりやすい。

【米・8月PCEコア価格指数】(30日発表予定)
30日発表の米8月PCEコア価格指数は高水準が続くとみられ、FRBの引き締め長期化の思惑から金利高・ドル高の要因。ただ、米国経済の減速を懸念したドル売りも想定され、ドルの上昇は限定的に。

予想レンジ:141円00銭−145円00銭


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