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網屋 Research Memo(4):ネットワークセキュリティ事業は「Network All Cloud」を中心に展開

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■事業概要

(2) ネットワークセキュリティ事業
ネットワークセキュリティ事業では、創業期より培ったネットワーク技術を活かし独自開発した、「Network All Cloud」を中心に展開している。あらゆるネットワーク機器を網屋<4258>がクラウド上からリモートコントロールするサービスである。ネットワーク構築や、導入後の運用・障害対応等、ネットワークにまつわるあらゆる業務負荷を軽減し、IT資産を持たない、「情シスのクラウド化」の実現を目指している。創業から一貫して手掛けてきた事業であり、個別のニーズに合わせてオーダーメイドの企業LAN/WANネットワークを提供している。主に病院関連の実績が多く、院内LANの設計ノウハウを豊富に所有している。また、顧客先へ出向いてネットワークインテグレーションも手掛けており、オフィスのサーバ・ネットワーク構築、拠点間接続、テレワーク用のリモートツールなどICT通信インフラネットワークを設計・構築している。販売系統には、直接販売と間接販売があり、2021年12月期の直間比率は、直接販売が65%、間接販売が35%となっている。間接販売にはOEMもあり、名称を変更して大手ベンダー商品として販売されている。

売上高は、(1)スポット売上高として「ネットワークインテグレーション」の設計・構築費、「Network All Cloud」の初期費用など(2)ストック売上高として、「Network All Cloud」のサービス料である。つまり、「Network All Cloud」は、機器費用を購入時に一括で受領し、以降は、同社システムの使用料としてサービス料を受領するリカーリングモデルとなっている。2021年12月期のストック売上比率は49.8%(前期54.1%)であり、同売上総利益率は32.8%(同32.2%)となっている。主な売上原価は、システムエンジニア等の労務費、外注費(派遣)、外部委託費、販売・レンタル用機器の仕入原価である。

同社の「Network All Cloud」は、ICTネットワークの構築・運用をクラウド上から遠隔で行うことで、現場に担当者を派遣せずに運用できるサービスである。企業ネットワークに必要となるVPN※1ルータ、ファイアウォール※2、スイッチ※3、無線LANアクセスポイントなどを同社がクラウド上から遠隔で運用を代行する仕組みで、顧客はSaaS上のWeb画面から状態を確認するだけで、ネットワークの運用が実現できる。遠隔対応ができるため、全国拠点を持つ小売/外食・営業所・教育機関・塾・医療機関などに利用されている。

※1 Virtual Private Networkの略称。暗号化技術などによって、インターネット上に作り出された仮想の専用ネットワークのこと。
※2 企業内にある内部ネットワークとインターネットのような外部ネットワークなど、ネットワークの境界線上に設置し、通信を許可するか否かを判断し、制御する仕組みをもった装置またはソフトウエアのこと。
※3 スイッチングハブを指す。通信ネットワークにおいて、通信を中継する装置の1つであり、データを受け取り、宛先を識別して、関係する機器にデータ送信する機能を有する通信機器のこと。


同社の「Network All Cloud」には、クラウドVPNサービス「Verona」 (ヴェローナ)、クラウド無線LANサービス「Hypersonix」 (ハイパーソニックス)、クラウド情報システム支援サービス「ランサポ」の3種類のラインナップがある

(a) 「Verona」
「Verona」はクラウド上からインターネットVPNサービスを設計構築・運用するサービスである。拠点間VPNやソフトウエアVPNに利用され、テレワーク業務などで必要となる企業と自宅間の遠隔秘匿通信にも適している。従来のVPNでは、エンジニアが現地に訪問し、手動で機器を設定しなければならなかった。Veronaはクラウド上から自動で設定情報の配布が行えることに加え、初期構築・設定変更・障害対応、さらにはファームウェアのアップデートもクラウド上から一括で実施が可能なため、顧客の運用負荷を大幅に削減できる。また、従来のVPNは、通信を暗号化するだけの簡易機能のものが多く、デバイス端末への使用制限などはできず、脆弱さを伴ったものであった。Veronaでは、特定の端末のみしか通信させない証明書認証機能や通信時にのみ通信ポートを開放するダイナミックポートコントロール機能などのセキュリティ機能を持ち、ゼロトラスト※アーキテクチャに沿った新しい暗号通信の仕組みを有している。当該サービスは、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響によるテレワークの急激な増加に伴って、需要が高まっている。

※社内ネットワークと社外ネットワークに区分してセキュリティ対策を講じるのではなく、「何も信頼しない」という前提のもとセキュリティ対策を講じるという考え方のこと。


(b) 「Hypersonix」
「Hypersonix」は無線LANをクラウド上から設計構築・運用するサービスである。オフィスや店舗・工場・教育機関・医療機関など多拠点環境下にあるWiFiを快適安全に運用する。主な特長は、複数の機器を用途や環境に合わせて柔軟に選択できる点である。一般的な無線LANクラウドサービス事業者では、自社の単一機器だけを取り扱うケースが多く、機器の相性や環境依存などで導入が結実しないこともあり、柔軟性や拡張性に問題を抱えていた。同社のサービスは、希望の用途や規模に合わせて、複数のメーカー機器を選択・利用することができる。また、クラウドネットワークサービスを牽引する、グローバル販売実績上位の米国Ubiquiti社製の「UniFi(ユニファイ)シリーズ」の国内販売代理契約も締結している。価格競争力も高く、クラウドネットワークに適した機能を有していることから、同社では、サービス提供用の機器として利用している。また、国内における機器の物販も開始している。

(c) 「ランサポ」
「ランサポ」は顧客の情報システム業務全般を代行・支援するサービスである。人材を派遣せず、低コストで顧客の情報システム担当の代理業務を行っている。ネットワーク・サーバ機器のメンテナンスや既存保守の取りまとめ、他社からの提案に対する査定まで、機材の購入ルートや購入経緯に関わらず、顧客の情報システム担当に代わって対応する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
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