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Jトラスト Research Memo(6):2022年12月期以降は本格的な成長段階に入り、持続的な成長を目指す(2)

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■Jトラスト<8508>の成長戦略

(3) 東南アジア金融事業
東南アジア金融事業ではJTRBとBJIを中心に黒字幅がさらに拡大し、収益の柱の1つとなることが期待される。

2019年12月期より同社グループに加わったJTRBは、資産内容の良い優良銀行で、同社グループに入る前は安定的に年間25~30億円の営業利益を計上しており、業容(預金、貸出金)拡大方針の維持によるグループへの利益貢献が期待される。JTRBでは、従来は超優良顧客のみを対象としていたが、今後は法人では大企業から中堅企業まで、また個人は住宅ローンを中心に顧客層の拡大を図る一方で、COFを意識した低金利預金の獲得を強化することで安定収益の確保を図る。このほか、新規顧客層の開拓強化、大企業との取引拡大、富裕層向け商品や各種普通預金商品のラインナップの充実、モバイルアプリやネットバンキングのサービス拡充などを計画する。2022年12月期第3四半期には、預金獲得の施策として、日本の富裕層向けに米ドル建てで年間5%の定期預金「Grow Your WEALTH」を発売した。今後も安定収益の計上によって、東南アジア金融事業の業績を下支えすると期待される。

インドネシアのBJIは、経営刷新後の様々な取り組みの結果、計画より早く営業黒字化を果たした。ビジネス部門と審査部門の連携強化により、不良債権リスクの低減を図りつつ積極的にローン残高増強を図っている。また、安定的な経営基盤を構築するため調達コストの低減に努め、小口預金獲得に向けた新規口座開設を積極的に推進している。今後の戦略としては、戦略的パートナーシップを結べる業務提携及び資本提携を検討するほか、財務的に苦しい金融機関からの債権買取やM&Aを検討するとともに、大手企業への貸出を伸ばすために当該顧客とパイプラインを持つ役員らを招聘し、M&Aがなくても成長できる体制を構築する計画である。

BJIは、2022年2月に締結された飯田グループホールディングス<3291>3社との業務提携に続き、同年3月には、福岡に本社を置く(株)ダックスジャパンのインドネシア法人と「SAKURA VILLAGE」の住宅販売に係る業務提携契約を、6月には、阪急阪神不動産(株)とインドネシアの不動産デベロッパーであるSpringhillグループのPT NHLの合弁会社であるPT Springhill Mizumi Serpongが開発する「Springhill Yume Lagoon」の住宅販売に係る業務提携契約を締結した。さらに7月には、PT Daya Kobelco Construction Machinery Indonesia(コベルコインドネシア)と重機のファイナンス投資商品販売で業務提携契約を締結し、8月には、日立建機<6305>傘下のインドネシア法人PT Hexindo Adiperkasa(ヘキシンド・アディペルカサ)と重機販売に係る業務提携契約を締結した。魅力あるローン商品の開発によって、多くの日系ディベロッパーから引き合いがあるようだ。

2022年8月には、BJIはWarta Ekonomi(ワルタエコノミー)により2022年度インドネシア・ベスト・バンク(シナジー強化と事業セグメントの拡大部門)に選出された。また、インドネシアで初めての開催となった女子ゴルフ国際イベント「第1回シモーネ アジア パシフィック カップ」では、BJIが日系企業として唯一のスポンサーとして参加した。これらはBJIの知名度向上に貢献すると見られる。

(4) 事業ポートフォリオの再編
同社グループでは、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で安定的に利益を拡大する一方で、成長可能性が大きい東南アジア金融事業の利益拡大を実現し、持続的な成長を目指す方針である。コロナ禍により世界各国で経済環境が急変し、先行き不透明感が増してきたなか、手元流動性の増強と有利子負債の圧縮を進めるとともに事業ポートフォリオの改善を進めてきたが、2021年12月期に営業黒字化を実現し、2022年以降は新たな成長フェーズに転換することで、事業再編は完了する見通しである。ただ、JTG証券やミライノベートと同様に、今後も主に企業価値を高めるために、既存の成功事業をさらに成長させることができる事業、既存事業とのシナジーを期待できる事業、金融機関と取り組める事業などへ投資する方針と見られる。藤澤氏の強力なリーダーシップの下、同社グループの成長戦略に注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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