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エコモット Research Memo(9):経営体制を一新する抜本的な組織改編を断行(2)

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■エコモット<3987>の今後の見通し

(2) コンストラクションソリューション事業
コンストラクションソリューション事業では、主力事業「現場ロイド」のさらなる育成と拡大を成長の基盤としつつ、積極的に新領域へも挑戦する方針だ。急速なデジタル化を遂げている建設市場において、累計約15,000現場の実績を強みに、常にイノベーションを創出し、市場をけん引する存在を目指す。現在のキャッシュを生み出すコア分野は、各種計測器(水位計や雨量計、騒音振動計等)やWebカメラ、ソーラー電源システムであるが、新たに戦略製品領域を設定し、成長分野と新規分野に分類した。成長分野については、AI関連(画像認識等)、動態観測関連(地表面変位や地中変位等)、PoC(Proof of Concept)案件、遠隔臨場システムとした。次世代のキャッシュの創出源であり、投資を増やし売上高規模の拡大を目指す。一方、新規分野は将来のコア事業を生み出すために体制を強化し、事業化による売上高創出を目指す。新規分野のトピックスである配筋検査ARアプリ「バイアス」及び遠隔臨場システム「Gリポート」については、以下のとおり。

a) 配筋検査ARアプリ「バイアス」
同社は、村本建設(株)と配筋検査ARアプリ「バイアス」を共同開発し、2022年5月に開催された建設・測量生産性向上展「CSPI-EXPO 2022」に参考出品した。「バイアス」は、タブレット端末iPad Proで鉄筋を撮影するだけで配筋間隔を自動計測でき、構造物の鉄筋出来形計測に係る事前準備・帳簿作成の省人化及び計測時の省力化を実現した。計測結果や画像はWebブラウザからも参照でき、PDF出力も可能だ。現在、同サービスのモニターを募り、試験導入を進めている。

b) 遠隔臨場システム「Gリポート」
「Gリポート」は、遠隔臨場に特化したモバイルコミュニケーションツールである。国土交通省策定「建設現場における遠隔臨場に関する試行要領(案)」に示された仕様、並びに「令和4年関東地方整備局における建設現場の試行方針」に準拠し、スムーズな映像とクリアな音声で現場と隔地の円滑な相互コミュニケーションを実現する。受注者が施工現場で撮影した映像については、発注者が事務所等でリアルタイムに確認でき、移動時間や立会調整時間の削減に寄与している。なお、対象にフォーカスして検査することに適したハンディ型基本パッケージに加え、2022年1月からは両手が自由に使えるウェアラブルカメラの提供を開始した。スタビライザー(ブレ防止機構)を内蔵した高性能小型カメラをヘルメットに固定して使用する。災害発生現場や急斜面、高所など足元が不安定な現場でも円滑な相互コミュニケーションが可能となり、活用シーンが大幅に拡がっている。なお、2022年度から遠隔臨場を本実施に移行するとした国土交通省の発表が当該市場にとって追い風となり、累計稼働台数は2021年8月期比で3.3倍まで増加のペースで進行するなど、好調を維持している。

(3) IoTパワード事業
a) 設備監視メンテナンス市場
同社は、リモートモニタリングサービスの強化を目的に、子会社のストークをゴモジーへ社名変更し、リブランディングした。社名の由来は「Go more to Gratify(満足のもっと先へ)」となる。組織体制を強化し既存の暖房設備、空調設備メンテナンス事業に加え、市場規模及び成長性が大きいとされる水関連市場を皮切りに、リモートモニタリング事業の普及拡大を目指す。足下では浄水場、下水処理場、汚泥処理施設向けの水処理施設監視パッケージを開発している。

b) 太陽光発電EPC事業への参入
同社は、2022年9月にパワーでんきイノベーションを設立し、2022年10月に(有)パワーでんきカンパニーより事業譲渡を受け、太陽光発電EPC※1市場に参入した。太陽光設備に係る造成・販売施工・電気工事事業を請け負う。太陽光発電は、FITによる売電価格の引き下げと電力料金の上昇により、FITを活用した売電から自家消費を目的とした導入へ移行しつつあり、自家消費の形態としてPPA※2モデルが増えると予想されていることから、IoT×AI技術や蓄電池製品を生かし、差別化を図ることでこれらのマーケットへの販売を強化する。なお、パワーでんきカンパニーの直近(2021年8月期)の売上高は865百万円であった。

※1 EPCとは、Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の頭文字を取った言葉。
※2 Power Purchase Agreementの略で、電力販売契約のこと。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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