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イカサマ賭博「宝くじ」を買ってしまう7つの認知バイアス。総務省OBに高給を与えるための歪んだ分配構造=神樹兵輔

なぜ、「宝くじ」というコスパの悪いイカサマ・ギャンブルがはびこり、それに踊らされる人々が多いのでしょうか。今回は最初にまず、そうした心理を手玉にとる歪んだトリック構造について解説します。次いで、公共事業を通じ地方自治補助を謳う宝くじでありながら、実は管轄の中央省庁である総務省OBの天下り利権の巣窟になっている構図を見ていただきます。その結果、当選確率が最悪のギャンブルである「宝くじ」の欺瞞性、不合理性に目覚めていただき、今後は冷静かつ合理的な行動へと覚醒されんことを願うばかりです。(『 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』)

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※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2022年12月12日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:神樹兵輔(かみき へいすけ)
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

江戸時代から問題視されていたギャンブル「宝くじ」

「宝くじ」とは、古来から「富くじ」と呼ばれる賭博の一種でした。庶民の射幸心をいたずらに煽り、勤労の美徳を損なうものとして、江戸幕府においても禁止令を出していたものです。

しかし、いつの世でも「闇の富くじ」は横行します。庶民の一攫千金の夢は尽きない――という事情からなのでしょうか。

そこで、お上は考えました。民間の「富くじ」は一切禁じ、政府から特別の許可を得た業者のみに「富くじ」の販売権を認めることにしたわけです。

これが今日の状況で、諸外国でも同様の傾向となっています。そうすることで、庶民から吸い上げた巨額のカネの中から、お上の側もたんまり分け前が得られるからなのです。

ゆえに、「富くじ」は、刑法187条で禁じられていますが、1948年制定の「当せん金付証票法」により、刑法35条の「法令又は正当な業務による行為は罰しない」という違法性阻却事由を満たしました。国が認める形で「宝くじ」については合法化が図られてきたわけです。

ちなみに、日本にいてオンラインで「海外の宝くじ」を買うことは、前述の刑法187条で禁じられています。

売上は右肩下がり。あまりにも「当たらない」ことが徐々に社会に浸透

ところで、「宝くじ」の全体の売上額は、2005年度に1兆1,000億円のピークをつけて以降、全体的には弱含みの傾向です。

2017年度と2019年度には「宝くじ」全体の売上高は8,000億円台をわずかに割ってしまいました。

翌2020年度に8,046億円と持ち直し、コロナ禍の巣ごもり効果もあったのか、どうにか2021年度は8,133億円の売上でした。

このうち売上比率の大きかった5種類のジャンボ宝くじの減少傾向が著しく、2005年度のピーク時の5,501億円が2021年度には3,079億円へと売上が縮小しています。

もっとも、この減少分は06年度から始まった数字選択式宝くじ(ナンバーズ3・ナンバーズ4・ミニロト・ロト6・ロト7・ビンゴ5)が補う形で伸び、2020年度には4,000億円台を超えて、すでにジャンボ宝くじの年間売上高をも越えているのが現状です。

いずれにしろ、宝くじ全体の売上高が減少してきているのは、やはり「当たらないこと」が世間の常識として、定着してきたことも背景にあるでしょう。

買えば買うほど損するだけだからです。

買わないと当たらない?奇跡的な当選確率なのに買ってしまう人々

そのため、ネット販売やコンビニでのATM販売にも取り組んでいますし、派手なインパクト狙いで次々と当選金を引き上げ、2015年の年末ジャンボ宝くじからは、最高賞金額は10億円(1等7億円と前後賞1億5,000万円)にまで引き上げられています。

ただし、それでもジャンボ宝くじの売上減少の傾向には、まだまだ歯止めはかかっていないようなのです。

宝くじは、お手軽な価格で楽しめる「庶民の夢」ですが、1枚300円のジャンボ宝くじの当選確率は1,000万分の1です。これは生涯のうち、落雷で死亡する確率と同じだそうです。それほど当たらないのです。10枚3,000円分をまとめて購入しても、百万分の1の当選確率です。お手軽な価格ですが、ものすごく当たらないことがわかります。

しかし、宝くじは買わないと絶対当たらないから――と、これを100枚3万円分、300枚9万円分もまとめて買う人がいるので驚かされます。

なぜ、こんなにも買う人が多いのかといえば、人が合理的に行動しない生き物であるからに他なりません。

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