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来週の相場で注目すべき3つのポイント:国内決算佳境入り、バイデン米大統領一般教書演説、日銀新体制人事

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■株式相場見通し

予想レンジ:上限27900円−下限26500円

来週の東京株式市場はもみ合いか。米1月雇用統計では平均時給の伸びは予想通り鈍化したものの、雇用者数の伸びが一過性要因もあるだろうが、大幅な上振れとなり、失業率の予想外の低下と相まって労働市場の逼迫が再確認された。今週高まった利上げ停止期待は一旦剥落するだろう。一方、為替の円安進行が下支えする形で、日本株は相対的に底堅く推移する可能性もある。


来週は国内企業の決算発表が集中する。個別物色が中心となる中、指数の方向感は出づらいだろう。一方、週末10日には日本銀行の正副総裁の後任人事について、政府が国会に提示する方向だ。ドル円は130円を挟んだ攻防が続いているが、新体制を巡る思惑によって再び円高が進展した場合には、製造業を中心に株価の重しになりそうだ。


他方、米国では、7日にバイデン米大統領が連邦議会下院で一般教書演説を行う予定だ。再選を目指して出馬意欲を表明している2024年の大統領選に向け、幅広い分野から立法目標などを説明する機会となり、軍事防衛や電気自動車(EV)、再生可能エネルギーなどのテーマ銘柄にスポットライトが当たる可能性があろう。


全体相場については、年明け以降、多くの市場関係者の予想に反して株高が続いてきたが、この勢いがいったん小休止する可能性に留意したい。昨年末にかけてのタックスロス・セリング、節税対策売りが一巡したことで、年明け以降は昨年に売られすぎた銘柄を中心にリバウンドの動きが活発化した。こうした需給要因だけでなく、中国での経済再開や欧州でのエネルギー危機沈静化、米国でのインフレピークアウトとソフトランディング(経済の軟着陸)期待など、外部環境に対する認識が改善したことも追い風になった。


しかし、今週末の米雇用統計で楽観ムードは修正を迫られるだろう。また、2月に月替わりしたことで売られすぎた銘柄の買い戻しといったリバランスも一巡してきた可能性がある。さらに、日本取引所グループ(JPX)による投資部門別売買動向によると、長期目線で売買する傾向のある年金基金の動向を反映する信託銀行は、昨年11月14日の週から今年1月23日の週までの間、現物株を連続で売り越し、金額は約1兆1800億円にも上った。他方、海外投資家は、日銀がサプライズ政策修正を決めた12月半ば以降は先物を中心に大幅な売り越しを続けてきたが、1月16日の週からの大量買い越しにより、それまでの売り越しをほぼ買い戻した。つまり、年明け以降の株高は国内勢の売りを吸収して余りある海外勢の買い越しが要因だったといえる。


ただ、上述したように、海外勢の1月16日以降の先物の買い越し幅は、すでに12月半ば以降の売り越し幅にほぼ達しており、買い戻し余地は解消済みとも考えられる。これまでに発表済みの日米の主要企業決算の結果を見ても、強弱まちまちか、やや悪い内容のものの方が多い印象で、ここから一段と買い持ちを増やしていこうとする程の裏付けには乏しい。


年明け以降の世界的な株式市場の上昇は、一株当たり利益(EPS)の低下を上回る株価収益率(PER)の上昇が要因だった。しかし、米国の10年債利回りから期待インフレ率の指標とされるブレークイーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた米10年実質金利は今週一時1.1−1.2%程度にまで低下。すでに前回の金融引き締め局面である2018年10月に付けた直近ピークの1.1%程度まで一時低下したことで、ここからの一段の実質金利の低下と株価バリュエーションの上昇は期待しにくい。


米10年実質金利は2013−2017年までの間は0.5%前後で推移しており、仮にこの水準まで実質金利が低下する余地があるとしても、BEIの上昇が期待できない中では、米10年債利回りが3%を大幅に下回る水準まで低下しなければ説明できない。しかし、予想を大幅に上回る1月の米雇用統計と米ISM非製造業景気指数を受け、そうした展開は想定し難い。そもそも、そこまでの米長期金利の低下は、深刻な景気後退を意味し、その場合には、実質金利の低下によるPER上昇よりも景気後退を通じたEPS低下による株価下落が先にやってくるだろう。いずれにせよ、目先は利上げ停止期待の剥落により、株価の修正を迫られそうだ。7日にはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のワシントンでのインタビューが予定されているため、雇用統計後の発言として注目したい。


■為替市場見通し


来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)は今後の金融政策について従来のタカ派的な方針を変更しつつあるが、欧州中央銀行(ECB)や英中央銀行(BOE)も金融引き締めをやや緩めるとの思惑が浮上しているため、リスク回避的なドル売りがただちに強まる可能性は低いとみられる。1月米雇用統計の改善もドル買い材料となる。先日開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の引き上げ幅が0.25ポイントに縮小された。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で年内の利下げの可能性を否定したものの、これまでの引き締めを弱める方針を示した。賃金上昇率は鈍化しつつあり、FRBはタカ派色を弱める見通しのようだ。


一方、日本銀行の金融政策について、黒田総裁をはじめ複数の当局者が異次元緩和の継続を主張している。2月中旬頃までには正副総裁の次期候補者がある程度絞り込まれる公算だが、次期総裁が決まった場合、リスク回避的な円買いが強まるとの見方が出ている。ただ、欧州中央銀行と英中央銀行は今年前半までに利上げを停止する可能性があり、ユーロ、ポンドに対するドル買いが強まることになった場合、ドルは対円でも底堅い動きを維持することが予想される。


■来週の注目スケジュール

2月6日(月):日・決算発表→エーザイ、住友商、日清食品H、ヤマトHD、オリックス、アステラ薬、JFEホールディングス、ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が講演、など

2月7日(火):日・家計支出(12月)、日・毎月勤労統計(12月)、日・決算発表→三菱ケミカル、三菱重、任天堂、スズキ、ダイキン工、バンナムH、ソフトバンクG、豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・貿易収支(12月)、米・貿易収支(12月)、米・消費者信用残高(12月)、米・バイデン米大統領が一般教書演説、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演、など

2月8日(水):日・国際収支(経常収支)(12月)、日・景気ウォッチャー調査(1月)、日・決算発表→東レ、旭化成、スバル、大成建設、ユニチャム、パンパシI、富士フイルム、住友鉱、マクドHD、AGC、米・ニューヨーク連銀総裁がインタビュー、米・決算発表→ウーバー、ウォルト・ディズニーなど

2月9日(木):日・工作機械受注(1月)、日・決算発表→明治HD、NTTデ、NTT、日本製鉄、SUMCO、シスメクス、住友不動産、トヨタ、INPEX、テルモ、三菱地所、ルネサス、いすゞ自、東エレク、ダイフク、日産自、米・決算発表→ペプシコ、ペイパル、リフト、クレディ・スイス・グループ、アストラゼネカ、シーメンス、など

2月10日(金):日・国内企業物価指数(1月)、日・決算発表→エネオス、大和ハウス、ヤクルト、日産化、パーソルHD、ホシザキ、資生堂、三井不、オリンパス、中・消費者物価指数(1月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(2月)、米・FRBウォラー理事とフィラデルフィア連銀総裁が暗号資産(仮想通貨)関連会議で講演、など

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