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トレードワークス Research Memo(1):金融ソリューション事業の拡大などにより2024年12月期以降成長加速

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■要約

トレードワークス<3997>は証券会社やFX会社等の金融業界を主要顧客とする独立系システム開発会社である。インターネット証券取引システムを中心に、ディーリングシステムや不公正取引監視システム等の開発、クラウドサービス(SaaS※型サービス)など証券業界向けの金融ソリューション事業が売上高の約9割を占める。2021年後半よりECシステム等の新規事業領域への展開を開始し、2022年3月にはITシステム開発会社の(株)あじょを子会社化して開発リソースの強化を図るなど、事業規模拡大に向けて積極的な取り組みを進めている。

※SaaSとは、Software as a Serviceの略称で、クラウドを利用し「顧客に対し必要なソフトウエアの提供」を行うサービス形態。

1. 2022年12月期の業績概要
2022年12月期の連結業績は売上高で3,270百万円、営業利益で318百万円とそれぞれ会社計画を上回って着地した。前期の単体業績と比較しても売上高で28.1%増、営業利益で10.7%増と増収増益となった。金融ソリューション事業の売上高が既存主要顧客からの継続受注や新規顧客の開拓により同21.1%増と好調に推移したことが増収増益要因となった。なお、あじょの子会社化による売上高の上積みは131百万円と大きくはなかったが、エンジニア28名のうち9名を同社の金融ソリューション事業やデジタルコマース事業の開発プロジェクトに充当したことで、外注比率が低下し収益力強化に貢献した。営業利益の増益率が低くなっているのは、あじょの子会社化によってのれん償却額21百万円やM&A関連費用等を計上したことが要因である。

2. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の業績は売上高で前期比7.0%増の3,500百万円、営業利益で同6.7%増の340百万円と増収増益が続く見通し。新規事業への先行投資が続くものの、金融ソリューション事業の拡大でカバーする。金融ソリューション事業では、引き続き既存顧客からの受注や新規顧客の獲得などが見込まれている。そのほか、重点施策として新規事業の収益化に向けた資本・業務提携先との関係強化、AI、IoT技術の利用やフィンテックによる新サービスの開発、働き方改革、人手不足解消など生産性向上をテーマとした高需要領域への進出などに取り組んでいく。

3. 中期経営計画
2021年12月に発表した2026年12月期までの5ヶ年の中期経営計画では、「次世代金融、新デジタル時代を見据えたテクノロジー・ファースト型の企業成長」をテーマに掲げ、事業領域の拡大とビジネスモデルの転換(利用型・ストック型ビジネスモデルの比率UP)を進めることで収益成長を目指す方針を打ち出した。業績目標としては、2026年12月期に売上高6,000百万円、営業利益795百万円を掲げ、売上高のうち1,100百万円はEC・メタバース・AIなどの新事業領域で稼ぎ出す計画だ。また、既存事業におけるストック売上高比率を2022年12月期の51.2%(1,606百万円)から2026年12月期に62.7%(3,074百万円)まで引き上げ、収益構造をより安定的なものに変えていく。主軸の金融ソリューション事業では年間2~3社ペースで新規顧客の開拓を進めると同時に次世代金融ソリューションへの対応も図る。新規事業ではデジタルコマース事業でECプラットフォームにメタバースソリューションなど先進技術を組み合わせた次世代型のソリューションを提携先と協業しながら展開する予定で、2024年12月の黒字化を目指す。課題であった開発リソースもあじょの子会社化で強化されており、新規事業が成長軌道に乗れば中期業績目標の達成も視野に入ってくるものと考えられ、その動向が注目される。

■Key Points
・2022年12月期業績は金融ソリューション事業を中心に好調に推移し、会社計画を上回って着地
・2023年12月期は新規事業の育成に取り組みながら増収増益を継続する見通し
・2026年12月期の業績目標(売上高6,000百万円、営業利益795百万円)達成に向け事業領域の拡大と収益構造の転換を推進

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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