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C&GSYS Research Memo(4):CAD/CAMシステムの続伸、金型製造事業の増収により64.7%営業増益

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■業績動向

1. 2022年12月期の業績概要
C&Gシステムズ<6633>の2022年12月期の業績は、売上高が4,421百万円(前期比18.1%増)、営業利益が455百万円(同64.7%増)、経常利益が512百万円(同35.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が293百万円(同34.2%増)となった。前期までは多少なりともコロナ禍の影響を受けていたが、今回の決算内容はほぼコロナ禍前に戻ったと言える。セグメント別では、両事業ともに増収増益となり、増益の大部分は金型製造事業の寄与によるものであった。

セグメント別状況では、CAD/CAMシステム等事業全体の売上高は3,417百万円(前期比6.1%増)、営業利益300百万円(同23.3%増)、営業利益率は8.8%(同1.2ポイントアップ)となった。仕向地別の状況は、国内CAD/CAMではコロナ禍の影響等により抑制されていた設備投資が持ち直したことにより売上高は2,924百万円(同4.4%増)と比較的堅調に推移した。海外CAD/CAMでは、半導体・精密電子部品の需要増を背景に、特に韓国やASEANで需要が回復し、円安効果もあり売上高は492百万円(同17.5%増)と大幅増収となった。

金型製造事業の売上高は1,004百万円(同91.1%増)、営業利益は155百万円(同370.0%増)、営業利益率は15.4%(同9.1ポイントアップ)となり、前期比で大幅な増収増益となった。北米での新車開発が堅調に推移する中、2021年12月期下期から2022年12月期上期にかけての受注が好調に推移し、その間の受注が売上計上されたことに加え、円安傾向も増収に寄与した。一部で原材料費や輸送コストの上昇があったが、増収により利益率は大きく改善した。以上から明らかなように、今回の増益の大部分は金型製造事業の寄与による。

財政状況は堅固、手元の現金及び預金は29億円超と豊富

2. 財政状況
2022年12月期末の財政状況は、総資産は前期末比369百万円増加して5,734百万円となったが、主な要因は現金及び預金の増加244百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加63百万円、棚卸資産の減少55百万円、有形固定資産の増加69百万円などであった。

負債合計は前期末比90百万円増加して2,593百万円となったが、主に買掛金の減少39百万円、契約負債の増加56百万円、退職給付に係る負債の増加31百万円、未払法人税等の減少25百万円などによる。

純資産合計は前期末比279百万円増加して3,140百万円となった。主な増加要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加197百万円及び為替換算調整勘定の増加41百万円などであった。

3. キャッシュ・フローの状況
2022年12月期の営業活動によるキャッシュ・フローは411百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前当期純利益512百万円、減価償却費52百万円、棚卸資産の減少61百万円などで、主な支出は売上債権及び契約資産の増加58百万円、仕入債務の減少45百万円などであった。投資活動によるキャッシュ・フローは80百万円の支出であったが、主な支出は有形固定資産の取得51百万円などであった。財務活動によるキャッシュ・フローは139百万円の支出であったが、主な支出は、配当金の支払額96百万円、非支配株主への配当金の支払額42百万円などであった。

この結果、期中の現金及び現金同等物は244百万円増加し、2022年12月期末残高は2,964百万円となった。

4. トピックス
(1) NDES「SpaceE/CAM 2022」に同社のCAMエンジンを搭載
(株)NTTデータエンジニアリングシステムズ(NDES)製の「SpaceE/CAM2022」に同社のCAMエンジンが搭載された。同社のCAMエンジンは、微細・精密金型からバンパー、インパネ、自動車外板プレスなどの大型金型まで幅広くカバーする高精度・高効率なCAMエンジンで、「高硬度材の高速加工の実現」「加工面品質の向上」「磨きレスの実現」「工具負荷の軽減」「滑らかなパス生成」などの特色を有している。今後も、同業他社や生産財メーカーへのCAD/CAMエンジンの提供により、自社技術のさらなるシェア拡大を目指す。

(2) ベトナムに進出
同社は、2023年2月にベトナム・ハノイ市内に駐在員事務所を開設した。ベトナムはアセアン5のなかでも3番目の人口数(99百万人[2022年度末])を有し急速な経済発展を遂げ、都市化の進行と中間層の拡大により、二輪四輪車をはじめ様々な家電製品の需要が急増している。このため、各社メーカーの現地生産化に伴い同社の主要顧客である日系金型メーカーも多数進出し、その勢いは今後も継続していくものと判断される。さらに今後、同国からはローカル企業からのシステム需要と同時に、米中貿易摩擦の影響から代替え生産の受け皿として韓国系、中華系企業からの需要も見込める。その結果、同国を今後の重要市場と捉えて将来の現地法人化も視野にアジア市場における事業基盤の構築を図る計画だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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